July 19, 2008

川西 蘭: 坊主のぼやき

もの書きから浄土真宗の僧侶になった作者自身に関するエッセイ。

個人的には作者が18歳の時に書かれたデビュー作からほぼリアルタイムに作品を読み続け、90年代後半からぱったりと作品を見なくなっていたため、まさかこんな状況になっていたとは、という驚きと共に読まざるを得なかった。

内容は、40歳前にして僧侶を目指し、得度も受けた著者の苦労話や、一般に思われているであろう坊主の印象と現実を面白く描いている。
小説では透明感溢れると称された文体はそのままエッセイでは読みやすく分かりやすいものとなっている。

いささか過剰とも思える正座のつらさに関する記述も、繰り返し繰り返し出てきても嫌味な感じがせず、読み疲れることはない。
宗派の違いこそあれ、単純に僧侶の生活や葬式のしきたりを確認するだけでも面白くは読めるだろう。
最後の章には、泣かせどころもあり、サービスも忘れていない。

あと、個人的には「~ではありませんか? ありませんか。そうですか。」という形式の文末があまり好きではないのでちょっと鼻についた。

川西 蘭: 坊主のぼやき

川西 蘭: 坊主のぼやき

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July 18, 2008

原作/菊地秀行・作画/鷹木骰子: バンパイアハンターD 2 風立ちて“D”

菊地秀行の超未来を描いたファンタジーノベルのコミック化。

1巻の印象と比べると、絵柄のきれいさよりもややユーモラスな印象を強く受ける。
この巻くらいまでは、原作の小説も「Dの正体は?」「貴族はなぜ滅びたのか?」「貴族の目指したものとは?」といった作品を通してのテーマが見られ、ストーリーも面白いのだが、そうした緊迫感は残念ながら伝わってこない。

絵は雄弁であるからか、謎解きが一枚の絵によってあからさまになるため、緊迫感が削がれるのかもしれない。
また、アクションシーンの動きはきちんと描かれていないため、粗雑な印象も受ける。

元の小説が面白い時期のものだけに残念な印象を強く受ける。

原作/菊地秀行・作画/鷹木骰子: バンパイアハンターD 2 風立ちて“D” (MFコミックス)

原作/菊地秀行・作画/鷹木骰子: バンパイアハンターD 2 風立ちて“D” (MFコミックス)

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July 17, 2008

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディーARCHIVE

「鉄腕バーディー」のアニメ化に合わせて発行されたムック。

内容はアニメ化に当たっての設定資料集的なものと、いくつかのバリエーションが存在するバーディーの歴史を振り返るもの。
その中には、単行本未収録の読み切りも含まれている。

読み切り作品は作者の絵柄の変遷も見ることができて感慨深い。
昔の絵は見るに堪えないというマンガ家もいるけれど、ゆうきまさみの場合は昔もテクニックとしては古さを感じさせるものの、決して見づらくない点が優れているように感じられる。

巻末では掲載しているヤングサンデーの休刊を前提とした今後の予定にも触れている。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディーARCHIVE (ヤングサンデーコミックス ワイド版) (ヤングサンデーコミックススペシャル)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディーARCHIVE (ヤングサンデーコミックス ワイド版) (ヤングサンデーコミックススペシャル)

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July 16, 2008

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 19

宇宙のテロリストを追ってきた捜査官バーディーが地球の少年と一心同体になって敵を追っていく話。

いくつかの事件を通して、主人公を怪しいと考える人物がいよいよ核心に迫ってくる。

そこへ宇宙連邦内の勢力争いでバーディーの立場は不安定になってゆく。

そして、ついに主人公たちは連邦の宇宙船内に転送されてしまう。

主人公への疑いの目と現実を受け入れる部分などはうまくバランスを取っている。
ただ、この巻に入って主人公の性欲に関する部分が強く描かれているのは、何の影響のなのだろうか。
連載の掲載雑誌の休刊と関連あるのかと勘ぐってしまう。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 19 (19) (ヤングサンデーコミックス)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 19 (19) (ヤングサンデーコミックス)

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July 09, 2008

幸村 誠: ヴィンランド・サガ 6

北欧バイキングを描いた作品。

舞台はデンマーク・ヴァイキング艦隊が侵攻していたイングランド。
クヌート王子の護衛役に就いたアシェラッドの軍団はトルケルの軍団に追いつかれ蹂躙される。

トルフィンは一矢報いるためにトルケルに一騎討ちを挑み、トルフィンの父親トールズの記憶を賭けてトルケルはこれを受ける。
圧倒的な体格差に片腕しか使えなくなるトルフィンだが、アシェラッドの策を受けてトルケルに挑んでいく。

そうした凄惨な戦いの現場の中でクヌート王子は世の理に目覚め、自分のなすべきことを自覚する。
それを踏まえた新たな枠組みが成立して、以下次巻。

幸村 誠: ヴィンランド・サガ 6 (6) (アフタヌーンKC)

幸村 誠: ヴィンランド・サガ 6 (6) (アフタヌーンKC)

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July 08, 2008

西村 しのぶ: ライン 4

神戸を舞台にしたブティックを経営する女性の話。

正直、仕事のできる女性、年下の恋人といったシチュエーションは、似たような話が多く、たまにしか刊行されないので、どれがどれだか分からなくなっている。
それでも、ストーリーを引っぱっている部分もないので、前巻を思い出さなくても違和感はなく読むことはできる。

ストーリーとしてはメリハリがあるけれど、店とメーカーの関係が少々分かりにくいか。
まぁ、それも一興。

西村 しのぶ: ライン 4 (4) (ワイドKC キス)

西村 しのぶ: ライン 4 (4) (ワイドKC キス)

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July 07, 2008

夢枕 獏: キマイラ 2 飢狼変・魔王変

その体の中に異形のものを飼っていることを感じ始める少年の話。1982年に文庫で刊行され、単行本化を経て、新書版となって刊行された第二巻。

文庫本にして2巻分を1冊にまとめているが、前半では主人公の大鳳吼はほとんど登場せず、九十九三蔵が主人公のように振る舞い、舞台も東京・新宿、台湾にまで拡大し、これから展開するストーリーの地固めといった印象。

後半は徐々にストーリーが動き出すが、それはジュブナイルとはおおよそ思えないようなヒロインの過酷な運命を遠慮なく描き出している。

ところで、一箇所誤植を見つけたが、単行本と比較しても相違があった。単なる印刷し直しなのにどこで相違が生じるのか、本の作り方として興味深い。

夢枕 獏: キマイラ 2 飢狼変・魔王変 (ソノラマノベルス)

夢枕 獏: キマイラ 2 飢狼変・魔王変 (ソノラマノベルス)

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July 04, 2008

安彦 良和: 機動戦士ガンダム THE ORIGIN (17) ララァ編・前

安彦良和が描く1stガンダムの第17弾。

この巻より舞台は再び宇宙へ。
ホワイトベースはシャアの追撃を振り切り、サイド6へ。

カムランとミライのエピソードなど記憶を呼び起こされるものも多い。

この巻でアムロは父親との再会、別離、ララァとの出会い、シャアとの初対面を果たす。
そうしたエピソードが多い割に、アムロの感情的な部分が伝わってこないのは不思議。
他のキャラクターたちの方に哀しさが多いからだろうか。

ストーリーはホワイトベースがサイド6を脱出するところまで。

安彦 良和: 機動戦士ガンダム THE ORIGIN (17)    ララァ編・前 (角川コミックス・エース 80-20)

安彦 良和: 機動戦士ガンダム THE ORIGIN (17) ララァ編・前 (角川コミックス・エース 80-20)

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July 03, 2008

西 炯子: 亀の鳴く声

手製の少女マンガを抱えた地方公務員と、家庭に居場所をなくした女子高校生の話。

冴えない地方公務員が抱える少女マンガを読んだ女子高校生は、そのまま男の手を引っ張って東京に行き出版社に作品を持ち込む。
即座に掲載が決まり、続編も求められ、作者とされた女子高校生と保護者である兄にされた公務員はホテルでの缶詰め生活が始まる。

持ち込まれた出版社の編集者は仕事にやりがいも持てず、恋愛にも疲れている。
女子高校生の家族はそれぞれにトラブルと、家族以外との恋愛の予感を感じ、徐々に家から離れていく。

そうしたエピソードが、中心となる男女二人の間に起こる感情とドタバタの合間に挿入され、雰囲気を形成していく。

クライマックスに向けて起こる事件とその顛末、エピローグに至るまでの流れがよどみなく、見事な読後感を味合わせてくれる。

西 炯子: 亀の鳴く声 (フラワーコミックス)

西 炯子: 亀の鳴く声 (フラワーコミックス)

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July 02, 2008

津田 雅美: ノスタルジア

読み切り4作品を収めた短編集。

SFからファンタジー、恋愛ものからBLっぽいものまで幅広い。

どれもクオリティーは高いが、お気に入りは「恋愛は、普通。」。カレカノのようなコメディー感覚がホッとさせる。

津田 雅美: ノスタルジア (花とゆめCOMICS)

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