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January 09, 2005

第六大陸

2025年から2037年にかけて月面に有人施設を建設しようとする日本の民間企業を描いたSF作品。
月面プロジェクトを具体的な民間事業として捉えることで、そのコストやリスクを丹念に(とはいっても程々に)検証して現実可能性をシミュレーションしていることを特徴としている。

思えば、スペースシャトルの初号機が成功したとき、NHKの子供向け情報番組に出ていた科学担当の先生は「21世紀になる頃には600万円くらいで宇宙旅行ができるようになる」と言っていたことを今でも思い出す。
けれど、21世紀になっても宇宙旅行はできるようになっていない。この作品もその同じ状況を踏まえて描かれている。

なぜ人類は宇宙に出られないのか、また一度は出ようとしていたのか?
宇宙は国家プロジェクトとしてしか成立しないのか? いくらのコストをかければビジネスとして成立するのか?
そんなことを検証しながら、1巻は膨大な準備段階が描かれる。
決して派手なところのない、その段階を描くことで、リアルな世界観へと引きずり込まれてしまう。

2巻はいよいよ人が宇宙に出て作業する段階が描かれる。
そこではアクシデントもあり、挫折もあり、最後には一大スペクタクルも登場する。
そのラストは今ひとつ乗り切れないけれど、夢のあるラストは爽快。

金子修介監督の「ガメラ 」をはじめとして、フィクションの世界を丹念に描くことでリアル感を出すのは最近支持を集めている手法だけれど、それを忠実にSF小説に取り込んだという印象。
読んでいる途中では是非ともプラネテスの幸村誠にコミック化してほしいと思ったが、気付けばカバーイラストと口絵が幸村誠だった。少々間抜け。
ただ、ラストのスペクタクルはハリウッドにウケそうでもある。だとしても決して間抜けなCGで取り繕ったような映像化はしないでほしいと思うのだった。

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