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July 31, 2005

植村 鞆音: 直木三十五伝

作家・直木三十五の波乱に満ちた生き様を描いた作品。

文学賞に名前を残すだけの人であるのに、作品を読んだことは無いし、著作を挙げろと言われても何も思いつかない。そんな人は少なくないのではないだろうか。
そんな不思議な存在である直木三十五を学生として上京してくるところから人となりを中心に描いている。
新しもの好きで飛行機に多く搭乗し、自家用車も乗り回し、映画にはビジネスとして取り組み監督までする。
その一方で浪費家であり、生活費はすべての後回しであったこと、本妻と愛人はもちろん、多くの浮き名を流したこともエピソードを交え正直に書かれている。

出版社を作ったりつぶしたり、映画ビジネスに手を出しては失敗したりと、事業欲に旺盛であったことところは、ただ破天荒なだけではなく、当時のベンチャービジネスとして大変参考になるし魅力的に映る。
そのためか、様々な人に好かれた人柄は行間から伝わってくる。

作品に関しての解説や評論はごく一般的なものに押さえ、他の作家の批評を引用するに止めている。
そのため、実際に読んでみたいという気にはさせてくれ、伝記としては正しいものと言えよう。

ちなみに著者は甥に当たる人であるとのこと。プロの文筆家でない分、文章は修辞が控えめで読みやすい。

植村 鞆音: 直木三十五伝

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July 30, 2005

西 炯子: STAYラブリー少年 2

地方都市のエリート男子高校に下宿して通う東京出身の少年の話。

卒業すれば東京へ戻る彼らは地元の女子高校生と限られた時間をクールに過ごそうとしている。
そんな煩悩豊かな少年さとくんと、独特な感覚を持つ山王さんの関係を描いたシリーズ最終巻。
山王さんに振り回されっぱなしのさとくんは、ライバルの登場もあって少しずつ自分の気持ちに気付いていく。

ストーリー自体はラブコメディの王道ではあるものの、ちょっとした間の外し方や少年の煩悩に正直なところは作者の持ち味が存分に出ていて期待を裏切らない。
同様に男子校であった身からすると、さとくんの強い自意識は自らの過去を見せられているようでちょっと複雑だったりする。

西 炯子: STAYラブリー少年 2 (2)

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July 26, 2005

獣木 野生: 愛でなく 6

堂々の完結編。

謎の黒いライオンの再登場で、前半は動物パニックもののアクションシーンが続く。
それも解決すれば環境会議もクライマックス。シドの演説は長らく引っ張ってきただけに涙を誘う。
環境会議が終了すると、それぞれの恋愛事情も収斂に向かっていく。
その落ち着いた幸福感が何とも言えない味わいを醸し出している。

獣木 野生: 愛でなく 6 (6)

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July 25, 2005

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって 4

夏の全国高等学校野球選手権埼玉大会の開幕まで。
開幕までの緊張感はよく伝わってくるけれど、試合はもちろんのこと、プレーシーンがほとんどない。
そのせいか、誰が誰だか分かりにくくなっていたりする。
前の巻を読み返したくなる感じ。

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって 4 (4)

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July 24, 2005

大場 つぐみ: DEATH NOTE

「DEATH NOTE」1~7巻を一気読み。
名前を書くと人を殺すことができる死神のノートを巡るサスペンスもの。

ノートを手に入れた少年は悪人の名前を書き連ね正義の世界を作ろうとする。
それに対し、悪人といえども連続殺人事件として捜査する世界各国の警察、その警察組織の上に立つ謎の人物L。
少年はノートの様々な利用ルールを確かめながら、自分の身に捜査の手が及ぶことを避け、捜査の手が及ぶと逆に捜査に協力していく。
利用ルールを逆手に取って自らの記憶を消した少年は、自らの殺人を捜査の立場から追っていく。

最新刊では記憶を取り戻し、ノートも手に入れた少年(もう成長してしまったが)が新たな敵の挑戦を受けるところまで。

膨大なテキストと複雑な設定による頭脳戦はなかなか読み応えがある。
痛快さは「アクメツ」、記憶(人格)を巡る設定は「多重人格探偵サイコ」あたりにつながるものが感じられる。
そして何より、これが少年誌に週刊連載されていることに驚かされるのだった。

大場 つぐみ: DEATH NOTE 7 (7)

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July 20, 2005

桑田 乃梨子: 君の瞳に三日月

桑田乃梨子の短期シリーズをまとめた文庫化。

「君の瞳に三日月」は猫に変身してしまうことになった男子高校生の悲哀を描いたコメディ。
「ほとんど以上絶対未満」は女性に変身してしまった幼なじみと再会した男子高校生の苦悩を描いたコメディ。
「ウは鵜飼のウ」は頼りない探偵事務所の話。

どれもとんでもない設定ながら、何となく突っ込むことも野暮に思え、いつしか登場人物の自意識過剰さが笑いを誘うところに独特のうまさがある。
書き下ろしのあとがきがそれぞれのエピローグになっていて楽しい。

桑田 乃梨子: 君の瞳に三日月

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July 19, 2005

津田 雅美: ブスと姫君 津田雅美作品集

「彼氏彼女の事情」の津田雅美の初期短編集の文庫化。

いま読み返してみると、カレカノの要素が各作品に散りばめられている印象がある。
もしかすると高校舞台の恋愛もの作品しか今のところないのかな?

次回作がいよいよポイントになりそう。

津田 雅美: ブスと姫君 津田雅美作品集

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July 18, 2005

わかつき めぐみ: きんぎんすなご

田舎暮らしの話と女子高生3人組の恋愛模様を描いた話の2つの短編シリーズを収録した文庫。

田舎暮らしの話は親子の確執がベースになっており、それを解きほぐしていく様は少々涙を誘う。
キャラクターも味わい深く、もう少し続いてほしい印象。

恋愛模様の方は往年のわかつきめぐみのテイストが感じられて良し。

わかつき めぐみ: きんぎんすなご

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July 17, 2005

曽田 正人: capeta カペタ 8

F1を頂点とするレース界の底辺となる国内レースカートで活躍する少年の話。

全日本カート選手権ICAクラス第3戦、自前のチームで資金力に乏しいカペタはすでに耐用年数を越えているカートで参戦。
この試合で優勝できなければレースを続けられない状況の中、予選は棄権し決勝レースは最下位からのスタート。
レース開始直後、激しい雨が降ってくる。しかしタイヤはスリック(晴れの日用)。次々とスピン、クラッシュするマシン。
カペタはそんな最悪のコンディションにも関わらずアクセルを踏み込む。
マシンも肉体もとうに限界を越えているにも関わらず、天才的なマシンコントロールで徐々に順位を上げていき、遂にトップ集団を捉える。
そして、最終周...

フィクションにおいて主人公が活躍するのは当たり前のこと。
その当たり前のことを如何に説得力を持たせ、感動に導くか、ストーリーテラーの腕はそこにかかっている。
この巻の全編に渡って描かれる激しいレースはストーリーの中の盛り上がりと共に読者を引き込み、一気に感動のレース終盤へと連れ去ってゆく。

涙しながら次巻を待ちたい。
ところで帯に「アニメ化」の文字が。
大いなる期待と一抹の不安がよぎる。

曽田 正人: capeta カペタ 8 (8)

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July 16, 2005

西村 しのぶ: いっしょに遭難したいひと (2)

自由業の女性となごみ系年下公務員カップルの話。

のハズだが、前半は女性三人かしましく東京生活のエピソード。年下公務員マキちゃんの出番が少ないのが残念。
後半は神戸に戻って相変わらずの格好いい生活を送る女性の姿を描いています。

パンダの水墨画がヒット。

西村 しのぶ: いっしょに遭難したいひと (2)

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July 11, 2005

警部補 古畑任三郎 1st DVD-BOX

アクションシーンや銃撃戦もなく、頭脳プレーで犯人を追いつめる刑事ものTVドラマ。

本放送時にはほとんど見ておらず、雑誌など記事で人気を博していると知るのみだった。
三谷幸喜のライナーノーツにもあるように「刑事コロンボ」を意識しているのは明らかで、小さい頃に好んで観ていた記憶が呼び起こされた。

問題はゲストで一番知られた役者が犯人であることが明らかなところなのだが、実は本家のコロンボもそうだったのだろうか。
幼い身にはコロンボに出てくる外国人役者など誰も知らなかったのだが...

: 警部補 古畑任三郎 1st DVD-BOX

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July 10, 2005

大塚 英志: Comic 新現実 vol.5

特集・貞本義行となっていながら、意外にもその分量は少なく、大塚英志の作戦かとも思う。

とはいえ、この号で興味深かったのは樹村みのり「ベアテ・シロタと女性の権利」。
日本国憲法草案を作成した22歳の女性の姿を描いた作品。
地味ではあるけれど、ほとんど紹介されたことのない日本の現代史を語る上で欠かせない人物(まだ存命らしい)にスポットを当てた内容は大変参考になる。
同時に収録されている鈴木邦男の評論、大塚英志と鈴木邦男の対談と合わせて読むと、「右」と「左」、「護憲」と「改憲」のように二元論的な物言いになりがちな憲法論議に多面的な見方を与えてくれる。

ちなみに次号で最終巻らしい。

大塚 英志: Comic 新現実 vol.5

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July 09, 2005

獣木野生: 愛でなく (5)

ようやく物語が動き出す巻。

シャカ王が登場し、それぞれのカップルは進展し、フォアウッドは墓穴を掘る。
痛快であるだけに浮ついた印象もある。
波乱を込めたクライマックスは次巻。

獣木野生: 愛でなく (5)

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July 02, 2005

浦沢 直樹: 20世紀少年 19

冒険漫画の第19巻。
前巻までを一気読みしただけに、最新巻だけでは物足りないのは致し方ないか。

この巻では、すでに前巻で読者が分かり切っている事柄がはっきりした程度で本質的な部分はさほど進んでいない。

浦沢 直樹: 20世紀少年 19―本格科学冒険漫画 (19)

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