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August 31, 2005

唐沢 俊一: ダメな人のための名言集

海拓舎より刊行された『壁際の名言』の文庫化。多分、初見。

いわゆる名言と称される言葉よりも、毒が強かったり、無名の人の言葉であったりするものを集めた本。

「こんな人がこんなことを」と驚くような暴言、妄言は掛け値なく面白い。
その一方で無名の方の言葉はそのままで面白いものもあるが、その人となりや言葉の前後に補足が必要なため筆者の解説が必須となっているものもある。
また名言としては冗長なものもあり、出来にはどうしてもばらつきがある。

唐沢 俊一: ダメな人のための名言集

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August 30, 2005

Comic 新現実 vol.6

今回の特集はあすなひろし。寡聞にして名前を知っているほどであったが、その実力と存在感はひしひしと伝わってくる。
ほとんど単行本を出さなかった作家とのことで、雑誌掲載のみの作品を復刻する運動をしている人もいるらしい。
特に雑誌掲載当時は印刷技術のせいもあり、その画力を十分い伝え切れていなかったという件は興味深い。
こうした作家の作品を系統立てて論じること、またそうした作品に読者が容易に触れることができるようにすること(それはすなわち単行本化であったりするわけだが)、そうしたことがなされずにコンテンツ立国など叫んだところで表層的なものに終始するのではないか。

その他では吾妻ひでおのコミックエッセイは相変わらず、蛭児神健のエッセイが泣かせる。

とりあえず「Comic 新現実」はこれでおしまいらしい。

大塚 英志: Comic 新現実 vol.6

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August 29, 2005

杉浦 守: オクタゴニアン (1)

戦後混乱期の日本を舞台に昭和天皇の影武者と変装の名人である元スパイのコンビが進駐軍の仕事を請け負いながら出会う様々な事件を描く。大塚英志原作。

オクタゴニアンは占領軍専用列車の名前。コンビの出会う事件の先々に登場し、進駐軍の陰謀を暗喩するものとして描かれる。
事件は東京裁判から始まり、熊沢天皇、下山事件、帝銀事件と、名前だけは知られた現代史の闇の部分を取り上げている。
この辺のネタは大塚英志の著作(原作を含む)に触れた人にはお馴染みのもの。

絵も丁寧で、意外に読みやすい。
冷静に考えれば、昭和天皇ネタなど自粛対象になりそうなものだが、大塚英志作品だと感覚が麻痺してしまう。

杉浦 守作: オクタゴニアン (1)

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August 28, 2005

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10)

前巻に引き続き安彦良和オリジナルのシャアとセイラの幼少の頃のエピソードが語られる。

ザビ家の陰謀により父親ジオン・ダイクンを殺され幽閉されていた二人が地球に降りた三年後から話は始まる。
そこでも刺客に襲われ、九死に一生を得た二人はヤシマ家の手引きにより、テキサス・コロニーに移り住む。
そこで出会ったのは...

「キャスバル兄さん」が如何にして「シャア・アズナブル」となったのか、それが明かされる重要な巻。
正直、それは反則気味という感は否定できないが、ここまでやれば許してあげようという気にもなってしまうのだった。

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10)

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August 27, 2005

山崎 峰水: 黒鷺死体宅配便 (5)

仏教系大学の有志が集まって設立した死体運び業の話。1話完結。

主人公の口寄せができる唐津の能力は必要不可欠であるにも関わらず、今ひとつ影が薄くなってきている。
その守護霊?には事あるごとに思わせぶりな謎とエピソードが挿入されるが、今回も真相はつまびらかにされず。
基本はホラーであるけれど、ドタバタナンセンスギャグの要素が増えてきた感じ。

この巻のエピソードはいずれも「Comic新現実」に連載されていたもの。そちらが無くなってしまうので、このあとも続けられるのか興味深い。

山崎 峰水: 黒鷺死体宅配便 (5)

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August 23, 2005

遠崎 史朗: アストロ球団

1972年から1976年まで連載された野球漫画を一気読み。初見。

戦地で散った伝説の名投手、沢村栄治の魂を受け継いだ9人の少年たち、アストロ超人が日本プロ野球界に戦いを挑む話。
プロ野球界に挑戦状を叩きつけるまではよいが、メンバーが集まらないままライバルチームとの試合、オープン戦でのロッテオリオンズとの試合、もう一つの超人チームとの試合の3試合しかしておらず、その模様を延々と描かれる。
その描写は荒唐無稽そのもので、試合中に何人も死人が出るし、盲目のプレーヤーがいたり、ホームランボールをものすごいジャンプ力でキャッチしたり、死者が生き返ったり、と枚挙にいとまがない。

とはいえ、冒頭の巨人偏重のプロ野球界に対する危機感、新チームの発足、新球場の建設など、この1年の現実のプロ野球界を見てみると、的を射ている指摘はいくらでもある。
それが、30年という年月を経て、実写ドラマ化をはじめとしてようやくこの作品が荒唐無稽というだけでない評価を得ている理由なのか、と考えてみたりもする。

実際、熱血ばかりでなく、美形キャラやチーム内のやおい的な人間関係、運命に導かれた仲間捜し(その由来は八犬伝に遡ることができる)、謎のキャラクター、宿命の親子関係など、現在ウケる漫画の要素は一通り含まれていることにも驚かされる。
様々な意味で、いま最も注目されるべき作品であるということができるであろう。

遠崎 史朗: アストロ球団 (第1巻)

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August 22, 2005

井出 ちかえ: ビバ!バレーボール

1970年頃に連載されていた少女向けバレーボールスポ根もの。文庫で全3巻。

アストロ球団が実写化される今、30年以上前のコミックの大胆さが面白いと勧められたもの。
天才でもエリートでもなく、弱虫泣き虫の中学生の主人公が努力によってジュニア日本代表になるという典型的なスポーツもの。

・ライバルのスパイクを目に受けて失明の危機に
・試合中に主人公の薬を取りに行った後輩が事故で死亡
・ソ連チームエースの消えるスパイク
・主人公がいきなりソ連代表チームに
・謎の少年院チームとの戦い
・チームメイトの生き別れの妹が北朝鮮チームのエースに
・空中でエビぞりする弓状スパイクを打ったら背骨が折れて死亡

これらのトピックだけ抜き出すと荒唐無稽に思えるが、意外にも展開の中でスムーズに扱われている印象。
時代を感じさせる絵柄以上の驚きはあまりない。

後半になって、カラーページあり、見開きが登場し、主人公の私服がファッション雑誌のようになって、ポージングが挟まるなど、当時の少女コミックの進化が読み取れて興味深い。

当時はこうしたコミックによって、スポーツをする女性が増えていたものだと想像されるが、今は現実にはスポーツ界に女性の活躍がめざましい割に少女向けコミックでスポーツを描いたものが少ない、いやないなと思った次第。

井出 ちかえ: ビバ!バレーボール (1)

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August 21, 2005

レディ・ジョーカー

ビール会社社長の誘拐事件を中心としたサスペンスもの。初見。

「レディ・ジョーカー」と名乗る犯人グループは誘拐した社長を解放したあとも金銭の要求と受け渡しを巡って会社側の思惑も見越して、警察の裏をかいていく。
その中で被差別部落や在日朝鮮人といった差別問題、会社と総会屋のつながり、警察組織内の縦割り構造など社会問題を描き出していく。

犯人グループは冒頭から画面に現れており、犯人当ての要素はほぼない。ことごとく裏をかかれる警察との間には犯人との息詰まる攻防という描写も少ない。
ストーリー展開にどんでん返しもなく、淡々と社会問題が浮き彫りになっていく様を見せつけられる。

豪華な役者陣は期待に違わぬ演技を見せており、その部分は救われる。

: レディ・ジョーカー

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August 20, 2005

約三十の嘘

悪徳商法ツアーのために集まった詐欺師集団の仕事前と仕事後の列車内での話。初見。

3年振りに集まった詐欺師仲間は羽毛布団商法を北海道で行うため、大阪から列車で向かう。
商法は成功し、大金の詰まったスーツケースを前にして、それぞれ他のメンバーを出し抜いて金を独り占めしようとの思惑が動き出す。

列車内という限られた空間での思惑の交錯は面白く、誰が誰を出し抜こうとしているのか、誰が勝利するのか、謎解きもスピード感あってスリルある展開が繰り広げられる。
ただ、ラストは間抜けなところから綻びが出てきて、最後にはいい歳した大人のロマンチストなやりとりで終わってしまう。
この拍子抜け加減が何ともはやな感じ。

役者陣では八嶋智人と田辺誠一が見ているものを不愉快にさせる良い演技を見せている。若い女性役があまり魅力的に見えないのが玉に瑕。
同監督の「アベックモンマリ」「とらばいゆ」に比べると、役者陣や撮影規模は豪華になっているけれど、面白さは2割減くらい。
次回作が「NANA」というのも不安...

DVDとしては特典のみのボーナスDISC含めた2枚組でお得感は高い。
着ぐるみキャラのゴンゾウをフィーチャーした短編は好きな人には面白いと思う。

: 約三十の嘘 特別版

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August 19, 2005

レイクサイド マーダーケース

湖畔の別荘で行われているお受験のための親子参加合宿で起きた殺人事件を巡る作品。初見。

主人公(役所広司)が娘のお受験合宿に気乗りしないしないまま参加したところに、愛人がやってくるところから物語は始まる。
そして愛人は殺される。事件を隠そうとする親たち。
自分だけ知らされていない事実があると踏んだ主人公が謎に迫っていく。

とはいえ、謎解きの部分はさほど重要ではなく、それまでの思わせぶりな描写はあまり使われることなく、真実へと辿り着いてしまう。
物語のモチーフとして重要なのは、そうした事実を前にした親の立場や態度であるということなのだろうし、それがお受験合宿という特殊な舞台設定の中で生かされている。

そのため、歪んだ現代社会を描いた作品として評価はできるが、謎解きものとしての爽快感には欠ける。
役所広司をはじめ、柄本明、豊川悦司、鶴見辰吾など役者陣の質の高さは保証できるので安心して見ることはできる。
映像特典はさほど多くないが、監督とプロデューサーのコメンタリーは関西弁のやりとりでそこそこ面白い。

: レイクサイド マーダーケース

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August 18, 2005

古畑任三郎 すべて閣下の仕業

推理ドラマ「古畑任三郎」の最新作。

中南米の日本大使館を舞台に、パスポートを紛失して相談に来ていた古畑が大使の犯罪を暴いていく。
今泉や西園寺など前シリーズまでのサブキャラもなく、大使との1対1の攻防が緊迫感のある展開につながっている。
謎解きのポイントはドラマファンの心理を逆手に取ったものと言えるだろう。

特典としてのオーディオコメンタリーや解説によれば、これがシリーズ最後の作品になるかもしれないと、これまでにないラストを持ってきている。
その他には本編に登場しない今泉と西園寺が活躍する「今泉慎太郎」、三谷幸喜のオープニング、三谷幸喜のインタビューなど特典は充実している。
シリーズをここまで見てきたら揃えたいアイテム。

: 古畑任三郎 すべて閣下の仕業

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August 17, 2005

キリングエンジェル 夢犯

幼い頃から殺し屋として育てられた女の話。初見。

女は殺し屋としての仕事の中で幼い少女を殺せずに見逃してしまう。
それをきっかけに事件の解決のために少女を保護する刑事、殺し屋としての教育係、殺し屋の組織が入り乱れた争いへと発展していく。

石井隆作品のような設定だなと思ったら、以前に同タイトルで石井隆原作の作品があったらしい。
とはいえ、内容的には何の関連もないとのこと。

そうして見ると、石井隆監督作品よりも幾分ぬるいし、中途半端さはぬぐえない。反面教師のように石井隆監督作品の魅力について考えさせてくれる。
主演の片岡礼子の脱ぎっぷりと、ワル転向間もない鶴見辰吾以外に注目すべきところも見当たらない。

: キリングエンジェル 夢犯

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August 16, 2005

鴉 -KARAS- 第壱話

東京・新宿を舞台に妖怪と戦う「鴉」という存在を描く作品。

というようなあらすじは映像からは半分も読み取れない。
スピード感のあるアクションシーンや映像の精密さは目を見張るが、ストーリーや舞台設定の説明はほとんどなく、思わせぶりなセリフと映像だけで次回へつなげるという最近ありがちな作品。

新たなヒーローを作りたいというタツノコプロ40周年の意気込みは感じられる。
ダーク・ヒーローというヒーロー像が気に入るなら次巻も購入したいところ。
全6巻という割に第弐話まで間が空いているのと、タツノコプロが買収されてしまったのが気掛かり。

: 鴉 -KARAS- 第壱話 コレクターズ・エディション (初回限定生産)

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August 15, 2005

戸田 誠二: 化けの皮

ロシア、朝鮮、アイヌ、中国の古典を基に綴られた短編4作。

同時に発売されたグリム童話をベースにした作品と比べると、いずれもラストに救いがあるのが特徴。
この辺が好みの分かれるところかと思う。

救いがあるからと言って、それが子供向けかと言えばそうではないところは注意したい。
また、舞台が異国の時代不詳なだけに、これを読んで癒されるといったような期待はしない方がよさそう。

戸田 誠二: 化けの皮

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August 14, 2005

戸田 誠二: 唄う骨

グリム童話を基にした短編5作。

グリム童話が実は残酷で人間の本質を突く怖いエピソードだというのは、何年か前に流行った本にあったけれど、それのコミック版と言ったところ。

人の弱い心を描いてきた作者の作風とも相まって、これらのエピソードはとても現代的な雰囲気を醸し出している。
昔も今も人の弱さという本質の部分は変わらないと言うことか。
そんな読書感想文を書きたくなるような作品。

戸田 誠二: 唄う骨

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August 13, 2005

なるしま ゆり: 少年怪奇シリーズ (3) 仔鹿狩り

白いバンを巡る不思議な体験談をモチーフとした短編3作。

少年怪奇シリーズと銘打たれているけれど、スプラッターやホラーの要素は少なく、どちらかと言えば日常に潜む心霊現象ものといった趣。

3作が別の話でありながら時系列につながりを持って行くところは面白いけれど、消化不良な感じも否めない。

なるしま ゆり: 少年怪奇シリーズ (3) 仔鹿狩り

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August 09, 2005

古畑任三郎 3rd season DVD-BOX

古畑任三郎も第3シリーズ目。

部下に西園寺くんが加わり、お遊び要素が多くなる一方でエピソードに締まりを加えている。
後半にはさらにサブキャラとして八嶋も登場し、謎めいた存在感を見せている。

この中では玉置浩二の回がいわゆる泥沼もので三谷幸喜脚本の真髄といった感じ。

: 古畑任三郎 3rd season DVD-BOX

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August 08, 2005

佐藤 秀峰: ハードタックル

ヤングサンデーに掲載された佐藤秀峰の短編集。

「海猿」の連載開始前の作品ばかりだけれど、すでにそのスタイルは確立されているように見える。
とりあえず熱くて熱すぎるほど。

作品ごとの作者コメントが簡潔だけれど当時の様子を的確に伝えていて興味深い。

佐藤 秀峰: 佐藤秀峰短編集

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August 07, 2005

津田 雅美: 彼氏彼女の事情 21

カレカノ最終巻。

大団円ではあるのだけれど、巻の最初がいきなりこれまで登場していなかったキャラクターの視線でのエピソードだったり、ちょっと違和感があったりする。
その意味で本当の最終巻としてのエピソードは次のACT100からだろう。

最終話の16年後のキャラクターたちという企画はありがちではあるけれど、カレカノらしさに溢れていて楽しい。
冒頭部分は雑誌連載時に本気で驚いたものだった。

とりあえず10年近くに渡って続いてきた作品がこうして無事終わるのは良いものだ。

津田 雅美: 彼氏彼女の事情 21 (21)

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August 06, 2005

菊地 秀行: D-白魔山 (下)

雪に閉ざされた山腹に出現した城を舞台に、城主ギルゼンとDとの戦いを描く完結編。

ギルゼンとその手下となる騎士団、そしてギルゼンが捕らえていた異星人も交え、戦いは混沌としていく。

途中、戦いを端折っている部分もあり、そろそろ相手が強くなりすぎて却って話がつまらなくなっている気がする。
分量的には少ない感じもあるが、スピード感から言えばこの程度がちょうどよい。

菊地 秀行: D-白魔山 (下)

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August 04, 2005

古畑任三郎 2nd season DVD-BOX

ようやく見終えることのできた第2シリーズ。

サブキャラである今泉の存在感が増してきたところで、深夜枠で放送していたらしい「今泉慎太郎」も収録。
最後には田村正和の出演しないスペシャル番組があるなど、制作側にこのシリーズで終了との意気込みが伝わってくる。

個人的には風間杜夫の回が三谷幸喜作品らしさが満載でお気に入り。
これは推理ドラマの決まりを打ち破った作品とも言えよう。

: 古畑任三郎 2nd season DVD-BOX

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