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September 25, 2005

北原 尚彦: 本屋にはないマンガ

タイトル通り、企業や地方機関がPRや啓蒙のために作ったマンガを紹介した本。
思いがけず有名なマンガ家が意外な内容の作品を描いていて興味深い。

とはいえ、そんな例は少なく、多くは知らない(もしくは昔は有名だった)マンガ家がつまらない内容の作品を描いている例がほとんど。
それでも内容のとんでもなさを面白おかしく紹介する手法(ト学会のように)もあったかもしれないが、意外にも淡々と紹介しているために、学術書を読んでいるかのようで正直疲れる。

また、当のマンガの原稿が掲載されていないことも読みづらさを助長している。著作権の問題もあるのだろうが、手に入りにくい作品を紹介しているのだから残念なところ。

純粋に人の知らないマンガを知っておきたいという向きには良いだろうが、それをネタに笑いたいという向きにはお勧めできない。

北原 尚彦: 本屋にはないマンガ

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September 24, 2005

桑田 乃梨子: 豪放ライラック 3

寮制のある女子高を舞台にしたコメディ。主人公の憎めない甘えっ子体質に振り回される人々の日常を描く。
後半では2年生に進級して、甘えっ子体質にもかかわらず先輩風を吹かすことを夢見て後輩を振り回すことに。

初期の桑田乃梨子作品における学園もののような、のんびりした悪意のない迷惑が吹き荒れているのが楽しい。
また、それらをシニカルに見ているキャラクターたちが面白さを倍増させている。
最後の家庭科部のエピソードが秀逸。

桑田 乃梨子: 豪放ライラック 3 (3)

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September 21, 2005

佐藤 秀峰: ブラックジャックによろしく 12

引き続き精神科を描く巻。

精神病に関する誤解、偏見が一つの事件によって差別という形で人を痛めつけてゆく。
その様はあまりに痛々しい。
けれど、そうした問題を解決するには読んでいる自分の意識も変える必要がある。
それを自覚している読者は、自覚しているからこそ、この作品は読んでいる者をどこへ運ぼうとしているのか不安になるような気がする。

あまりに早く読み終えてしまうのは、ページ数が少ないからか、大ゴマが多くて内容が薄くなっているからなのか。

佐藤 秀峰: ブラックジャックによろしく 12 (12)

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September 20, 2005

小川 一水: 老ヴォールの惑星

4編の中編が収められたSF文庫。

「ギャルナフカの迷宮」は、地下迷宮に投獄された政治犯の話。限られた環境の中で投獄されたもの同士は如何に生き延びていこうとするかを迫られる。
争いや略奪が横行する中で、同盟や協力関係が結ばれ、それを追究する内、社会を形成していく様子を描いている。

「老ヴォールの惑星」は、木星型ガス惑星に生まれた知性体が他の惑星にコンタクトを試みる話。
まったく異なる生態の生物を頭の中で描き出すまでが一苦労。

「幸せになる箱庭」は、人類が木星の大赤班の中で発見した異星被造物を通して、異星人とコンタクトを試みる話。
知性の発達した異星人と仮想現実を巡るやりとりは興味深い。

「漂った男」は、未開の惑星に不時着した男の話。海に落ちた男は十分に温暖で穏やかで栄養価の高い環境のために、星間通信機によってコミュニケーションを保ちながらいつまでも漂いながら生き続ける。
孤独についての示唆に富んだ印象を受ける。

いずれも似たテイストは持ちながらも、題材は異なり、それぞれが高いレベルで面白く読むことができる。
著者の高い実力をうかがい知ることのできる作品集。

小川 一水: 老ヴォールの惑星

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September 19, 2005

とり みき: クルクルくりん (1)

多重人格の女の子が登場するラブコメギャグマンガ。1983年作品の文庫版。

懐かしさの余り買ってしまったが、あまり好きな作品ではなかったかも。
読み返すと不条理ギャグが以前より面白く読める。
主人公の男の子がまったく格好良くないのにもてるのがうける要素なのか。

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September 18, 2005

ハイブライト: メガネ男子

メガネをかけた男性が好みという女性のための本。

メガネ男子になぜ惹かれるのかといった座談会や、各界著名人のコラム、メガネ男子リストなどで構成される。
とはいえ、あまり系統立てて論じられてはおらず、欲望がストレートに紙面にぶつけられている印象。

そうした本作りを否定するものではないが、メガネ男子好きを啓蒙したいのであれば、体裁だけでも研究書や入門書のようにしてもよかったのではないかと思える。

ハイブライト: メガネ男子

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September 11, 2005

マーク・エイブラハムズ: もっと!イグ・ノーベル賞

笑える研究や功績に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」の受賞内容をまとめた本の第二弾。

中で取り上げられているのは、本当の研究成果で興味深いもの(それは往々にして一般大衆の関心を呼び起こす)と、政治経済の事件や出来事を揶揄するようなもの(そこには所謂「トンデモ」系が含まれる)に大きく二分される。

前者は笑えるばかりでなく、含蓄があり、中にはより高度な研究に発展されることが期待できそうなものもある。
一方、後者は分かりやすいものがある一方で、宗教関係など面白さが実感を伴わないものもあったりする。特に欧米で著名な人々はそれだけで笑いの対象であるらしいが、それが伝わりにくい。
その感覚は映画のゴールデンラズベリー賞に近いものがあるかもしれない。

第一弾はそうした後者の分かりにくさが顕著だったが、今回の第二弾はそうした分かりにくさは少なくなり洗練された印象。初めて読むのであれば、今回の第二弾から読み始めることをお勧めしたい。

また、各受賞内容には受賞者が授賞式に出席したかどうかも記述されているが、日本人が受賞してもほとんど出席していないことには落胆させられる。

マーク・エイブラハムズ: もっと!イグ・ノーベル賞

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September 06, 2005

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 10

登場人物が次々と増えていき、主人公のバーディーならずとも、誰が敵で誰が味方やら入り組んできた。
こういう中にあっては、とりあえず目の前のことしか見えない主人公のキャラクターは分かりやすい。
アクションあり、謎解きあり、パトレイバー以来のストーリーテリングはさすが。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 10 (10)

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September 05, 2005

鷺沢 萠: ウェルカム・ホーム!―児島律子

一流の証券会社に勤める40代女性の話。

2度の結婚生活の中で、仕事をする女性の生き方を認められず、離婚という選択をせざるを得なかった、これまでの来し方を振り返る。
そこには戦前生まれの男性、名家と呼ばれる家の保守的かつ浮き世離れした生活態度が自分の生き方を認めてくれなかったものとして描かれている。
また、バブルの崩壊が様々な形で生活というレベルで影響を与えていることがさりげなく描かれている。

家柄だとか、男の度量の狭さだとか、フェミニズムの本で言えば古典のような事例が並び、鼻で笑われそうな内容なのだけれど、初出で見ると2005年の作品となっているので、現実の感覚はこんなものなのだろう。
と同時に、多分に主人公と同じような年代の女性が読むことを想定しているのだろうけれど、そうした雑誌があることに軽い驚きを感じた。

原作の鷺沢萌、作画の入江紀子という組み合わせはちょっと痛々しいくらいで良い感じ。
ただ、タイトルに主人公の名前が入っていることからシリーズ化されるものなのか、一抹の不安が残る。

鷺沢 萠: ウェルカム・ホーム!―児島律子

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September 04, 2005

吉野 朔実: period 2

山奥の施設に預けられている兄弟たちが受ける暴力を描いている作品。

第1巻では父親からの暴力を描いていたが、この巻では同じ子供たちや教師からの暴力を描いている。
もちろん、身体的な暴力もだけでなく心の暴力もある。
その容赦がない描写は不快感を禁じ得ないが、それらに挫けない心が痛ましく愛おしい。

舞台設定がすっかり変わっているので少々戸惑った。
この機会に1巻を読み直しておきたい。

吉野 朔実: period 2 (2)

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September 03, 2005

大場 つぐみ: DEATH NOTE 8

月(ライト)とLの遺志を継ぐニアとメロとの三つ巴の戦いに入っていく巻。

戦いとは言っても頭脳戦による思惑の争いのため、お互いの存在を確認し合ったことで話は緊迫していく。
それでも人は死んでいく。その物語世界の中での現実感の無さは誰か指摘しても良いような気がするのだけれど。

大場 つぐみ: DEATH NOTE 8 (8)

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September 02, 2005

山本 英夫: ホムンクルス 6

どんどん読み終えるのが早くなっていく。
観念的な絵もそろそろつらくなってきた...

山本 英夫: ホムンクルス 6 (6)

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September 01, 2005

押井 守: TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR

ベイブリッジの爆破事件に端を発し、首都東京を舞台に警察と自衛隊の間で緊張が高まっていくという近未来ポリティカルシミュレーション(?)小説。

正直に言えば、1993年公開のアニメ映画「機動警察パトレイバー2」の監督自らの手によるノベライズ。
とはいえ、当時からロボットアニメの劇場版と呼ぶには主役であるはずのロボット(物語世界ではレイバーと言うのだけれど)をないがしろにしていると話題になっていただけのことはあり、話の中心はあくまで人間。
特に心理戦で展開されるクーデターという設定はあまりに小説的で、ノベライズと言っても十分に緊迫感を持って読むことができる。

その設定も10年以上という年月を経てようやく現実が追いついてきたかのような印象を与える、とても現代的なものとなっている。

そうは言いつつも、読んでいる間、常に映画館、DVDで何度も観た映像が頭に浮かんでいたのは事実であり、本当にそうした映像の記憶がない状態で読んだとして意味の通じる面白い作品であるのかどうかの判断を下すことはできない。
どこまで行っても、それがこの作品の唯一にして最大の欠点と言えるだろう。

押井 守: TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR

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