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October 31, 2005

唯野 未歩子: 三年身籠る

妊娠期間が十月十日を過ぎて三年にもなろうかという女性の話。
2006年公開予定の映画の原作でもある。

公開の決まっていて観る予定のある映画の原作は極力読まないようにしている。変なイメージを観る前に付けたくないからだ。
けれど、女優・唯野未歩子のファンを自任する身としては、彼女の初監督・脚本作品の自らの手によるノベライズを読まないわけにはいかない。

母、祖母、妹の女4人で暮らしていた主人公は引っ越しを機会に結婚して(逆ではない)家を出る。
そんなきっかけにしか過ぎなかった夫は主人公にとって「ぶきみな生きもの」でしかなく、浮気をしていることにも無頓着で、妊娠を機にその想いは強くなっていく。
しかし、妊娠10ヶ月を過ぎたところで二人の関係が次第に変化し始め、夫の態度も主人公の見方も変わり、やがて転機を迎える。

章立ては1年目、2年目、3年目と分かれており、文体は三人称で、主人公と妹の視点が切り替わる。
幼い頃の思い出や、服装や料理の細かな描写、身の回りにある日常に対する気持ちや気分を描き重ねていくことで登場人物の人となりを作り上げていく手法は、特に1年目に強く見られ、初期の江國香織の作品を思い起こさせる。

1年目はほぼ人物を描くことに重きが置かれ、あまり物語は進まず、これを映画にするには大変だろうという想いに駆られてしまう。
それに比較すると、2年目と3年目は主人公のお腹が大きくなり動きが取りづらくなる一方で物語は動きを増し、ラストへと向かっていく。この辺は、映像にしてもなかなか見所となると感じられる。

惜しむらくは、主人公もさることながら奔放な妹まで、女優である作者の演技を知っていると、本人のイメージしか浮かんでこないことだ。
小説だけであれば問題ないのかもしれないが、映画となれば誰が演じるかが出来に大きく関わってくることだろう。特に妹とその彼氏が重要かと。
とりあえず映画も観に行くことは決定。

唯野 未歩子: 三年身籠る

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October 30, 2005

曽田 正人: capeta THE GUIDE BOOK

コミック「capeta」の解説本。

これまでコミックの解説本や謎解き本には手を出さなかった。それがアニメ化に合わせたイベントであればなおさら。
でも、これはセル画を貼り付けて登場人物の紹介をしたり、これまでのエピソードをなぞってみたりするだけのものとは異なっている。

作者自らが監修となっているだけあって、作品だけでは詳しく分からないカート界の構図をうまくまとめていたり、作者の好きなドライバーについて語ってみたりなど、きちんと作品を補完するものになっている。
もっとも、それらが一般にはあまり馴染みのなく、気軽に接する機会のないものであることも要因の一つではあるのだけれど。
また、あくまで9巻終了時点をベースにしているので、時機を逸すると内容に齟齬が生じるかもしれない。

いずれにせよ、作者のこだわりがよく表現されている本になっており、コミックが好きであれば後悔することは少ないと思う。

実は期待していなかったアニメも原作に忠実に沿った出来には感服していて、HDDレコーダーにきちんと録画しているのだった。

曽田 正人: capeta THE GUIDE BOOK

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October 29, 2005

浦沢 直樹: 20世紀少年 20

近未来冒険コミックも20巻。既にエピソードはダラダラと進展しなくなって久しい。
そうした中では、これまで姿を見せなかった登場人物が姿を現したり、主要人物が死んだり死ななかったりする、ストーリーに比較的動きのある回。
とはいえ、それでも物語世界の中では24時間くらいしか経っていないのだな。
もったいぶった謎解きも相変わらず。

浦沢 直樹: 20世紀少年 20 (20)

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October 23, 2005

菊地 秀行: 新・魔界行 (魔群再生編)

生体強化戦士(バイオニック・ソルジャー)が日米の国家組織やマフィア、狂信的な教団、"生ける死者"などの戦いの渦に巻き込まれていく話。

「魔界行」と言えば、菊地秀行のアダルト向け作品デビュー作。それから20年、舞台設定も20年後となって甦った。
20年前に菊地秀行の作品として最初に読んだのが「魔界行」であった覚えがあるため、期待をせずにはいられない。

とはいえ、今回は主要な登場人物の顔見せだけと言った印象が強く、当然のごとく次巻へ続く。帯を見ると少なくとも3巻構成にはなるようだ。

記憶も予想以上に定かではなかったので、同時発刊の「魔界行・完全版」で復習する予定。

菊地 秀行: 新・魔界行 (魔群再生編)

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October 18, 2005

曽田 正人: capeta カペタ 9

使い続けたカートでの最後の戦いには敗れたものの、何とか次のステージ、フォーミュラへ。

とはいえ、レースの場面はなく、緊張を強いることもない。
肩の力を抜いて読めるひと休みの巻。

曽田 正人: capeta カペタ 9 (9)

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October 16, 2005

ほしのこえ(UMD Video)

宇宙で戦う少女と地上に残った少年のメールでのやりとりを通して宇宙を超えた想いのつながりを描くSF作品。初見。

何光年というSFではありきたりの表現も、メール(=電波)が届く年数という言われてみれば当たり前のことで、その距離感を表し、二人の長距離恋愛を演出するアイディアがすべてと言っても良い。
また、その詩的な表現は今どき珍しい印象を受ける。

この作品はもっぱら新海誠という個人ひとりの手によって作り出されたと言うことで注目されている。
その映像のクオリティもさることながら、ストーリーと構成がそれまでのメジャー作品に無かった(少なかった?)ものであったことが、支持を得た理由であったように感じる。

映像特典は新海誠の『彼女と彼女の猫』、それに予告編がいくつか。その中では『惑星大怪獣ネガドン』が面白そう。

今回、初めてPSPの画面でUMDというメディアを使って観てみたが、思いの外鮮明で十分視聴に耐えるものだった。
手元で観るのであれば、ヘッドホンのリモコンは不要かもしれない。
大画面で観たい作品もあるだろうが、そこは使い分けされていくのではないか。

: ほしのこえ(UMD Video)

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October 15, 2005

FASTER

監督&脚本:マーク・ニール ナレーション:ユアン・マクレガー

2輪レーシング界の最高峰MotoGPのドキュメンタリー。
2001年の500ccクラスとレギュレーションが変わった2002年を中心に、MotoGPの魅力を描く。

ロッシとビアッジの確執などMotoGPの中心となる話題も取り上げているが、カメラが密着しているのはレッドブルヤマハのため、ギャリー・マッコイの姿を中心に2001年は語られる。
2001年のマッコイは怪我が多く、活躍できないため、大した盛り上がりもなく終わる。
2002年は新鋭ジョン・ホプキンスも現れ期待を抱かせるが、やはりレギュレーションの壁に当たって活躍できずに終わる。

さらに残念なのは、この時期に割と活躍していた日本人ライダーの姿がほとんどないこと。
芳賀などはレッドブルのはずなのに、ホプキンスと入れ替わりにクビになるまで名前も出てこない。

全体的には映画館で黙って見るよりも、家などで画面を見ながら、これは覚えてるなどと話しながら見たいような作品。
次は是非とも日本人ライダーにも焦点を当てた作品が見たい。

と思ったら、ホームページによると2003年シーズンを描いた「FASTER & FASTER」という作品もあるらしい。これは観たい。

(2005.10.15、テアトル新宿)

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October 10, 2005

曽田 正人: め組の大吾

若い消防隊員の活躍を描いた作品の文庫版。

「ウォーター・ボーイズ」のあとは「ファイヤー・ボーイズ」といった安易なドラマ化のタイミングで刊行されたワイド版は購入しなかったが、文庫版はとりあえず購入。

天才を描くことに長けている曽田正人の描くものとして消防隊員はどうなることかと連載時思った覚えがある。
主人公が活躍すればするほど、それは災害が起きていることを意味している。
ウルトラマンや仮面ライダーも怪獣や怪人などによる被害は出ているはずだが、それは考えないことが許されている。
ところが、消防隊員を主人公にした途端、被害に遭っている人たちから目を背けることは許されない。
さらに、コミックの常識として主人公が向き合う敵や困難は次第に大きくなっていかなければならない。
どんな災害を描けばそのハードルをクリアしていけるのだろうか。

そんなコミックの常識に挑戦したとも言える作品は、序盤から掛け値なく面白い。

曽田 正人: め組の大吾 (1)

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October 09, 2005

とり みき: クルクルくりん 2

原田知世ネタが増えてくる巻。
この頃のアニメ系雑誌では異様に盛り上がっていたことを思い出す。
ゆうきまさみや美樹本晴彦とか...

各話の間に挟まっている下手な似顔絵のようなカットが気になってしようがない。
今の絵...なのかなぁ

とり みき: クルクルくりん 2 (2)

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October 08, 2005

夢路 行: モノクローム・ガーデン 4

ちょっと不思議な話を集めた短編シリーズ最終巻。

この巻は比較的分かりやすくてイメージも明快なエピソードが多い。
最終話がお気に入り。

さて、買って読んでいない夢路行全集全25巻はどうしよう。

夢路 行: モノクローム・ガーデン 4 (4)

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October 05, 2005

谷地 恵美子: サバス・カフェ

インターナショナルスクールに通う少年の話。文庫版を一気読み。

シカゴからの帰国子女である少年は幼い頃の厳しい境遇故に他人に心を開かずにいたが、やがてクラスメートたちの関係から心を開くようになり、徐々に世界を拡げていく。
拡げていった末に、自分の出生の秘密にまで辿り着く。

少女コミックの王道ではあるけれど、読みやすくテンポも良い。ラストに至るまでの盛り上がりは感動を誘う。

谷地 恵美子: サバス・カフェ (1)

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October 04, 2005

安永 知澄: やさしいからだ

女子学生の日常のエピソードを発端に登場人物をリレー形式で描いていく作品。

絵は見やすいが、エピソードはファンタジーなのかリアルなのか、さわやかなのかドロドロなのか、中途半端な印象をぬぐえない。

安永 知澄: やさしいからだ (1)
安永 知澄: やさしいからだ (1)
安永 知澄: やさしいからだ (2)
安永 知澄: やさしいからだ (2)

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October 03, 2005

浅野 いにお: ひかりのまち

東京近郊の新興住宅地「ひかりのまち」に暮らす人々の姿を描いた作品。

未来に希望が持てない子供たちや行き場のない若者たちなど、歪んだ現代社会の一端を路上ミュージシャンのようなテイストで描き出す...のかと思いきや、事件とその裏側が出てきて俄然展開が面白くなる。
でも、それも一瞬で、やはり路上ミュージシャンのようになってしまうのだった。

そのテイストが受け入れられれば大丈夫。

浅野 いにお: ひかりのまち

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October 02, 2005

よしなが ふみ: 大奥 1

男性のみが罹る疫病により人口が女性の4分の1になってしまったという架空の江戸時代を描いた作品。

極端にアンバランスな人口構成により、社会を構成する役割は女性のものとなり、男性は子孫を残すための道具となる。
その象徴として大奥があり、閉鎖されたその環境の中でのやりとりが描かれる。

こうした男女逆転の社会を描いた作品はこれまでもいくつかあったと思うが、江戸時代を舞台にした一気の流れは無理矢理な設定に突っ込む暇も与えず、読むものをその世界に引き込んでしまう。

1巻前半の主役、水野が大奥の中で成り上がっていくテンポもよく、あまりネチネチ度が高くない分、気持ちがよい。
将軍吉宗(もちろん女性)の気っ風の良さもまた格別。

ちょっと謎解きの要素も含んだ設定が次巻への大きな期待を抱かせる。

よしなが ふみ: 大奥 1 (1)

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October 01, 2005

島田 雅彦: 退廃姉妹

戦後の混乱期をそれぞれの信念に従って生き抜く女性たちの姿を描いた作品。

決して貧しくはない家に育った有希子と久美子の姉妹は、敗戦によって戦時中のつらさから解放されるが、父親の逮捕によって自らの手で生きていかなければならなくなる。
姉の有希子は動員学徒を待ち続けることによって、妹の久美子は積極的に占領軍と付き合い憧れのアメリカ文化を受け入れようとする。

戦後の混乱期を知るよしもないが、これも一つの現実であったのだろうと思わせてくれる。
きれい事ではなく、その時期に女性が何をしなければ生きていけなかったのか、その点は否定されることはないのではないだろうか。
とはいえ、悲惨さばかりではなく、厳しい環境の中でたくましく生き抜こうとしている女性たちの前向きで真摯な姿勢が頼もしく、また胸を打つ。

島田 雅彦: 退廃姉妹

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