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January 31, 2006

佐藤 秀峰: ブラックジャックによろしく 13

研修医が研修を受ける各病棟で問題に立ち向かっていく話。

この巻で精神科編が完結。
正直、扱いが難しいこの問題にどうケリを付けるのか、ハラハラしていたので取りあえず終わってホッとした。

精神科編は、その病気にまつわる問題以上に、患者を取り巻く状況、社会に課題があり、それに正面から向き合おうとすると、どうしても話が大きくならざるを得ない。
社会において情報を発信する側のマスコミも取り扱うことで否応なく研修医一人の話に収まらなくなっていた。
その意味で、この巻の決着の仕方は単純なハッピーエンドではなく問題提起となっているが、それでも物足りなさだけではなく、きちんと感動を誘うのはさすが。

唯一の欠点があるとすれば、主人公がほぼ何もしていないに等しいことだろうか。

佐藤 秀峰: ブラックジャックによろしく 13 (13)

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January 30, 2006

夢枕 獏: 荒野に獣慟哭す 3

記憶をなくした男が超人的な能力と共に自らの過去と陰謀に立ち向かっていく話。原作小説のコミック化第3弾。

ますますギャグの要素が増えていき、原作の印象とは大きく離れている。
元々、原作の小説は主人公が超人的な能力を持つに至ったところのウィルスやDNAの話題が少なくなく、コミックにするとどうしても説明的になってしまう。
そこでアクションの要素が多くなってはいたが、どうしても中途半端な感じがしていた。
ここまで来ると、逆に吹っ切れた感じがして読みやすい。

コミックが終わったら原作を読み返してみたい。
ずいぶん先のことになりそうだが。

夢枕 獏: 荒野に獣慟哭す 3 (3)

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January 29, 2006

晴れたらポップなボクの人生

ホームレスのロードムービー。白岩久弥監督作品。

会社を辞めて寮を追い出されホームレスになって3ヶ月の主人公(矢部太郎)は、河川敷のホームレス村で変わり者と見られていたユウさん(池畑慎之介)がある日突然村を出て行くと言い出したことに興味を持ち、あとをついて東京の街を歩き回る。
ついて行く先々で知る、15年間に渡るユウさんのホームレス生活とそれ以前の過去と贖罪。
それにホームレス仲間のエピソードが重なり、主人公が今後の生き方を見出していく。

正直、重苦しいばかりのユウさんの道中に、変わらず河川敷で生きているホームレス仲間(片桐はいり、木村祐一、板尾創路、温水洋一)のエピソードが挿入されることで、ホッと息をつけるようなバランスの取れた構成になっている。

矢部太郎はテレビでの芸人としてのオドオドした感じはなく、意外に二の線で演じられていた。
池畑慎之介ことピーターはホームレスという奇をてらったような役柄をきちんと演じてはいたものの、見ている間、ずっと沢田研二の方が似合うのではないかと思っていた。付けヒゲのと分かってしまう無精髭も今ひとつ。
ホームレス仲間のキム兄や板尾さんはもはや安心して見ていられる安定感がある。
多岐川裕美はエンドロールまで名前に確信が持てないほど、やさぐれた役柄にはまっていた。

見ている間、上野、新宿、汐留、芝公園、月島と効率の悪い歩き方をしているので東京の地理を知らない人向けに作っているのかと気になっていたが、パンフレットに地図が載っていたので意識はしているのだろう。

~1月27日・テアトル新宿にて~

bn_harepop

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January 28, 2006

西 炯子: ひとりで生きるモン! 2

小学館パレット文庫のしおりに書かれた4コママンガを集めた作品。
前巻はとても気に入っていたけれど、パレット文庫は買わないので続いているかも分からずにいたので続編が出るとはうれしい限り。

単なる4コマながら、作者のウィットに富んだユーモアとあからさまな女性側の下ネタが魅力となっている。
1つ1つは面白い作品ばかりなのだが、どうしても前巻と比べてしまうと魅力的なキャラクターに乏しい印象を受ける。
その意味で全体的にパワーに欠けた感じは否めない。

この本が気に入ったのなら、前巻も是非お薦めしたい。

西 炯子: ひとりで生きるモン! 2 (2)

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January 21, 2006

おかざき 真里: サプリ 3

広告代理店に働く女性の話。

仕事が好きだけれど、恋もしたい。
歳を重ねて焦りもあるけれど、妥協はしたくない。
そんな女性がきれいな線で描かれている。

でも、そんな女性は周りからするとちょっと迷惑なときもある。
そうした描写が散りばめられているのは女性読者には大事なのかもしれない。

おかざき 真里: サプリ 3 (3)

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January 18, 2006

桑田 乃梨子: 一陽来福/1+1=0

2本の連載中編が収められた文庫版。

「一陽来福」は、子供のいる男子高校生は好きな女子高生の話。
設定はハードだが、そこは桑田マンガでそんなにハードになるわけもなく、ハートウォーミングなやりとりと、報われない男子がなごませる。

「1+1=0」は、霊能力を持つ男子高校生が転校生と共に心霊研究会に引き込まれる話。
霊能力ものは「恐ろしくて言えない」という名作があるだけに、さすがにパワー不足という印象は否めないが、ラストは面白くまとめるところはさすが。

巻末おまけマンガが収録されてる分、お買い得度が高い。

桑田 乃梨子: 一陽来福/1+1=0

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January 17, 2006

曽田 正人: め組の大吾 7

主人公がレスキュー研修中の出動から研修を終えて、通常勤務を経てレスキュー勤務に呼ばれるまでの巻。

その間に、高校時代の恩師、落合先生との想い、ギリギリの命を賭けた現場に出ることに対する考え方などに思い悩む。
そうした中でも劇物を積んだタンクローリー横転事故に関わってしまう。

雑誌連載や単行本で読んでいたときには余り意識しなかったけれど、現場に出るのが誰のためかをこれほど考えていたとは思わなかった。
ちょっと現場での活躍が少ない印象がある巻。

曽田 正人: め組の大吾 7

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January 16, 2006

吉野 朔実: グールドを聴きながら

2000年前後に発表された短編8編を収めた文庫。

総じて設定はドラマティックなものが多いが、作者独特の落ち着いた作風の中で登場人物たちはそれらを受け止めていく。
中では「haRmony」がお気に入り。

表題作の他に「栗林かなえの犯罪」からの作品も収録。吉野 朔実: グールドを聴きながら

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January 15, 2006

メゾン・ド・ヒミコ

ゲイバーのママが作ったゲイ専用老人ホームを巡る話。

主人公の女性は、母親と自分を捨てたゲイである父親が作った老人ホームでのアルバイトにバイト料欲しさに赴く。
自分と母親を不幸にした父親はもちろん、ゲイみんなに嫌悪感を覚えるが、次第にうち解けてゆく。

そもそもが老人ホームなので、みな老人であり、死を意識せずにはいられず、死に目について考えていく様は涙を誘う。

柴咲コウはふてくされた不細工な役をやらせると結構上手く、ただの美人役ではもったいない。
オダギリジョーは決して美形とは思わないのだが、老人たちの間に入るとさすがに若さも手伝い、見栄えがする。一貫して尻の形を強調する服装だったのが気になった。
西島秀俊はいつの間にか「西島秀俊」という役柄が出来上がっているような印象を受けるのだが、今回もそれに違わぬ独特な佇まいが良い味を出している。

DVDも出ることが決まっているのだが、購入しても損はないと決定。
~1月14日・ギンレイホールにて~

メゾン・ド・ヒミコ

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January 13, 2006

能田 達規: フットブルース 1

野球ばかりが盛んな島に生まれ育った双子の兄弟がサッカーの魅力に惹かれていく話。

決して劇画調でなく、どちらかと言えばマンガチックな絵柄なのに、サッカーシーンのリアルさはとても分かりやすく、その魅力が伝わってくる。
そのために、それまで野球にしか目が無く、サッカーを馬鹿にしていた兄弟がサッカーに魅せられてしまうくだりにも説得力がある。

その後、島でサッカーを始めようと奮闘する姿はマンガならではの展開だが、それでも期待を抱かせる。
これを読んで気に入った人には、前作「ORANGE」もお勧め。

能田 達規: フットブルース 1 (1)

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January 11, 2006

大塚 英志: リヴァイアサン 12

なぜか購入し忘れていた最終巻。

かなり早い時期から舞台である東京が現実とは別の世界であることは暗示されていたが、最終巻では各キャラクターの現実世界での姿が明らかになり、最終戦争へと突入する。
それは神と悪魔の戦いと言うよりは、自らと異なるもの(姿、思想、振る舞い)の存在を認めないとする考え方と、すべてを認め受け入れる考え方の戦いとなっている。
そのため、エヴァンゲリオンを想起させるようなセリフも出てくるが、その通り分かりやすくアレンジしたものと受け取っても良いだろう。

意外にもすっきり終わった感があり、読後感はよい。

大塚 英志: リヴァイアサン 12 (12)

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January 10, 2006

大塚 英志: 更新期の文学

「文学」の現状と今後のあり方についてのエッセイ。

「ものを書く」というのは決して特別な才能を必要とするものではなく、技術を身に付けることで誰にでも書けるものではなくてはいけない。
ジャパニメーションなどともてはやされているが、映像ばかりが先行し、ストーリーが蔑ろにされたままだと、いずれ評価も下がってしまう。
それを防ぐためにも、ある一定のレベルに達したストーリーを書ける、それはすなわち特殊な才能ではなく技術としての「書く」ことができる人材を育てる必要がある。
これが主張の1つ。

一方で、書きたい、そして誰かに読んでもらいたいという欲求を満たしてくれる手段としてブログに代表されるネットの進歩がある。
そこにあるのは、「私」を分かってもらいたい、という欲望の表れでしかないけれど、「電車男」を始めとして、いくつかの作品は多くの人に感動を与えている。
そこでは、どこの誰が描いた作品かはもはや関係なく、「セカチュー」だって誰も作者を気にしないように、「泣ける」作品であればよいという受け手の変化が見て取れる。
これが二つ目。

さらに言えば、「私」の告白こそが近代文学の成り立ちだったとするならば、今こそが近代文学の再構築の時期にあるのではないか。
それを感じることなく、採算性を度外視した文芸誌の発行を継続し、「文学」を特別なものとして改革を良しとしないのは、既得権益に固執しているだけではないのか。
これが三つ目。

こうしてブログを使っている立場では当たり前のように感じられることでも、出版という分野では当たり前のように捉えられていない。
そのことを正面切って発言している著者の言葉には頷けるところが少なくない。
長ったらしいセンテンスに我慢できるならば、本好きの人には一読をお勧めしたい。

大塚 英志: 更新期の文学

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January 09, 2006

片山 愁: 学園便利屋 3

男子高校生3人組が校内の便利屋と称して事件(?)を解決する話。1990年代作品の文庫化。

3巻目ともなると絵柄も明らかに上達し、事件も大がかりになっている。
どこが「学園」なのかという突っ込みもあり。

後半は読み切り短編がいくつか収録されている。
大正ロマンものや新選組ものなど、作者の興味の対象の変遷が見えるようで興味深い。

片山 愁: 学園便利屋 3 (3)

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January 08, 2006

夢路 行: ねこあきない

作者自身の猫との生活を描いたエッセイコミック。

日々の苦労や楽しみがなごみ度の高い絵柄で描かれている。
猫好きの人には共感が持てる作品かと。

夢路 行: ねこあきない (1)

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January 05, 2006

隣人13号 SANTASTIC ! BOX

小学生の頃いじめられた相手に復讐する話。初見。

いじめシーンは迫力あるものの、復讐に至る手順が今ひとつ不鮮明。
相手のアパートの真下の部屋に住んでいるのも意図的なものなのか、偶然なのか、はっきりしない。
相手の職場に新入りとして入っていくのもどちらなのか。

復讐をもくろむ、もうひとつの人格が存在を増していくというコンセプトは分かりやすいが、復讐のやり方が上記のように計画性に乏しく見られるため、カタルシスには乏しい。
たとえ、それが狙いだったとしても意図は伝わっていないと感じられる。

特典DISCはメイキングなどが収められているらしいが未見。
SANTASTIC! BOXにはフィギュアが付いてきたけれど、好きな人にはいいのかな、という感じ。

: 隣人13号 SANTASTIC ! BOX

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January 04, 2006

ローレライ プレミアム・エディション

終戦間際の日本がドイツから供与された潜水艦で南方米軍基地に反攻する話。初見。

潜水艦にはソナーに変わる画期的な探知装置ローレライが搭載されており、それによって敵に探知される前に攻撃を仕掛けることができた。
しかし、潜水艦の出撃は軍部の対立の中で終戦までのシナリオに組み込まれたものだったため、シナリオの狂いによって潜水艦は独自の行動を取ることになる。

潜水艦という映像化しにくいものを意外にきちんと描いており、限られたスペース内でのやりとりもそれほど破綻がない。
とはいえ、ドラマ部分はローレライの正体、ラストシーンも含めて、やや薄っぺらさを感じる。
つくづくこのレベルで「沈黙の艦隊」を観てみたいと思うのだった。

プレミアム・エディションは特典DISCが2枚にUMDも付いていた。
UMDには簡単なゲームも収録されており、PSPを持っているなら、お得感は高い。

: ローレライ プレミアム・エディション (初回限定生産)

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January 03, 2006

亡国のイージス コレクターズBOX

自衛隊のイージス艦がジャックされ、東京に向けて侵攻を許す話。初見。

最新兵器を積んでいると脅迫された政府は機密事項の公開を求められる。
一方、ジャックされたイージス艦より離艦を余儀なくされた伍長は単身イージス艦に潜り込み、侵攻を阻止しようとする。

イージス艦がジャックされるまでのやりとり、部下に対する疑念、黒幕の正体が分かるまでは面白いが、艦内での攻防は伍長の不死身さばかりが目立ち、少々物足りない。
そもそもジャックする側の亡国工作員たちはまだしも、その手引きをする幹部たちの動機について説得力のある描写が足りないのも気になる。
ラストはかなり強引で偵察衛星の力を過大評価しすぎていると思われる。

コレクターズBOXは本編の他に、サントラCD、特典DISCが2枚。
特典DISCにはメイキングやロケマップ、VFXについての解説が収録されているが、積極的に観たいと思える内容は少ない。

: 亡国のイージス コレクターズBOX (初回限定生産)

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January 02, 2006

交渉人 真下正義 プレミアム・エディション

警視庁の交渉人が地下鉄ジャック事件に挑むサスペンスもの。初見。

「踊る大捜査線」の登場人物をフィーチャーしたシリーズ第一弾。
交渉人という役割柄、街中を疾走したり銃撃戦になったり、いきなり叫んだりすることがない。
その分、謎解きがメインになっており、サスペンスものとして十分楽しめる内容になっている。
ラストの犯人像はこれでよいのか、疑問が残るけれど。

プレミアム・エディションは本編以外に特典DISCが3枚。
その3枚目には、本編に登場した木島丈一郎なる新しい登場人物をフィーチャーしたスペシャルドラマ「逃亡者 木島丈一郎」が収録。
珍しく地方ロケがあって、内容も面白く、お得感が高い。
その他のDISC2枚はメイキングなどのようだが、まだすべては観られず。いい加減多すぎ。

: 交渉人 真下正義 プレミアム・エディション (初回限定生産)

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January 01, 2006

FASTER

世界最高峰のバイクレース、MotoGPについてのドキュメンタリー。日本では2005年公開。

今年観た唯一の映画なので、本編はまだ覚えている。目的は特典映像となっている2枚組のもう一枚。
本編では2001~2002年シーズンを中心にしているが、2003年シーズンから2004年シーズン開幕まで描いた「FASTER&FASTER」という続編が収められている。

2003年シーズンと言えば、前年250ccという1つ下のクラスで世界チャンピオンとなった加藤大治郎がいよいよ最高クラスMotoGPに参戦、期待の中で迎えた日本GPで事故死してしまうという悲劇のシーズン。
そして、加藤の死から一週間後のレースでチームメイトのジベルナウが世界チャンピオン、ロッシを押さえて優勝するという、これを書いているだけで涙が出てくるようなエピソードがあった。
その後、ジベルナウは何かを乗り越えたかのように優勝を重ねる。

日本で制作されていれば、多分にこのエピソードだけで2時間くらいかけてしまいそうなのだけれど、割とあっさり2003年シーズンの出来事の1つとして取り上げられている。
それは、冷たいとかそう言うことではなく、危険なスポーツとしての見方とか捉え方とか、そうしたものが根底にあるのだと思う。
それがモータースポーツに対する態度とか姿勢と言ったものとして感じ取れれば、また良しという感じ。
実際、2003年シーズンから2004年シーズンはレーサーの移籍や新規参入チーム、メーカーなど話題には事欠かず、どれを取ってもドキュメンタリーとしては成立してしまう。

その他の特典映像は、本編未収録の映像集とオンボードカメラのマルチアングル映像4レース分。
とりあえず続編だけでも買う価値はあり。

: FASTER

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