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February 27, 2006

筒井 康隆: 銀齢の果て

国策により老人たちが殺し合う話。

増えすぎたために国力の低下を招いたとされた老人の削減策として、決められたエリアの70歳以上の老人たちが殺し合うシルバー・バトル制度が導入された世界。
町内のご隠居を中心に、それぞれに生き残ろうと必死に知恵を巡らしたり、早々に諦めて死に際を模索する老人たちの姿を描く。

明らかに「バトル・ロワイヤル」のパロディとは分かるのだが、「バトル・ロワイヤル」を読んでいないので文体や構成のどこまでがパロディになっているのかは不明。
シーンの切り替わりに章立てや空白行の挿入もないので、冒頭はとても読みづらいのだが、意図的なものだとすれば、パロディの一環なのだろうかと思ったりする。

モラルだとか良識とかに照らせば、さすがに褒められた作品ではないと思うが、そもそもがそうしたものに反駁してきた作者だけに、読む方もそれを理解した上で読む必要がある。
パロディとは言っても、そこに込められたシニカルな態度は老人問題を考えた場合に確かなものであり、政治に対する痛烈な皮肉として捉えられても問題はない。

その昔、同じ作者の「俗物図鑑」という作品があって、多感な中学生時代にかなりショックを受けた覚えがあるが、それに比べるとやや派手さには欠ける印象。
とはいえ、昨今の自主規制の名の下におとなしい作品ばかりが溢れている中では、こうした作品も発表されること自体に意味があるようにも思える。

筒井 康隆: 銀齢の果て

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71歳の氏だから描ける老年文学の幕開けだ! もちろん、映画銀嶺の果てに掛けているバトル・ロワイアルのパロディでもある。 ◆気の早いことに、映画化の配役まで話題に。。。 銀のブログ | 「銀齢の果て」の配役。 ■T/B(トラックバック)させていただきました。ありがとうございます。 ADV55: 中央人口調節機構 こわれもの: 筒井 康隆: 銀齢の果て 「銀齢の果て」筒井康隆|食べて飲んで観て読んだコト ■関連書籍、D... [Read More]

Tracked on February 27, 2006 at 03:21 PM

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