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February 28, 2006

田島 昭宇: 多重人格探偵サイコ 11

猟奇殺人と多重人格、プロファイルなどをテーマにしたサスペンス。

この巻では、これまでと一転、197x年から199x年という時代設定の中で、これまでの「多重人格探偵サイコ」で描かれてきた内容を陰謀側から描くというものとなっている。
いわば、裏サイコとも呼ばれるべきもので、あからさまなほどのネタバレとなっている。

そんな中で新しいキャラクターとして大江公彦が登場している。
すでにドラマ版や小説版では名前が出ており、原作者の大塚英志が大江公彦サーガを描くと宣言していたものの、コミック版もその枠組みの中にようやく入ったというところ。
とはいえ、その扱いはあくまでコミック版としてのものであり、役割は限定的。

そんな構成もこの巻限り。次巻は元のストーリーに戻ることが予告ページで宣言されている。
けれど、それがまた1年半後とかだったらつらいなぁ...

田島 昭宇: 多重人格探偵サイコ (11)

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February 27, 2006

筒井 康隆: 銀齢の果て

国策により老人たちが殺し合う話。

増えすぎたために国力の低下を招いたとされた老人の削減策として、決められたエリアの70歳以上の老人たちが殺し合うシルバー・バトル制度が導入された世界。
町内のご隠居を中心に、それぞれに生き残ろうと必死に知恵を巡らしたり、早々に諦めて死に際を模索する老人たちの姿を描く。

明らかに「バトル・ロワイヤル」のパロディとは分かるのだが、「バトル・ロワイヤル」を読んでいないので文体や構成のどこまでがパロディになっているのかは不明。
シーンの切り替わりに章立てや空白行の挿入もないので、冒頭はとても読みづらいのだが、意図的なものだとすれば、パロディの一環なのだろうかと思ったりする。

モラルだとか良識とかに照らせば、さすがに褒められた作品ではないと思うが、そもそもがそうしたものに反駁してきた作者だけに、読む方もそれを理解した上で読む必要がある。
パロディとは言っても、そこに込められたシニカルな態度は老人問題を考えた場合に確かなものであり、政治に対する痛烈な皮肉として捉えられても問題はない。

その昔、同じ作者の「俗物図鑑」という作品があって、多感な中学生時代にかなりショックを受けた覚えがあるが、それに比べるとやや派手さには欠ける印象。
とはいえ、昨今の自主規制の名の下におとなしい作品ばかりが溢れている中では、こうした作品も発表されること自体に意味があるようにも思える。

筒井 康隆: 銀齢の果て

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February 26, 2006

菊地 秀行: 新・魔界行―長編超伝奇小説 (聖魔淫闘編)

生体強化戦士の活躍を描いたバイオレンス小説新シリーズ第2弾。

新興宗教の教祖を護衛する役目を引き受けたが、女性を救えなかったことで傷心のまま復讐に赴く。
しかしながら、復讐相手の正体がつかめず、因縁の敵ばかりか、よく意図が分からない相手が続々と登場する。

作者の出世作、20年振りの続編の新作。
前巻よりは復讐劇の構図がはっきりしており、主人公に迷いがない分、展開は面白い。
ただ、敵か否か分からない相手が多すぎ、正直、覚えるのが面倒。
もう少し整理しても良いのでは。

菊地 秀行: 新・魔界行―長編超伝奇小説 (聖魔淫闘編)

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February 25, 2006

たがみ よしひさ: 軽井沢シンドロームSPROUT episode6

軽井沢を舞台に描かれた青春群像劇(すごいまとめ方だ)。

暴走族の抗争に巻き込まれる薫平たちだったが、バックにいる暴力団を耕平たち親の世代がいつの間にか収めてしまう。
あとは、恋愛模様やらなんやら。
最後は耕平が狙われて次巻に続く。

ここへ来て、復活した耕平が主役の座を完全に奪っている。
やはり読者層が親の世代中心と言うことなのだろうか。
どう考えても、新たな読者層を掴むには人間関係が複雑すぎるし。

ということで調子が出てきた感じを受けるが、あとがきを見ると...

たがみ よしひさ: 軽井沢シンドロームSPROUT episode6 (6)

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February 24, 2006

とり みき: パシパエーの宴

件(くだん)を扱った表題作など短編を集めた作品。

シリアス系第2弾とされる、この作品集はミステリーとSF要素を詰め込みながら、ユーモアも忘れない独特の世界観が展開されている。
バラエティに富んでいるだけに飽きさせない内容。

本自体が紙質から上等に作られているだけに有り難く思える。

とり みき: パシパエーの宴

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February 23, 2006

曽田 正人: capeta(カペタ) 10

カートレースで活躍する少年の話。

遂にカートからフォーミュラカーへとステップアップするためにスカラシップのオーディションに参加するカペタ。
初めてのクラッチ、ギアチェンジ操作に戸惑ったり、周りの受験者に引け目を感じながらも、フォーミュラカーの魅力を受け止め、徐々にその実力を発揮していく。
最終テストとなる模擬レースが始まり、その予選、目立たないながらもラップを上げていくカペタだったが、クラッシュに巻き込まれてしまう。
実費弁償の話に動揺を隠せないカペタだったが、父親の言葉にレース本番に向かう。

徐々に実力を発揮していくところ、その実力に周りが気づき始めるところ、思わぬアクシデント、とワクワクできて、泣ける場面があって、熱くなれる、そんな作者の魅力が詰まった充実の巻。
早くも次巻が楽しみ。

曽田 正人: capeta(カペタ) 10 (10)

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February 21, 2006

曽田 正人: め組の大吾〔文庫版〕 8

若き消防士の活躍を描いた作品。

無事にレスキューの任務を終えた大吾はめ組に戻って病院火災を食い止める。
千石市消防局には2機目の消防ヘリが導入。臨海部に建設中の千石沖国際空港への対応に当たる。
そんな中、事故がなければ輝けない自分について大吾は思い悩む。

そう言えば、こんなエピソードもあったな、と思わせるほど、忘れていることが多い。もっと巻数も少なかった印象だったのだが。
全体的にはインターミッションといった感じの巻。

曽田 正人: め組の大吾〔文庫版〕  8

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February 20, 2006

三年身籠もる

妊娠期間が3年に及んでしまったカップルの話。唯野未歩子監督作品。

主人公・冬子(中島知子)は妊娠9ヶ月。医者に言われたとおり、子供には純粋に生まれてきて欲しいとテレビや音楽に接することのない生活を送っている。
夫・徹(西島秀俊)は父親になる自覚のないまま、職場の女性と浮気をしている。冬子は夫の浮気を気付いているが、一時的なものと異に返さない。

妊娠18ヶ月。夫は浮気相手に振られ、いつまでも生まれてこない子供に苛立ち、本当に自分の子供か疑いの言葉を投げる。冬子は正直にこれまで付き合った相手のところに確かめに行く。
信頼を取り戻した二人だが、妹・緑子(奥田恵梨香)の付き合っている年の離れた恋人・海(塩見三省)の勤める大学病院に入院することで、世の中にスキャンダルとして取り上げられてしまう。
自分のために敢えてスキャンダルも受け入れたことを知った徹は、強引に冬子を連れ出す。

妊娠27ヶ月。山奥に隠れるかのように暮らす二人。
冬子の腹はさらに大きくなり、中で暴れる胎児により冬子は激しい痛みを伴うようになる。
その余りの巨大さに自然分娩は母体に危険と諭されるも、冬子はあえて自然分娩を選択する。
そして、陣痛が始まる...

珍しく原作を読んでから観た作品だったが、いくつかの設定も含めて内容は変わっており、新鮮に楽しむことはできた。
ただ、原作のような設定を説明するようなシーンがほとんどないため、初めて観る人にどれだけ伝わっているかは疑問。

原作に比べると、母親になる不安、父親になる不安、生まれてくる子供に対する責任、父親であることの不確かさ、出産における父親の無力感、そうしたものが混然としてよく表れていたように思えた。
そのために、とても現実的でないエキセントリックな設定でありながら、不思議と涙を誘われる。

主演の中島知子は、元よりあまり動かない役柄のため、さほど好演という印象はなかった。
西島秀俊は相変わらず「西島秀俊」な役柄だったが、ここ最近にしては表情豊かなシーンが多く、共演を重ねている監督ならではの引き出し方が表れているように感じられた。
西島秀俊ファン(という人がいるのかどうか知らないが)には堪えられない作品といえるだろう。

女優としての監督のファンであることはこれまでも公言しているし、それによって観た作品ではあるけれど、それを差し引いても、女流新人監督の第一作としては十分楽しめる作品と言えるだろう。

~2月18日・新宿武蔵野館~

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February 12, 2006

夢枕 獏: アモン・サーガ

大剣を背負った少年アモンの冒険ファンタジー。夢枕獏・原作、天野喜孝・画という組み合わせのコミック。

初出に具体的な西暦はないが、多分に20年くらい前にあった徳間書店の雑誌に掲載された作品。
確かアニメーターにコミックを描かせるというコンセプトの雑誌だったような覚えがある。

天野喜孝と言えば、吸血鬼ハンターDの挿絵などで人気だが、正直このコミックはかなり微妙なライン。
夢枕獏のファンタジーの世界は表現できているが、ヒロインがとても魅力的でない。
中途半端なアメコミ調なところもあり、謎解きも不十分。

とはいえ、コレクターズアイテムとしては十分すぎる内容と言えよう。

夢枕 獏: アモン・サーガ

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February 11, 2006

空中庭園

隠し事をしないことをルールとしていた家族の仮面が剥がれ、本当の意味での家族を取り戻すまでの話。豊田利晃脚本・監督作品

主人公(小泉今日子)は、幼い頃の母親との確執から、タブーなく隠し事をしないことをルールとした家族を作り上げる。
夫(板尾創路)の浮気も勘づいていながら見て見ぬふりをし、娘(鈴木杏)や息子(広田雅裕)も問題を抱えていることを知りながら、家族のルールを優先する。
そこへ、夫の浮気相手(ソニン)が息子の家庭教師として入り込み、病を抱えた母親(大楠道代)も交えた誕生会でお互いうわべだけだった仮面が剥がされてしまう。

公開前に監督が覚醒剤取締法違反で逮捕されるという事件により話題になってしまったこと以外には予備知識を持たずに観たのだが、理想の家族像に振り回される女性の姿という、割と現代的でオーソドックスな題材を扱っているなという印象。
そうした理想的な家族像が歪んだ関係の中にあるという演出なのだろうが、時折見せるシュールな映像が事件を想起させてしまうのは致し方ないところか。

この作品で小泉今日子がいくつか賞を取っていたようだが、あまり目立った印象はない。
板尾さんのユーモア交えた巧さと、大楠道代の格好良さばかりが目立っていた。
出演作品を観るたびに横に大きくなっていた鈴木杏は何とか膨張が止まったかのような感じ。
広田雅裕はパンフレットによると広田レオナの長男だとか。もう一本くらい違う役柄で観てみたいと思わせる。

パンフレットと言えば、協力にRIO JAPANの文字が。今はなきMP3プレーヤーのメーカーだが、個人的に関わりがあっただけにちょっと感慨深かった。

~2月11日・ギンレイホールにて~

映画「空中庭園」パンフレット

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February 06, 2006

あずみ2 ツインパック

戦国時代、使命を受けて暗殺を行う刺客の少女を描いた作品。初見。
2003年公開の「あずみ」と2005年公開の「あずみ2」をセットにしたツインパックを購入したので一気に鑑賞。

「あずみ」(北村龍平監督)
10人の仲間と共に刺客として育てられ、仲間同士で殺し合う最終試験から、徳川に反攻する浅野長政、加藤清正、真田昌幸の暗殺という使命を受けて戦いに赴くところまで。

主人公のあずみ(上戸彩)はもちろん目立っているのだが、一緒に旅する仲間も最初は見分けがつかなかったのが、エピソードを重ねる内にそれぞれの性格が出てくるなど少年少女の成長劇としてもまっとうな作りとなっている。
それに加えて個性的かつ魅力的な敵役たちがエンターテイメント性を盛り上げている。特にオダギリジョーの美女丸はイってる加減がよい。

殺陣やカメラワークの斬新さも相まって、楽しく見ることができる。
ただ、ラストシーンは終わったと思ってから2回もエピソードが挿入されており、無理矢理続編につなげている印象が強い。これは本編とは異なっているのだろうか。

「あずみ2 Death or Love」(金子修介監督)
前作で生き残ったあずみが同じく生き残ったながら(石垣佑磨)と共に残る標的、真田昌幸を狙う話。

自らが殺した仲間とそっくりな銀角(小栗旬)との出会いなど戦い以外のエピソードの割合が前作よりも多くなっている。
敵役には上野甲賀衆という忍者集団が登場するが、顔を覆っているのと人間離れした技を繰り出すため人間としてのキャラクターは少々不足している印象を受ける。
甲賀衆の親玉として高島礼子が出ているものの、やはり高島礼子にしか見えない時点で少々物足りない。

人気作の続編としては難しい部分が多いと思うが、それを含めて何とか及第点という感じ。

: あずみ2 ツインパック

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February 05, 2006

大場 つぐみ: DEATH NOTE 10

名前を書くと、その名の持ち主を殺すことができる死神のノート、デスノートを巡る物語。

頭脳戦で追いつめられた夜神月は、キラの役割を新たなキャラクターに与え、自分への疑いを逸らそうとする。
それを追うネロとメロ。舞台は日本へと移っていく。

圧倒的なテキスト量は相変わらず。頭脳戦ばかりだった昨今に比べると、ノートを使っている状況が分かりやすく、また久々の新キャラクターがアクセントになっている。

気になるのは帯の「映画化決定」の文字。夜神月は藤原竜也だそうだが、それはさておき他のキャラクターを誰がやるのか気になるところ。
また、ストーリーのどこまでを描くのかも気になる。延々と続く、にしておくわけにはいかないだろうし。
監督は金子修介らしいので、ある程度信頼はできそうだけれど。

大場 つぐみ: DEATH NOTE 10 (10)

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February 04, 2006

菊地 秀行: 魔性迷宮

『魔界都市<新宿>』を舞台に謎の風呂敷包みを巡る争いを描いた作品。

作者の十八番、魔界都市を舞台にしてはいるが、秋せつらもメフィストも出てこない。
他シリーズからのキャラクター、死なずの醍醐や神を食った男を登場させて、ストーリーに派手さを与えている。
それらが相乗効果として面白くしているかというと、ビミョーな感じ。若干かぶっているキャラクターもいるし。

まぁ、魔界都市ファンには揃えておいてもよいかという感じ。
読み終えるのに1ヶ月以上もかかってしまった。

菊地 秀行: 魔性迷宮

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February 02, 2006

枡野 浩一: あるきかたがただしくない

歌人・枡野浩一の週刊誌および新聞に連載していたコラムを中心としたエッセイ集。

枡野浩一という短歌の人がいると言うこと、blogなどを駆使しているということ、若いのだから散文形式なんだろうという予想くらいはあったのだけれど、顔と名前が一致はしないという程度の知識しかなく読んでしまった。

日本映画に対する趣味や視点は自分と似ているところが感じられて興味深かった。
それ以上に興味深いのは作者が連載の中でほぼすべての回に自らの離婚ネタを披露して愛息への面会を求めていること。
元妻が南Q太であるのは初めて知ったけれど、この連載だけでは枡野が一方的に理不尽な目に遭っているかのように感じられる。
逆の立場からはどのような反論があるのかを聞いてみたくなった。

とはいえ、枡野浩一という人がこれほどキャラクターを確立している人だとは知らなかった。
これでは、枡野ファンという人がいても不思議ではないし、そうした人からすれば、このエッセイ集も揃えるべき本の1つになるのだろう。
自分がそうしたファンの一人になるかというと、ビミョー。

枡野 浩一: あるきかたがただしくない

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February 01, 2006

目黒 三吉: 低俗霊DAYDREAM 8

口寄屋と呼ばれる霊能力者の話。

この巻では集団自殺を計画している男の陰謀を暴こうというストーリーがメインで展開される。
前巻はこんな話だっけか、と思い返してしまうくらい分かりやすく面白い。

これまでを読み返してみる良いタイミングかもしれない。

目黒 三吉: 低俗霊DAYDREAM (8)

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