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April 26, 2006

小山田 いく: 五百羅漢

表題作を始めとするホラー作品を集めた復刊企画でブッキングより出版された短編集。

作者のファンであれば、そのプロフィールに書かれているデビュー作品として「五百羅漢」の名前は知っているだろう。
その作品を読めるということであれば、雑誌を底本としているとはいえ、ありがたいことである。
作品自体は70年代カラーが強く、軽井沢シンドロームの第1話辺りを彷彿とさせる(兄弟だからというものでもないと思うが)。

タイトルから表題作のような初期作品ばかりを集めたものかと思いきや、その他はすべて90年代の作品。ほとんどは98年以降のホラー雑誌に掲載された作品。
そのため、絵柄に対する抵抗感は少ないだろうが、作者の青春ものを期待していた向きには残念かもしれない。

それぞれの作品に作者からのコメントが付けられているのはうれしいところ。
初出一覧もしっかりしている。

小山田 いく: 五百羅漢

小山田 いく: 五百羅漢

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April 25, 2006

岡田 芽武: SHADOW SKILL 5

「魔導力」の存在する世界に生きる闘士たちの姿を描いた作品。

この巻では、引き続き傭兵王国クルダが攻め込まれる闘いの模様が描かれる。
その様子は相変わらずでどんどん建造物が廃墟と変わっていく。
それでも争いの源と今後の落としどころは明確になっている。

あとがきには作者の5巻まで15年という時間がかかったことについて謝辞が述べられているが、それが数多くのキャラクター達の関係はもちろん、生き死にもよく分からなくなっている作品を読み続けているものにとってはせめてもの救い。

岡田 芽武: SHADOW SKILL 5 (5)

岡田 芽武: SHADOW SKILL 5 (5)

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April 24, 2006

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)

地上に降りたシャアがララァと出会うエピソード、開戦に進んでいくジオンと連邦の様子が描かれた巻。

シャアとララァの出会いは意外性はなく、どちらかといえばエピソード的に無理矢理な印象も受ける。
一方、ミノフスキー博士の亡命劇は連邦とジオンのモビルスーツに対する認識と技術力の差を見せつけ、アナハイムエレクトロニクスがガンダムの開発に着手するエピソードとして上手くまとまっている。
それにジオンの独立を巡る緊張感を絡めて、開戦へと突き進む政治情勢が重ねられる。

ミノフスキー博士の亡命劇においては、テム・レイの役割も見逃せない。
亡命によってアナハイムのモビルスーツ開発責任者としての自らの地位が危うくなると分かっていながらも、亡命を支援する側として奔走するなど、複雑な人間関係の中にモビルスーツ開発に対する情熱が垣間見える。

そろそろ本筋に戻ってもらいたいところだが、コロニー落としがまだ描かれていないな、と。

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)

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April 23, 2006

冬目 景: ハツカネズミの時間 2

隔離された学校で生活する少年少女たちの話。
外部から来た少女の存在により、学校に疑問を持った少年少女たちはやがて学校の正体を知る。

この巻では偶然も重なり学校を脱出することになるのだが、それ以外に話の進展は少なく、まだるっこしい不毛な会話が続く。
感情の吐露の少ないところも学校の正体に関わってくるポイントなのだとは思うが、それが伝わりづらいのが残念。

なかなか少年少女たちに感情移入できず、応援もできないのが難しい作品にしていると思う。

冬目 景: ハツカネズミの時間 2 (2)

冬目 景: ハツカネズミの時間 2 (2)

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April 22, 2006

佐藤 秀峰: 海猿

若い海上保安官の活躍を描いた作品。文庫化1巻から3巻までを一気読み。

雑誌掲載時には欠かさず読んでいたが、単行本は買わずじまい。
その後、TVドラマ化や映画化で盛り上がったので、却って買う機会を逸していたのだった。
今回の文庫化も再映画化に合わせてのもののようだが、良い機会なので購入。

1巻は新人海上保安官の姿を、これまた新人の新聞記者の目を通して描いたもの。
絶えず死と隣り合わせの凄絶な現場での、若さ故の独走が結果に結びつく様が描かれる。
消防士を描いた「め組の大吾」も似たモチーフではあるが、大きな違いはこの「海猿」では死が描かれていること。
その死を目の前にして主人公・仙崎大輔が仕事に対する自信を失う様子まで描かれる。

2巻は何とか仕事を続ける決意をした大輔が潜水士の資格を取る訓練風景を中心に描かれる。
映画「海猿」はこの辺のエピソードが中心。主人公のイメージはかなり違うし、やはり直面する仲間の死の印象も異なる。
原作の方が断然内容が濃くて泣かせる。それは映画版に不満の残ったところと思い出した。

3巻は不審船を扱った現実とオーバーラップさせたエピソードに続き、大きな海難事故が続く。
ここで大輔はもう誰も死なせないという決意を込めて救難活動の中で行動していく。
この辺はやはり「め組の大吾」がイメージされてしまう。
それを無理に比べようとすれば、誰も死なない「め組の大吾」と死を描いている「海猿」との差ということになるのだろうが、そこは少年マンガと青年マンガという位置付けの差であるのかもしれないし、どちらが優れているというものでもないような気がする。

ということで、泣けるし、楽しめるし、エピソードは多いし、お買い得な印象の文庫版。
連載時は漫然と読んでいたけれど、九州な作品だったのだな、と改めて気付いた。
来月発売の次巻が待ち遠しい。

佐藤 秀峰: 海猿 1 (1)

佐藤 秀峰: 海猿 1 (1)

佐藤 秀峰: 海猿 2 (2)

佐藤 秀峰: 海猿 2 (2)

佐藤 秀峰: 海猿 3 (3)

佐藤 秀峰: 海猿 3 (3)

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April 21, 2006

曽田 正人: め組の大吾 10

若き消防士の活躍の描いた作品。文庫化の10巻目。

新空港工事現場の惨事も大吾の独断専行により死者ゼロに終わる。
そんな中、落合先生は受講した大学の担当教授の研究調査に加わりスマトラへ。
消防機動救助隊に推薦された大吾は、訓練期間中にスマトラの山火事に落合先生一行が巻き込まれたことを知る。

災害のスケールも徐々に大きくなり、遂に海外へ。
このままどこまで行ってしまうんだろう、という懸念を抱かせつつ、次巻が最終巻。

曽田 正人: め組の大吾 10 (10)

曽田 正人: め組の大吾 10 (10)

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April 20, 2006

探偵事務所5” Another Story File 3

川崎の探偵事務所5に所属する5で始まる3桁のナンバーで呼ばれる探偵たちの話。

Another Storyというインターネットで公開されている作品をDVDにまとめた第3弾。
File 3には「み●なくるう」「ログ・イン」を収録。萩生田宏治監督作品。

「み●なくるう」
鈴木リョウジ演じる探偵542は祖母から受け継いだ眼によって人には見えないものが見えてしまう。
依頼者の自殺した父親の遺言の謎を追っていく内、歴史から葬り去られた廃村に辿り着く。
まるっきりのホラーであり、探偵シリーズの中でやる意味があるのか分からないけれど、こんな作品もあるのかといった印象。

「ログ・イン」
ネット上の捜査を行うのは仮想空間にのみ存在する宍戸開演じる探偵599。
探偵599にアクセスできるのは探偵事務所5のIT部に所属する櫛山晃美演じる椿。
ネット内での捜査状況をアクセスしている椿と探偵599という擬人化されたモノクロ映像で描いている。
目新しさはないものの、ネット世界を分かりやすく上手く擬人化映像化している。
ただし、事件そのものがつまらなくあっさりと解決されてしまうこと、現実世界でネットでの捜査状況をモニタリングしている画面が20年くらい前のテレビゲームのようなレベルなのは頂けない。
最大の課題は探偵599を作ったという設定になっている椿がプログラマーのイメージが感じられないこと、そしてあまり魅力的に見えないことだろうか。

: 探偵事務所5” Another Story File 3

探偵事務所5” Another Story File 3

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April 19, 2006

よしなが ふみ: フラワー・オブ・ライフ 3

様々な事情を抱えながらも楽しく生きている高校青春もの。

この巻では女の子同士の買い物の話、良くできた女の子の話、創作マンガを巡っての男の子同士の争いの話が、それぞれの心理描写を鋭く、けれど面白く描かれている。
そのいずれもがリアルでありながら笑いを誘うのは作者の独特な視点に依るところが大きいだろう。

そして後半はクリスマスを巡るエピソード。
クリスマスパーティーに向けた参加者の思惑と、オカマキャラの女教師・シゲと鉄壁オタクの真島の接近という2つのエピソードが織り交ぜられ、絶妙な味わいを見せている。

特に描き下ろし「真島とシゲの迎えた朝」のエピソードはツボを突いていて大ヒット。

よしなが ふみ: フラワー・オブ・ライフ (3)

よしなが ふみ: フラワー・オブ・ライフ (3)

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April 18, 2006

清原 なつの: 飛鳥昔語り

清原なつのの初期短編7編を集めたコミック文庫。

70年代後半の作品は当時の少女マンガの色合いが濃く、改めて読むのは絵柄を含めてつらいものがある。
特に「清原なつのらしさ」という点においては、さほど多くない作品ばかりと言った印象。

それでも、その中から特徴を探し出すのがファンの醍醐味と言ったところなのかもしれない。
巻末に当時を振り返ったあとがき描き下ろしマンガが収録されているのが一番嬉しいかも。

清原 なつの: 飛鳥昔語り

清原 なつの: 飛鳥昔語り

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April 17, 2006

樹 なつみ: 獣王星 2 完全版

太陽系外の星系で陰謀により流刑星に落とされた少年がたくましく生き残っていく様を描いたSF作品。

この巻の前半では、生き抜くことを決意した少年がグループのリーダーとなり成長していく様を描いている。
後半は3年の経過を過ぎ、グループ間での新たな争いから獣王星の謎が明かされるまでを間にラブロマンスも挟みつつ。

謎に挑んでいくのは次巻完結にて。
この辺りでは主人公トールより脇のキャラクターの方が魅力的だったりする。

完全版の所以は巻末のデザイン設定くらいか。

樹 なつみ: 獣王星 2 完全版 (2)

樹 なつみ: 獣王星 2 完全版 (2)

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April 16, 2006

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 12

宇宙人犯罪者を追ってきた宇宙人バーディーと一心同体となってしまった少年の話。

この巻では、地球の現在進行形の話はちょっとお休み。
少年つとむの記憶にバーディーの記憶が混ざり始めていることから、バーディーの幼い頃の記憶を知識として知っておいた方がよい、という割とご都合主義ながら説得力のある展開で外伝っぽいストーリーへ。

連邦と同盟との争いに人種間差別が重ねられる、スペースオペラの王道のような展開がしっかりした絵柄と独創的な宇宙人たちのデザインによって描かれている。

これはこれで面白いのだけれど、本筋に戻ってきてくれるのか心配。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 12 (12)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 12 (12)

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April 07, 2006

浦沢 直樹: PLUTO 3―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より

ロボットが社会に溶け込んでいる未来に起きた連続殺人(ロボット)事件の話。

3巻にしてようやくタイトルであるプルートゥが登場。といっても影だけだけれど。
これまで影も名前も出てこなかっただけに、ようやく核心に近づいた印象。
一方でロボットが社会に存在することに反対する勢力も登場。
この辺はロボットに込めた人種差別の意味合いをより強く打ち出していると思われる。

これまでの2巻の進まないストーリーからすれば断然進んだ感じだが、視点が散漫になっているとも言え、ストレスは解消されていないかも。

浦沢 直樹: PLUTO 3―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (3)

浦沢 直樹: PLUTO 3―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (3) (★★★★)

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April 06, 2006

野村 克也: 巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは

プロ野球読売巨人軍について述べた本。

これまでも同様の書籍はあったと思うが、それを巨人軍と対戦してきた野村克也が述べているのが興味深い。

基本的には、V9時代の巨人軍がいかに先進的で魅力的な野球をやっていたのかを語るもの。
それを自身のエピソードを交えて分かりやすく語っている。
もちろん、オチは「それに引き替え今の巨人軍は...」というものなのだが。

4番バッターを並べたって勝てないということは、その辺の野球ファンなら誰でも口にすることだけれど、それをある程度実績のある野村の口から語られることで、皆が溜飲を下げる内容とはなっていると思われる。
選手を育てることは人を育てることに通じるというような部分は、企業の管理職にもウケるところであろう。

章立てもしっかりしており、文章も読みやすいため、多分に口述筆記だと思われるが、それも気にならない内容。
出張時の行き帰りにちょうど良い感じ。

野村 克也: 巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは

野村 克也: 巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (★★★★)

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April 05, 2006

かわぐち かいじ: ディレクターザ・ガマ

テレビ局のドラマディレクターの話。文庫版。

ねばりのガマとして知られるJTVのドラマディレクター我満四郎は、ドラマ撮影の中での女優が巻き起こす様々なトラブルを、独特な演出手法で解決していく。
かわぐちかいじの作品に共通する痛快さはいかんなく発揮され、主流から外れた才能ある者が活躍する構図となっている。
現実をイメージさせる名前の女優が次々と現れてくるのも面白い。

惜しむらくは、この作品がいつどこに連載されていたのか初出一覧がないこと。
それは小学館文庫に共通して言えることだが。

かわぐち かいじ: ディレクターザ・ガマ

かわぐち かいじ: ディレクターザ・ガマ (★★★)

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April 04, 2006

夢枕 獏: 獅子の門 雲竜編

格闘技に身を投じる男たちを描いた作品の第6弾。

正直、これまでのストーリーや登場人物の人間関係はほとんど忘れていた。
しかし、この巻ではほとんどが試合の模様であるため、さほど影響はなかった。
もちろん、登場人物が試合に向き合うための最低限の背景は描かれているので、まったく訳が分からないと言うこともない。
試合の結果もあまり関係がない。
そこで描かれるお互いの肉体を痛めつけ合う格闘技の真髄は、そうした結果を無意味にする。
その描写について定評のある夢枕獏の格闘シーンが存分に堪能できる本。

夢枕 獏: 獅子の門 雲竜編

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April 03, 2006

探偵事務所5” Another Story File 2

川崎の探偵事務所5に所属する5で始まる3桁のナンバーで呼ばれる探偵たちの話。

Another Storyというインターネットで公開されている作品をDVDにまとめた第2弾。
File 2には「7つの顔」「LOST ONE」を収録。中井庸友監督作品。

「7つの顔」
夏生ゆうな演じる探偵532は変装の名人。婚約破棄された女性の依頼を受けて、相手の男性が上司の縁談を受けていたことを突き止める。
そこまではよいのだが、その男性を追いつめていくところは探偵という立場としてはいかがなものか。
観ているものに爽快感を与えるかもしれないが、それでは仕事人になってしまいはしないか。

「LOST ONE」
虎牙光輝演じる探偵555は荒事専門。
依頼を受けて潜入したのは"人間闘鶏場"。戦っている闘士の中に割り込んでいく。
探偵555の肉体美や格闘シーンは見応えあると思うが、果たして依頼がその場に乗り込んで壊滅させることだったのか違和感が残る。
おまけに探偵555の記憶と痛覚をなくしているという取って付けたような設定も今ひとつ。

いずれのエピソードも探偵である必要があるのか疑問の残る内容。
今後に不安を残す。

: 探偵事務所5” Another Story File 2

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April 02, 2006

久世 番子: 暴れん坊本屋さん(2)

本屋さんに勤めるマンガ家のエッセイコミック第2弾。

本屋に関わる商慣習などを面白おかしく紹介しているのは前巻と変わらず。
若干、表現に遠慮がなくなり伸び伸びと描かれている印象。

仕事の裏話ものとしては面白く読める。

久世 番子: 暴れん坊本屋さん(2)

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