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May 31, 2006

西村 しのぶ: アルコール 2

ラウンジで働く女子学生二人の話。

もはや、どれがどのストーリーか分からなくなり始めている西村しのぶの連載。
同じようにお酒や美味しいものや贅沢な場所がオンパレードで優雅な神戸ライフが描かれる。
それなりにケチくさいところも出てくるのだけれど、それが愛嬌というものだろう。

変わり映えのないところも魅力的だと知れる一冊。

西村 しのぶ: アルコール 2 (2)

西村 しのぶ: アルコール 2 (2)

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May 30, 2006

あさり よしとお: 少女探偵金田はじめの事件簿

学園推理ものを題材としたギャグマンガ。

タイトルからして分かる元ネタへの配慮か、期待される決めゼリフなどはなく、割と一般的な下ネタとスプラッターを含むギャグが展開される。

初出を見ると、1999年から2000年にかけての作品だが、最終話が描き下ろしとなっている。
途中で中断した連載が気になっていた向きには溜飲を下げる結末に...なっていないような。

あさり よしとお: 少女探偵金田はじめの事件簿

あさり よしとお: 少女探偵金田はじめの事件簿

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May 29, 2006

夢路 行: あの山越えて 8

夫が実家に戻り農業を始めた若い夫婦の話。

すでに8巻にもなると、大きなストーリーの展開もなく、暮らしぶりと同様に淡々と日々が流れていく。
もちろん、たまには都会からの訪問者があって田舎暮らしとのギャップが描かれたり、円満な夫婦にトラブルが起こったりするが、基本的には平穏。
だからこその癒し系なのだろうけれど。

夢路 行: あの山越えて 8 (8)

夢路 行: あの山越えて 8 (8)

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May 28, 2006

唯野未歩子 : 「2.5次元の女」

深夜のファミリーレストランで働く女性の話。小説現代 2006年 05月号に収録。

主人公の女性の携帯電話には小学校の同級生からのメールが時折入る。
初恋相手である彼からのメールによると、病院に入院しているらしい。
でも、小学校卒業以来3回しか会っていない彼を訪ねたり見舞いを送ったりしようとは思わない。
現実的な3次元でも、会ったことのない2次元でもない、2.5次元なメールでのやりとりだけが続いていく。

ストーリーも作品の持つ雰囲気も嫌いではないが、あえて苦言を呈せば題名が頂けない。
わかつきめぐみの初期作品に「2.5-D」という短編コミックがあるが、その使い方と比べると、メールのやりとりを2.5次元と称するのは少々違和感がある。

また、この短編は雑誌の「人気女性作家のエロティック小説特集」の中の一編として収められているが、この作品からエロティシズムを読み取るのは非常に困難と言わざるを得ず、肉体描写はまったくない。
それは作品が悪いというのではなく、安易な雑誌の特集のタイトルの付け方に問題があるというものなのだが。
ちなみにグラビアページには見開きで写真入りの紹介記事が、特集の作家の中では唯一掲載されている。

小説現代 2006年 05月号

小説現代 2006年 05月号

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May 21, 2006

野沢 尚: 龍時 03‐04

単身スペインに渡ってプロサッカー選手となった少年の物語。第3作の文庫化。

第一作ではスペインでプロデビューし、日本人であることの意識を自覚するまで、第二作ではスペインリーグの中で移籍を経験し、恋模様も描かれた。
この三作目は2004年アテネオリンピックのサッカー代表の試合が描かれている。

最年少でサッカー五輪代表に選出された主人公・リュウジは、五輪代表監督・平義の元で組織戦術をたたき込まれる。
平義の組織戦術はドイツへの留学で学んだものという設定で、A代表監督ジーコの自由主義との対比が、ことあるごとに語られる。
その意味で、この作品の主人公はリュウジだけでなく、平義でもある。

他国の代表と戦うに当たって、どのような戦術を採用するか。
それが普段チームを組んでいない代表チームであればなおさらのこと、短時間で機能する戦術を徹底する必要がある。
その方針を監督が打ち出して、初めてチームは形作られていく。
ジーコと対照的な平義というキャラクターを登場させることで、日本代表に欠けているもの、ジーコに欠けている視点を浮かび上がらせているように思える。

試合はグループリーグ最終戦vs.ギリシヤ、準々決勝vs.スペイン、準決勝vs.韓国、決勝vs.ブラジルの模様が緊迫感を持って描かれている。
1つ1つのプレーに選手が何を感じ、何を考えているかが克明に描かれ、自分がそのピッチに立っているかのような錯覚に襲われる。
章立てで結果は分かっているようなものなのに、ページをめくりながら思わず手に汗握ってしまうほどだ。

作品自体は現実のオリンピック開催前に書かれているため、実際には出ていない選手もいるし、対戦も架空のものだ。
その意味ではDFに闘莉王、MFに鈴木啓太、FWに田中達也と五輪代表を送り込んでいることになっている浦和レッズサポーターには面白く、また選手の姿が目に浮かぶように読めるのではないだろうか。

惜しむらくは、この作品の続きが、リュウジの活躍がもう二度と読むことができないということだ。
作品に協力していた中西哲生との対談と中西の解説も涙を誘う。

この作品を読めば、選手が何を考えプレーしているか、監督は何を考えているのか、実際の試合も面白く観ることができるようになるだろう。
W杯本番で多くの試合を観る前に読んでおきたい本。

野沢 尚: 龍時 03‐04

野沢 尚: 龍時 03‐04

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May 20, 2006

とり みき: トマソンの罠

作者が90年代に描いたシリアス系短編集。

民俗学っぽいモチーフが中心で、そこにSFやナンセンスの味付けがなされている印象。
どれもそこそこ読ませるクオリティは持っている。

とり みき: トマソンの罠

とり みき: トマソンの罠

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May 17, 2006

佐藤秀峰: 海猿

若き海上保安官の活躍を描いた作品。文庫化の最終巻。

4巻ではインドネシアまで海賊掃討に出かけ、同僚が海賊の銃弾に倒れてしまう。
同僚の死を目前にし、主人公・大輔は命のやりとりをする職場に、自分の復讐心に戸惑いながら、自らの使命を自覚していく。
そんな経験を経て、恋人との関係も変化していく。

最終巻では飛行機事故が描かれる。垂直尾翼を失った航空機が博多湾に不時着。
主人公たちはその航空機から乗客の救出を図る。その中で描かれる多くの人の死。
機長、航空会社の地上職員、新聞記者、海上保安官、事故を巡るそれぞれのエピソードが、それぞれの想いと共に描かれていく。

そのエピソードの積み重ねとストレートな想いに、最終巻の後半はずっと涙を禁じ得ない。

2ヶ月続けての文庫出版は映画化に合わせたものに間違いなく、まだ観ていないのだが、これを読んで映画を観てみようとは思わない。
なぜなら映画でいかにSFXを駆使しようと、こうした惨い人の死を真正面から描いた上で、それを前にした人々の想いの積み重ねをエピソードと共に描ききれるとは思えないからだ。
それだけのパワーがこの作品にはある。

佐藤秀峰: 海猿 4

佐藤秀峰: 海猿 4


佐藤秀峰: 海猿 5

佐藤秀峰: 海猿 5

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May 15, 2006

曽田正人: め組の大吾 11

若き消防隊員の活躍を描いた作品。文庫化の最終巻。

インドネシア・スマトラ島の山林火災に落合先生が巻き込まれたと知り、単身乗り込む大吾と付き添いの甘粕の二人組。
現地の若い消防隊員含め3人で山林に入り、村人たちを助け出す。
はぐれた落合先生を見つけ出し、二人きりで脱出を試みる大吾。
そして助け出された二人は遅れて到着した本当の救助隊が無駄足になるほどの活躍を見せる。

NYを舞台にした後日談も描かれているが、海外にまでスケールの大きくなった話の収まりどころが難しくなった印象は否めない。
最後まで人の死が描かれない作品ではあるが、主人公の英雄ぶりは災害の発生が前提となるものであって、本当は主人公が英雄として活躍する場がない方が良いという自己矛盾を表明しているのは潔いと言えるだろう。

曽田正人: め組の大吾 11

曽田正人: め組の大吾 11

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May 14, 2006

ほった ゆみ: ヒカルの碁

現代に甦った囲碁の名人に取り憑かれ、その魅力に自ら囲碁の道を進む少年の話。
GW中の教育テレビでやっていた囲碁教室で基本的なルールを知ったので、全23巻を一気読み。

主人公の少年・ヒカルは囲碁の名人に取り憑かれ、当初は自分の実力ではなかったものの、その魅力に目覚め、徐々に力を付けていく。
その霊の実力に衝撃を受けるライバルの登場、それに負けじと実力を付けていく主人公、次々と登場する敵(対戦相手)が囲碁の世界の中で違和感なく描かれている。
特に少年マンガで必要不可欠な主人公のステップアップや敵の実力が、囲碁の段級制度で分かりやすくなっている点も見逃せない。

決してメジャーとは言えない囲碁の世界を、まったく素人である主人公の目を通して描くことで読者にも知識を広めていくことにも成功している。

さらに名人の霊が消えて主人公が行く末を悩むくだり、自分の力でやっていこうと立ち直るくだりも少年の自立を分かりやすく見事に描かれている。
現れる強敵も国際色豊かで、囲碁という頭脳スポーツを見事に使いこなしている。

これなら子供たちがこの作品をきっかけに囲碁に夢中になってもむべなるかな、という印象。

ほった ゆみ: ヒカルの碁 (1)

ほった ゆみ: ヒカルの碁 (1)

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May 10, 2006

大場 つぐみ: DEATH NOTE 11

名前を書くと人が死ぬという死神のノート、デスノートを巡る話。

デスノートを使い、本当の悪人を消し世界を変えようという野望に燃えるキラこと夜神月と、あくまで大量殺人犯としてキラを捕まえようとする警察組織とのやりとりも、関係がねじくれたまま、いよいよ佳境。

それぞれに証拠はないがキラの正体が誰なのかを薄々感じながら、また明らかにしながら主に心理戦となってストーリーは展開。
それ故、各キャラクターのモノローグが圧倒的なテキストとなって襲いかかってくる。

夜神月とキラを追うニアとの直接対決が決まったところで、以下次巻。
映画化も決まって、そろそろ最終回?

大場 つぐみ: DEATH NOTE 11 (11)

大場 つぐみ: DEATH NOTE 11 (11)

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May 08, 2006

押井守: 雷轟rolling thunder PAX JAPONICA

ベトナム戦争を戦う日本軍を描いた仮想戦記もの。

最初の章はアメリカ南北戦争から始まり、史実とは異なり北軍の勝利にはならず、アメリカが南北に分裂してしまうという前提で歴史は作られる。
その結果、国力に劣るアメリカは世界大戦に参戦できず、太平洋は日本の支配下となる。
結果、ベトナム戦争に参戦するのも日本という構図の中で戦場での一場面が語られる。

こうした構図が事前に説明なく始まるので、理解するまで少々時間を要する。
理解したとはいえ、文体は軍事兵器に対する蘊蓄が中心の膨大なテキストにより構成されているため、決して読みやすいとは言えない。

本の後半は物語ではなく、この作品が書かれた経緯、狙い、今後の予定などがあとがき、エッセイ、インタービュー形式で述べられている。
その意味では、本編は本編の半分だけで、少々物足りなさも感じる。

また、演出上の狙いなのだろうが、インクが茶色なのも書物としては気になる。

押井守: 雷轟rolling thunder PAX JAPONICA

押井守: 雷轟rolling thunder PAX JAPONICA

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May 07, 2006

探偵事務所5” Another Story File 5

川崎の探偵事務所5に所属する5で始まる3桁のナンバーで呼ばれる探偵たちの話。

Another Storyというインターネットで公開されている作品をDVDにまとめた第5弾(観たのは順番間違えて4枚目)。
File 5には「川崎少年探偵団」(久万真路監督作品)「七つの心」(萩生田宏治監督作品)。

「川崎少年探偵団」
貫地谷しほり演じる宍戸会長の孫娘・瞳は、近所の子供達を集めて少年探偵団を作っていた。暗号宝探しの最中、メンバーの少年が大金を見つけてきたことから、偽札事件に巻き込まれていく。
少年探偵団という設定にしても、事件に巻き込まれて自ら解決しようと奔走する過程にしても、少々気恥ずかしくなるほどベタな展開。
貫地谷しほりのコスプレシーンを楽しめるファンがいるならば、その価値はあるかもしれない。

「七つの心」
夏生ゆうな演じる探偵532は変装の名人。亡くなった妻に扮して子供の誕生日を祝って欲しいとの依頼を受ける。
子供と接することで探偵532は同じ顔を持った女性としての別の人生を意識するようになる。
作品中でもセリフにあるが、そもそも探偵の仕事ではないし、オチも最初から予想されたものでラストのセリフもありきたり。
このシリーズが何でもありとはいえ、中に入れることには疑問を禁じ得ない。

: 探偵事務所5” Another Story File 5

探偵事務所5” Another Story File 5

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May 06, 2006

容疑者 室井慎次 プレミアム・エディション

捜査を巡って警察官僚の内部抗争を描いた作品。2005年公開。初見。

殺人事件の容疑者である警察官が取調中の事故で亡くなったことで捜査本部長だった室井が告発されるところから物語は始まる。
警察権力の横暴を許さないとするやり手弁護士事務所に加え、警視総監の座を狙う警察庁と警視庁の派閥争いに巻き込まれてしまった室井は、あくまで現場の立場から事件の真相を突き止めようとする。

室井の弁護についた女性新米弁護士のエピソードも絡めて面白く作り込まれているが、事件自体にスケール感がないため、真相へ迫るまでの緊迫感には欠ける。
単なる事件の解決ばかりでなく、警察組織を面白おかしく描いているのが、この踊る大捜査線シリーズの魅力であるが、その面を強く打ち出した作品と言えよう。

キャストはスリーアミーゴス以外に湾岸署の面々の登場はなく、警察官僚や弁護士を中心に新たなキャスト陣が展開されている。
吹越満、佐野史郎、柄本明、哀川翔など魅力的な俳優陣が並んでいる。中でもエリート若手弁護士を演じる八嶋智人の見ているものを不愉快にさせる演技は名人芸の域に達している。

特典DISCはメイキング映像やキャスト座談会などが本編より長い時間収録されている。ちゃんと見ていないけれど、あまり見たいと思わせるものはなさそう。

: 容疑者 室井慎次 プレミアム・エディション

容疑者 室井慎次 プレミアム・エディション

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May 05, 2006

田中 メカ: 7時間目ラプソディー

クラス委員の主人公(女子高生)と担任国語教師との恋模様を描いた作品。

恋愛相談室を開いている担任教師の軽さに不愉快さを隠せない主人公だったが、その対応が真剣な動機に基づいていると知ったところから意識し始める。

奥手な主人公、立場を越えて意識し合いながら言い出せない二人、ライバルの登場、と少女コミックの王道パターンを踏まえていながら、独特の間の外し方が笑いを誘う。
この作品では、主人公に一方的に想いを寄せるライバルの存在が珠玉。ラストのオチにもなってるし。

表題作以外には作者の初期短編作品を収録。
柱には絵が下手とか卑下して書かれているけれど、意外に変わらない雰囲気を醸し出していることに驚く。

田中 メカ: 7時間目ラプソディー

田中 メカ: 7時間目ラプソディー

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May 04, 2006

樹 なつみ: 獣王星 3 完全版

地球を遠く離れた星系で親の敵を討つべく過酷な環境を生き抜く少年の話。完全版の最終巻。

2巻までは割と丹念に描かれていた世界観と少年の出世物語だったが、3巻では怒濤とも言うべき勢いでラストに向かっていく。
少年トオルが過酷な惑星に落とされた理由や周りの人間の正体、思惑などが次々と明らかになっていく。そして、待ち受ける惑星の運命を左右するような最大の試練。

それらは、本来ここまで描かれたストーリーを補完するものとしてしっかり描かれなければならないはずだが、意外にあっさり登場人物のセリフによって説明されてしまうだけとなる。
また、最大の試練も科学考証無視の荒唐無稽なハリウッドSF大作映画(「THE CORE」?)のようで、突っ込みどころが満載。オチに当たるところも自然の力を讃えるのもいいが、あまりに間が抜けすぎていて折角の設定を生かし切れていない。

それに合わせて画力が落ちているのも気になる。
主人公が試練に立ち向かっていくアクションシーンも効果線ばかりで緊迫感に欠ける。

総じて、ラストに至るスケジュール(ページ数を含む)に間に合わせて描かれたような印象を受けてしまう。

完全版というなら、1ページだけのあとがきではなく、そうした不満足な部分を補って欲しかった。
不満足でないというのならば、仕方のないところだけれど。

樹 なつみ: 獣王星 3 完全版 (3)

樹 なつみ: 獣王星 3 完全版 (3)

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May 03, 2006

佐藤 秀峰: 特攻の島 1

人間魚雷・回天と、それに乗る特攻隊員たちを描いた作品。

舞台設定が極端なだけに、どんな方向から描かれるのか興味のあるところだったが、意外にもオーソドックス。
決して生き残る可能性のない兵器を目の前にし、訓練を重ねていく中、生とは死とは、と問いかけていく。
そこには政治や思想の入り込む余地はあまりなく、自分が守るもの、生き方に真正面に向き合っている。

本当にそんな状況があったのかどうかは分からないけれど、盲目的に敵に突っ込んでいくという精神状態よりは分かりやすい。
とはいえ、これをどこまで続けていくのかは不安な面も残る。

佐藤 秀峰: 特攻の島 1 (1)

佐藤 秀峰: 特攻の島 1 (1)

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May 02, 2006

高橋 ツトム: 鉄腕ガール―Girl professional baseball foundation

戦後の日本でプロ野球選手を目指した女性を描いた作品。文庫全5巻を一気読み。

失礼ながら、書店で表紙は見ていたものの、SFかファンタジーだとばかり思っていた。

女給をしていた主人公が怪しげな興行師の話に乗って野球を知るところから始まり、女子プロ野球選手を目指すが、オーナー企業の戦略により一躍時代のヒロインに仕立て上げられてしまう。

このくだりは、戦後女性の身分が平等になって世に出て行こうとしている勢いや意気込みがそのまま表れていて無理がなく入っていける。

その内、女子プロ野球の話はさておき、アメリカ女子代表チームを招いての日米決戦が話の中心に。
その試合が賭け試合になったことで、トラブルにも巻き込まれながら、ゲームはヒートアップ。
ところが試合は中途半端な形で没収。舞台はアメリカに移り、一流メジャーリーガーとの対決を目指していく。

日米決戦が盛り上がっただけに、その後のアメリカ編はどこまで行くのかなぁ、という感覚を引きずりつつ、怒濤のラストへ。
最後は現代から振り返る形にして、ちょっとしんみりさせるエピローグもあるが、これは簡単には映像化させないぞ、というメッセージなのかな、と思ったりした。

意外にも熱くなれて、泣ける作品だけど、一気読みできないとストレスが溜まるものでもあるかもしれない。

高橋 ツトム: 鉄腕ガール―Girl professional baseball foundation (1)

高橋 ツトム: 鉄腕ガール―Girl professional baseball foundation (1)

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May 01, 2006

唯野未歩子 : 「走る家」

微妙な関係を続けている男女のある晩を描いた短編。エソラ vol.3に収録。

幼なじみの男と、男が結婚しても緩い関係を続けている女性の話。
妻が入院しているにも関わらず女性に会いに来た男に対して出た言葉で出だしは始まる。
男とのこれまでの関係、他に付き合っていた年上の男性の言葉などが女性の一人称で語られる。

タイトルの「走る家」は、付き合っていた年上の男性が「男は旅人、女は家」の喩えから主人公の女性を評した表現として出てくる。
その喩え方がしっくり来るかどうかはともかく、前作「三年身籠もる」からすると、文章が洗練された印象を受ける。

感覚的には江國香織の初期の作品を思い起こさせる作風は、今後も継続して書き続けて欲しいと思わせるものがある。

エソラ vol.3

エソラ vol.3

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