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July 30, 2006

唯野未歩子 : 「夜を通る」

20代半ばの女性3人が共通の知人である男性の死に際し、想いを語り合う話。小説現代8月号収録。

お互いのことは男性を通してのみ知っていた女性3人は通夜の席で出会い、そのまま渋谷の居酒屋で自己紹介しながら夜が更けるに任せ、店が引けた後は夜の道を歩き出す。

文章は3人の中でもっとも地味な印象の女性の一人称で語られる。
モチーフには惹かれるものがあるが、3人の会話の内容は割とあっさりしており、男性に対する想いやエピソードがくどくど語られることはない。
主人公に至っては、死の知らせを聞いた際の虚無感と自分の同居人との対比を語るだけだ。
そうした死んだ男性に対する距離感が心地よいのかもしれないけれど、もう少し深みがあってもよいのかな、とも思う。

小説現代 2006年 08月号 [雑誌]

小説現代 2006年 08月号 [雑誌]

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July 29, 2006

内藤 泰弘: トライガンマキシマム 12

地球から遠く離れた星の上で生き抜く人類の話。

地球から救援が来たものの、ナイブズはそれを迎撃、ヴァッシュはナイブズを止めようと命を賭して銃を向ける。

一年半ぶりの単行本はナイブズのすさまじさと、ヴァッシュのガンさばきが満載。
あまりに凄すぎて何が描かれているのか分からないこともしばしば。
これが最終決着かと思ったら、そうでもなかった。

また、いつになるとも分からない次巻をひたすら待つ日々が始まる。

内藤 泰弘: トライガンマキシマム 12 (12)

内藤 泰弘: トライガンマキシマム 12 (12)

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July 26, 2006

矢立 肇: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)

Amazonのデータでは原案である矢立肇が作者としてクレジットされてしまう安彦良和の描くガンダムの13弾。

何巻か前から1stガンダムのTVシリーズを離れて、オリジナルストーリーが展開されている安彦ガンダム。
この巻の前半では、TVシリーズのオープニングで簡単に触れられる「コロニー落とし」が描かれる。
コロニー内の虐殺の様子として、ファン・リーとユウキという若い男女の姿が描かれているが、この二人はガンダム・サーガの登場人物なのか、ΖΖ(ダブルゼータ)までしか観ていないので不明。
この作戦についてのザビ家内部の意見の対立も描かれており、なかなか興味深い。

後半もサイド5を巡る攻防でいよいよ戦争ものとしての様相を呈していく。
その中では、連邦派とジオン派に分裂して抗争に巻き込まれたセイラの姿も描かれ、キャスバル兄さんとジオン軍の英雄となっているシャア・アズナブルの関係について思わせぶりな伏線が張られることとなる。

あとは艦隊戦で、WAR GAME(シミュレーションゲーム)のノリ。

矢立 肇: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)

矢立 肇: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)

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July 25, 2006

夢枕 獏: 餓狼伝 18

最強の座を賭けて戦う男たちの話の18弾。Amazonのデータでは作者としてクレジットされている夢枕獏原作小説のコミック化。
とはいえ、すでに原作からは大きく離れてオリジナルキャラクターが活躍する事態になっている。

何巻か前から舞台は空手・北辰館主催のオープントーナメントになっている。
ルールは既に畳の上の総合格闘技になっているので格闘技ファンには違和感なく読める。

収録されているのは2回戦2試合と準々決勝1試合。
空手対サンボはともかく、ボクシング対伝統派空手は無理があると思わざるを得ない。
まぁ、いいんだけれど。

夢枕 獏: 餓狼伝 18 (18)

夢枕 獏: 餓狼伝 18 (18)

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July 24, 2006

大塚 英志: 初心者のための「文学」

近代文学の代表作を取り上げて、そこで描かれている内容をどう読むかを解説した本。

筆者は元々、近代文学とは言文一致体により「私」について、「私」とは何か、を語ったものであると定義している。
それは、現代社会でたびたび話題となる「自分探し」とつながるものがある。
閉塞感からの犯罪や集団自殺、引きこもりをゲームやコミック、ネットに要因を求める論説があるけれど、それを筆者は明確に否定する。
要するに、昔から(と言っても明治以降だけれど)みんな同じことを感じ、考えているじゃないかと。

この本では、さらに一歩踏み込み、戦時文学と呼ばれる戦中戦後の作品を取り上げている。
単純に戦争を賛美したり、 体制におもねる作品はまだ分かりやすいが、そうでない作品の中に戦時中に置かれた人たちの気持ちを読み取っている。

戦時中も、それ以外の時代と同様に「私」とは何かを考えている人たちはいて、ここは自分がいるべき場所ではないと考えている。
そうした人たちにとって、戦争は苦しくてつらい状況ではあるけれど、一方で閉塞的な平和時の社会への違和感を感じずに済むという意味で生きやすいと感じている様子がうかがえると筆者は説明する。

であれば、戦時文学を書かれた頃の状況が、閉塞感を感じている若者が多くいるという点で現代に共通するものがあるとするならば、現代においても戦争状態を生きやすいと感じる人が多いのではないか、そのように誘導される危惧があるのではないか、筆者はそう語る。

筆者の論拠にすべてを肯定するものではないし、取り上げられている作品をほとんど読んでいない者にとっては否定もできないけれど、ひとつの読み方として指標とすることはできるだろう。
今後、同じ作品について異なる解説を読んだ際も、なぜそうなるのかを考えることができるのではないか。
多分に筆者もそれを望んでいるに違いない。

下世話なところでは、筆者原作のコミックおよびノベライズに関する真実の吐露が含まれている。フツーの人は分かっていただろうことだけれど。

大塚 英志: 初心者のための「文学」

大塚 英志: 初心者のための「文学」

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July 23, 2006

砦なき者

ベテランニュースキャスターと報道被害によって恋人を失ったと訴える若者との対決を描いた作品。2004年にテレビ朝日で放映されたTVドラマのDVD化。

青年・八尋(妻夫木聡)は、報道被害によって恋人を失ったと訴える。それはキャスター・長坂(役所広司)が扱った女子高生売春組織の追及コーナーで取り上げた女子高生が自殺したことに対する訴えだった。
長坂は謹慎するが、納得できない女性ディレクター(鈴木京香)は、八尋の過去を探り、その正体を掴もうとする。

報道のあり方を追及するような前半から、後半は報道への訴えから各局番組のコメンテーターを務めるまでになった八尋の正体を追及するサスペンスへと変化していく。
残念ながら煽り文句で"カリスマ青年"とされる八尋についての描写が少なく、いくつかの番組に出演しているだけで、どれだけ支持を受けているのかが分からない。
ラストシーンはサスペンスものとしてはきっちり作られているが、冒頭のマスコミとマスコミに取り上げられるもの、その視聴者の関係についてもっと深く切り込んでもらいたかったように感じる。それがTVドラマの限界ではあるとはしても。

妻夫木聡は単なる二枚目よりは、「ウォーターボーイズ」のようなコミカルな役か、この作品のようなクールな謎めいた役柄があっているように思える。
特典映像もそのような役柄に挑む妻夫木をフィーチャーしており、この作品が遺作となった(多分)原作・脚本の野沢尚が特に推奨しているインタビュー映像が収められている。

: 砦なき者

砦なき者

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July 22, 2006

桑田 乃梨子: 男の華園 第1巻―A10大学男子新体操部

大学の男子新体操部を描いた作品の文庫化。

文系で小説家志望だけれど運動神経はよい主人公が男子新体操部に入部し、独特な先輩たちのペースに巻き込まれていく様を描いている、作者得意のスチャラカもの。

ネタもマイナースポーツを持ってきたところがなんとも言えず、作者の得意技が堪能できる感じ。

桑田 乃梨子: 男の華園 第1巻―A10大学男子新体操部 (1)

桑田 乃梨子: 男の華園 第1巻―A10大学男子新体操部 (1)

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July 21, 2006

曽田 正人: シャカリキ! 2

坂を上ることが好きな自転車乗りの少年の話。文庫化第2弾。

自転車の名門校に入学してテルは最初のレースに挑む。
慣れないレースに出遅れるが、登坂に入りTOP集団に追いつく。
そこで次々と降りかかるアクシデント...

すべて覚えているのにアクシデントと、そこからの脱出に、読みながら興奮、涙してしまう。

曽田 正人: シャカリキ! 2 (2)

曽田 正人: シャカリキ! 2 (2)

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July 20, 2006

戸田 誠二: 説得ゲーム

生きる意味や理由を問いかける短編作品集。

SFっぽい味付けはあるものの、そこに描かれるテーマはほぼ共通している。
そこから導き出される結論には違いがあるかもしれないが、まったく「売れる」ことを狙っていないような重いテーマは既に作者のモチーフともなっている。

収められている5編の中では、男性が妊娠できるようになった社会で実際に妊娠に向き合った夫婦を描いた「クバード・シンドローム」が一番気に入った。

戸田 誠二: 説得ゲーム

戸田 誠二: 説得ゲーム

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July 19, 2006

小山田 いく: すくらっぷ・ブック

小諸の中学校を舞台にした青春ラブコメディ。1980年より発行された作品の復刻版。

単行本は今でもすべて実家に取ってあるはずだけれど、懐かしさに負けて購入。

久し振りに読んでも内容をほとんど覚えている自分に驚き。
ちょうど中学生になるかならないかの頃で、こんな中学生生活が送れるんだ、送りたいと思っていた頃を思い出した。
到底そんなことはあり得ないわけで、今となってはただひたすら気恥ずかしい限り。

復刻版では本編が始まる前に発表された3編を先に収録し、連載開始前にあった構想などが語られている。

小山田 いく: すくらっぷ・ブック (1)

小山田 いく: すくらっぷ・ブック (1)

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July 18, 2006

吾妻 ひでお: うつうつひでお日記

筆者の日々の過ごし方を描いたエッセイコミック。

数々の賞に輝いた「失踪日記」に続く日記もの。
とはいえ、失踪していた時期に比べると、日々の過ごし方に特段変わったことがあるわけでもなく、ひたすら仕事が少なくなり、本を安く読んで過ごす日々が淡々と描かれていく。
それこそ読んでいる方も鬱になってしまいそうな内容。
それでも終盤、「失踪日記」が出版されるまでと、出版されてからの成り行きは興味深いところ。

吾妻 ひでお: うつうつひでお日記

吾妻 ひでお: うつうつひでお日記

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July 17, 2006

たがみ よしひさ: 化石(いし)の記憶

日本海側の地方都市に語り継がれる伝説を追い求める男たちの話。1985年~1987年にかけて発表された作品の文庫化。

連載当時の雑誌もワイド版で出されたコミックも持っていたけれど、懐かしさの余り購入。

地方で起こる謎の交通事故。熊か謎の巨大生物か。
名声を復讐を追いかける男たちが動き出す。
サスペンスの中にSFの要素を折り込み、青年誌ならではのラブシーンも織り交ぜることでハードな味付けの本格的な作品に仕上がっている。

さすがにアラは隠せないけれど、文庫本のサイズでもその鬼気せまる迫力は感じられる。
2巻には作者が当時を振り返って、その後の自らの状態を語るあとがきが収録されている。

たがみ よしひさ: 化石(いし)の記憶 (Vol.1)

たがみ よしひさ: 化石(いし)の記憶 (Vol.1)


たがみ よしひさ: 化石(いし)の記憶 (Vol.2)

たがみ よしひさ: 化石(いし)の記憶 (Vol.2)

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July 16, 2006

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 13

宇宙のテロリストを追ってきた捜査官バーディーが地球の少年と一心同体になって敵を追っていく話。

この巻は前巻から引き続き、バーディーの本星での記憶を辿ったもの。
バーディーの追っている敵がどんな事件を起こし、それにバーディーがどのように絡んでいたのかが分かる仕掛けとなっている。

ストーリーもさることながら、本星での様々な宇宙人のフォルムや造形は、非常にクオリティが高く、久々に本格的なSF作品を読んだような気にさせてくれる。

次巻からはいよいよ通常モードに戻るらしい。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 13 (13)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 13 (13)

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July 14, 2006

大場 つぐみ: DEATH NOTE 12

名前を書いただけで人を死に至らしめるノートを巡る物語の最終巻。

ノートを間にいよいよ最終対決。それも倉庫という閉じられた空間で繰り広げられる心理戦。
相手の裏を、相手の裏の裏をかく罠の仕掛けが次々と解き明かされていく。
そうした展開は見事ではあるが、シーンの切り替わりがないので、いささか華やかさには欠ける。

最終巻は全体としてなんとなく映画のラストシーンにはピッタリという感じ。
公開中の映画に影響を受けているのかもしれない。観ていないけど。

大場 つぐみ: DEATH NOTE 12 (12)

大場 つぐみ: DEATH NOTE 12 (12)

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July 11, 2006

おかざき 真里: サプリ 4

広告代理店で働く女性の話。第4巻。

フジテレビの月曜9時のドラマの原作になったことで本屋では平積みとなっている作品。
ドラマは見ていないけれど、ニュースサイトの芸能記事などで読むストーリーは原作にはないような気がする。年下の男の子なんて出てこないし。

この巻でもドラマには(多分)関係なく、主人公は付き合い始めた同期の男性社員との仲や任せられた大きな仕事に一生懸命に生きている。
その一生懸命さを主人公だけでなく、周りのキャラクターからの視線でも描いているところが特徴的。

ドラマの主人公がどんなキャラクターか分からないけれど、コミックのキャラクターは女性に受け入れられるものなのか不明。
結構周りにいるとうざったいような気がするし。

というわけで、続けて読んできた人はともかく、ドラマから入った人には要注意な作品。

おかざき 真里: サプリ 4 (4)

おかざき 真里: サプリ 4 (4)

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July 10, 2006

時効警察 DVD-BOX

時効を過ぎてしまった事件を趣味で捜査する警官を描いたTVドラマのDVD化。全9話を一気観。

TV朝日の深夜枠で放送され話題になっていたことは知っていたけれど、あえてオンエアは観ることがなかった。
面白かったら最初から観たいと思うだろうし、この深夜枠が「トリック」に代表される妙な小ネタを散りばめた作品が多いので期待できなかったというのもある。

総武警察署で時効となった事件の事務処理をこなす時効管理課に勤める霧山(オダギリジョー)は無趣味を指摘され、趣味として時効となった事件を捜査するようになる。
霧山に想いを寄せる交通課の三日月(麻生久美子)も巻き込まれる形で捜査に協力していく。

基本的にはコメディタッチで、TVドラマではつまらない二枚目と美人を演じさせられがちな主役の二人も本来の器用さを魅力的に引き出されている。
脇役も器用な役者が揃い、各回のゲスト女優も個人的には好きな人ばかり。

扱う事件の謎解きもきちんとしており、今ひとつ謎が甘い回があってもその代わりの感動ものになっていたりと楽しめる内容。
このシリーズであれば、続編があっても良いかと思わせてくれる。

DVDの特典としてはオーディオコメンタリーなど過不足なくちょうど良い感じ。
BOXのケースが1枚ごとから複数枚タイプになっているのが、ちょっと驚き。

: 時効警察 DVD-BOX

時効警察 DVD-BOX

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July 04, 2006

西村 しのぶ: メディックス

関西の国立大学医学部を舞台に学生たちの姿を描いた作品。

普通の家庭に育った広瀬は、医者の家に生まれて医者になることを運命づけられた同級生たちとの生活レベルの差を感じながらも楽しく、学生ライフを送っている。
医学生とはいえ、試験やレポートには苦労し、高い教科書代などのためにバイトにも精を出すし、恋愛模様もあったりする。

スピリッツの毎号買っていた頃に不定期連載していた作品で、とても好きだったのだが、未完のまま掲載されなくなり、今回の単行本化には懐かしさの余り感動。

初出を見ると1990年から1992年までの9話。
学生ライフの中に携帯電話がなく、家にかかってきた女の子からの電話を取り次がれる様が時代を感じさせる。
そういう描写に懐かしさを覚える人にはお勧め。
でも、未完なのでストレスは溜まるかも。

ところで、桜ちゃんの歯ブラシまとめ買いのエピソードは連載時も理解できなかったが、今でも分からない...

西村 しのぶ: メディックス

西村 しのぶ: メディックス

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July 03, 2006

西 炯子: STAYネクスト夏休みカッパと

地方の高校生を描いたSTAYシリーズの一編である表題作を含めた短編集。

STAYシリーズはこのところひとつのエピソードが膨らみ、もはや長編と言えるくらいのエピソードもあれば、どれがどれだか分からないエピソードもあって、混乱していた感があった。
この作品は短編集になっているため、テンポよく読みやすい。

表題作以外の作品は直接STAYシリーズに関係ないものも含まれているが、地方を描いたという共通項はある。
ほのぼの系だけではなく、ちょっとハードだったり、ハッピーじゃなかったり、作者ならではの良さの出ている作品が並んでいる。
やはり作者の良さはこのくらいの短編の方にあるように思うのだった。

西 炯子: STAYネクスト夏休みカッパと

西 炯子: STAYネクスト夏休みカッパと

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