吉野 朔実: 記憶の技法
サスペンスの雰囲気のある作品集の文庫化。
表題作は自分の不確かな幼少時の記憶を辿って、真実に迫ろうという女子高生の話。
そこへ登場する大人びた男子の少年時代を描いた作品などを収録している。
どれもつまらなく言ってしまえば犯罪のにおいのする作品たちで、サスペンスというのはこういう読者に不安感を与えるものでなければならないと感じさせる。
また、主人公たちの周り(の人々や環境)と何か違っている、合っていないと感じる違和感のようなものも特徴ではあるが、作者の作品すべてに通じている要素なので、この作品集に限ったことではない。
それも含めて、上質のサスペンス作品を読んだという読後感が心地よい。
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