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August 29, 2006

さそう あきら: トトの世界

猟奇殺人犯に監禁され犬と共に育てられた言葉を持たない少年と少年に言葉を教えようとする女子高生の話。文庫全3巻を一気読み。

当初は単なる自然児の話かと思っていたら、少年の正体、猟奇殺人犯の動機など、ミステリーの要素が露わになっていき、少年は少女と共に狙われるようになっていく。
協力してくれる大人たち、とりわけ新聞記者の描かれ方は若干薄いけれど、きちんとミステリーとしてのストーリーテリングがなされている。

ハートウォーミングではないけれど、ドラマとしては上出来。

さそう あきら: トトの世界 1 (1)

さそう あきら: トトの世界 1 (1)

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August 28, 2006

奥瀬 サキ: 夜刀の神つかい 10

現代に甦った吸血鬼の話。

この巻でひとつの章が終了。
主人公が、吸血鬼の生け贄となり自らも吸血鬼と化した恋人との戦いに決着をつける。

後半は主人公が戦いに新たな意味を見出した新章に突入。
相変わらず時系列が入り組んでいるため、誰が死んでいて死んでいないのか分かりにくい。

奥瀬 サキ: 夜刀の神つかい 10 (10)

奥瀬 サキ: 夜刀の神つかい 10 (10)

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August 27, 2006

幸村 誠: ヴィンランド・サガ 1

北欧バイキングを描いた作品。

既に持っている作品だけれど、連載がアフタヌーンに移ったということで、出し直したもの。
来月2巻、再来月に新作として3巻が刊行予定。

出版社が変わるわけでもないのに出し直しって、あざといといえばあざといけれど、今回はそれに乗ってみました。
内容が良いので、まだ救いがあるかと。

幸村 誠: ヴィンランド・サガ 1 (1)

幸村 誠: ヴィンランド・サガ 1 (1)

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August 26, 2006

木尾 士目: げんしけん 8

大学のオタク系サークルを描いた作品。

この巻では、自分が表現したもので他人が傷つくことがあること、それを受け入れることが描かれている。
それはやおいの同人誌に過ぎないのだけれど、読み手の多少ではなく、表現することはそういうことがあるのだということを真摯に描いていて好感が持てる。
少々シリアスなそうした話題とオタク同士の恋愛の仕方をうまく絡めているところは飽きさせずに読ませる。

また、後半には表現するもの同士のプライドや反発も描かれているが、前半と共通するのはオタクの自己表現の少なさというか遠慮がちな部分。
そうした自己主張が少ないのは、オタクが少なからず表現者として言葉を含めた自己表現が相手に及ぼす影響を自覚しており、相手にどう思われるのか、傷つけやしないかを常に意識しているからだと気付かせてくれる。

トータルとして非常に質の高い巻。次巻が最終完結になるらしい。

木尾 士目: げんしけん 8 (8)

木尾 士目: げんしけん 8 (8)

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August 25, 2006

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション

大晦日、年明けも間近な都会のホテルで巻き起こるエピソードを描いた作品。三谷幸喜監督。

映画で本編を観たばかりだったので特典DISCのみ鑑賞。

メイキングはセットと長回しについて、イベントは制作発表から完成披露、試写会、ヒット記念舞台挨拶まで盛りだくさん。
いずれも三谷幸喜のサービス満点なコメントが楽しく飽きずに最後まで観ることができる。珠玉は公開初日舞台挨拶。

未公開シーンも三谷幸喜自らによりカットに理由が説明されており、興味深い。

正直、本編を観たときにはそれほど長回しのワンシーンワンカットが多いという印象がなかったが、なるほどと思わせる場面がいくつもあった。
その緊張感がうまく笑いにつながっているのであろう。

どうやら「クネクネ」の映像も隠れているようだが、面倒がって探していないのだった。

: THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション

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August 24, 2006

THE 有頂天ホテル

大晦日、年明けも間近な都会のホテルで巻き起こるエピソードを描いた作品。三谷幸喜監督。

カウントダウン・パーティー、授賞式、疑惑の政治家の処遇と、年末も押し迫りホテルは多くのイベントで大忙し。
そこへ巻き起こるトラブルの数々。ちょっと滑稽な人々のすれ違いで、ちょっとおかしく、ちょっといいお話が続く。

限られた舞台で多くの登場人物がそれぞれのエピソードを抱え、それぞれに笑いを取っていく。
それだけに主役という役割は基本的に存在せず、狂言回しとしてホテルスタッフの副支配人がいるに過ぎない。
それでも十分に魅力的で主役級のキャストがこれでもかと登場するのは贅沢としか言いようがない。
三谷幸喜のシチュエーションコメディの真骨頂とも言うべき作品。

~8月24日・ギンレイホールにて~

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August 23, 2006

春日 武彦: 奇妙な情熱にかられて―ミニチュア・境界線・贋物・蒐集

奇想と言われる人の行動に関して考察を交えた本。

特に「ミニチュア」「境界線」「そっくりなもの」「蒐集という営み」の4つの人の行動を取り上げ、そこに潜むひとの心を惹きつける何かについて考察している。
精神科医である著者は、それらが神経症という極端に発現する例を数多く見ており、そうした例を取り上げる一方で、それらが誰にも多かれ少なかれ存在するという立場から自らの嗜好も含めて言葉による探求を模索する。

特に著者が研究の成果として結論めいたものが先にあって、そこへ至る経過を述べるのではなく、言葉を紡ぎながら結論めいたものを探っていく構成を取っている。
そのため、終章にあるとおり、当初見込んでいたのとは異なる要素を著者が発見する様は興味深い。

そのため、こうした本には結論があるべきと考え、「何が言いたいのか」を求める向きにはストレスが残ることになるであろう。

春日 武彦: 奇妙な情熱にかられて―ミニチュア・境界線・贋物・蒐集

春日 武彦: 奇妙な情熱にかられて―ミニチュア・境界線・贋物・蒐集

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August 22, 2006

おかざき 真里: 銀になる

フィギュアスケートのコーチを追いかけてコーチを受けようとする少女の話。

ジュニアで輝かしい成績を残していたにも関わらずスケートを好きになれなかった主人公は、怪我でオリンピックを諦めた男性コーチに惹かれて、コーチを受けようとブランクをものともせずスケートを再開する。

あらすじだけ見るとスポ根ものになってしまいそうだが、「好き」というキーワードでコーチ自身やスケートに対する想いに重点を置いている。

初出を見ると、2006年初頭と春の2回に分けて短期連載されている。
2006トリノ五輪の影響が2回目の短期連載を実現させたことは想像に難くない。

タイトル作品シリーズの他には、少々古めの短編『夏草子』を収録。哀しみが染み入る佳作。

おかざき 真里: 銀になる

おかざき 真里: 銀になる

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August 21, 2006

梶原 一騎: 新巨人の星

完全試合と引き替えに左腕を壊して引退した星飛雄馬がカムバックする新シリーズ文庫版全6巻を一気読み。

「新約『巨人の星』」が話題の昨今、原作者たちがどのように往年の名作を甦らせたのか確かめる意味で一気読み。
同時期のアニメを観ていたので、一通りストーリーは覚えており、記憶が呼び起こされるような感覚があった。

草野球の代打屋で暮らしていた星飛雄馬が長嶋監督の下で最下位に沈んだ巨人の不甲斐なさにカムバックを決意するところから始まる。
代打屋だけではものにならないと見て殺人スライディングを身に付け、さらに右腕投手として復活を果たす。
最後には大リーグボール右一号が登場するものの、基本的にはプロ野球選手の素質と努力、精神状態をうまく描いた作品のように感じられた。

言ってみれば、「巨人の星」が少年マンガならば、「新巨人の星」は青年コミックと言うくらいの違いだろうか。
それでも大リーグボールを登場させなければならなかったのは、自分を含めてアニメを期待していた子供たちが分かりにくいプロ選手の実力よりも分かりやすい魔球を求めた結果だとすれば、志半ばの作品とも言えるかもしれない。

文庫版では各巻で意外な著名人が解説を書いており、「巨人の星」の果たした役割を間接的にではあるけれど感じ取ることができる。

梶原 一騎: 新巨人の星 (1)

梶原 一騎: 新巨人の星 (1)

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August 18, 2006

月刊池脇千鶴

主に女優として活躍している池脇千鶴の写真集。

漁業を主な産業としている南の島の女性という設定で撮られた写真は花やノイズを散らした手法が独特で面白い。
24歳になったという池脇千鶴は、つくづくこうした何もない町や古い家の中の様子にマッチするな、と感じる。
決して最先端の街やゴージャスといったイメージには当てはまらないところが魅力なのだろう。

割と赤裸々に語っている巻末のインタビューも興味深い。

月刊池脇千鶴

月刊池脇千鶴

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August 17, 2006

及川光博ワンマンショーSPECIAL!!日本舞踏館

2006年6月9日に武道館で行われた及川光博のライブDVD。

タイトルの通り、踊れる楽曲を集めてファンも一体となったライブの様子が収められている。
特にステージ後方には特に熱心なファンがミッチーやダンサーに合わせて踊るバックダンサー席とされている席も設けられている。
当然ながら、振り付けも衣装も気合いの入っているファンたちがミッチーの後ろに映っているのだが、一人だけネクタイ姿のサラリーマンがおり、途中からはそれが気になって仕方なかった。

曲のラインアップは以前のものが多く、古いファンにも、いや古いファンの方が楽しめそうな内容。
ジャケット写真を見ると、ドラマ衣装で登場したシーンはカットされているようだった。

映像特典やコメンタリーは一切なし。
ライブの日から短い期間で発売されたことに意義があるものと考えた方がよさそう。

及川光博ワンマンショーSPECIAL!!日本舞踏館

及川光博ワンマンショーSPECIAL!!日本舞踏館

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August 16, 2006

カズオ

3x3のマス目を3x3に並べた盤上に1から9までの数字を入れていくパズルゲーム。PSP用。

海外で「数独(SUDOKU)」として人気を博しているパズルをゲーム化したもの。歴史は長いらしいが、今回のブームは日本のパズル雑誌を手に取ったニュージーランド人グールドがパズルの自動生成プログラムを考案して新聞のパズル面に売り込んだことから始まったとのこと。
社会人になりたての十数年前に、知り合いに貰ったパズル雑誌では「ナンバープレイス」という名前で掲載されており、いくつか解いた覚えがあったのでルールはすぐに理解。

ゲームソフトもブームを受けていくつか出ているが、PSP用では著作権の問題なのか「カズオ」というタイトルとなっている。
PSP用では無線LAN機能を利用した複数人同時プレイや1台を複数人で回して解いていくパターンも用意されている。
ただ、それらは使ったことがなく、ベーシックな1人プレイの「ひとりでカズオ」をプレイ。

パズルは難易度を「易」「並」「難」「極」の4段階で設定してあり、それぞれに目標時間が決められており、それより早くクリアできるほどポイントが高くなる仕掛けがある。
また、プレーヤー登録ができるため、プレーヤーごとにクリアポイントをためていくことで称号を与えられる。

長いストーリーがあるわけでもなく、決まったルールを異なるパターンで繰り返しプレイできるため、短い空き時間にプレイするにはもってこい。
何度かプレイし、ある程度クリアできるようになると、効率的なクリア手法を見つけようと、さらに何度もプレイしてしまう。
また、自分なりのクリア手法を確立すると、今度はクリア時間の短縮に努めるようになって、さらに何度もプレイしてしまう。
こうした飽きさせない仕掛けは心憎く、中毒性が高い。

パズルは全部で1000問用意されている。
購入してからここまで、300問弱をクリアしたところだが、クリア時間は「易」で2分台、「並」で3分台、「難」で7分台、「極」で8分台がベストタイム。
称号は「銀河のカズオ」までなったけれど、この上はないのか、と。

頭を柔らかくしたいときなどにちょうど良く、まだしばらくは楽しめそう。

カズオ

カズオ

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August 15, 2006

曽田 正人: シャカリキ! 3

坂を上ることが好きな自転車乗りの少年の話。文庫化第3弾。

高校総体を目指してチームレースに挑戦するテルを始めとする亀高自転車部だったが、個性のぶつかり合うメンバーは没個性のチームプレイに敗れる。
そこへ現れる強烈なライバル。
新しい目標に向かって動き出そうとする巻。

このあとの展開を覚えているだけに、どこまでが3巻に収録されるのか気になっていたが、話の佳境は次巻へ持ち越し。
4巻はかなり泣けそう。

曽田 正人: シャカリキ! 3 (3)

曽田 正人: シャカリキ! 3 (3)

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August 14, 2006

吉野 朔実: 記憶の技法

サスペンスの雰囲気のある作品集の文庫化。

表題作は自分の不確かな幼少時の記憶を辿って、真実に迫ろうという女子高生の話。
そこへ登場する大人びた男子の少年時代を描いた作品などを収録している。

どれもつまらなく言ってしまえば犯罪のにおいのする作品たちで、サスペンスというのはこういう読者に不安感を与えるものでなければならないと感じさせる。
また、主人公たちの周り(の人々や環境)と何か違っている、合っていないと感じる違和感のようなものも特徴ではあるが、作者の作品すべてに通じている要素なので、この作品集に限ったことではない。
それも含めて、上質のサスペンス作品を読んだという読後感が心地よい。

吉野 朔実: 記憶の技法

吉野 朔実: 記憶の技法

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August 08, 2006

西村 しのぶ: 下山手ドレス別室

作者の消費生活を中心とした日常を描いたエッセイコミック集。

8年にも渡っているので、絵柄の変化もさることながら消費行動の変化も一冊の中で確かめることができる。

こういうのをロハスというのかなぁ、と思ったり。

西村 しのぶ: 下山手ドレス別室

西村 しのぶ: 下山手ドレス別室

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August 07, 2006

吾妻 ひでお: 夜の帳の中で―吾妻ひでお作品集成

『失踪日記』が話題となった作者の80年代前半の作品を中心にまとめた作品集。

当時はロリコンものと呼ばれていたような覚えがあるけれど、多様化する志向の中で現在では「美少女もの」と呼ばれるような作品たち。
少女たちを題材とした性描写と言うだけで、目くじらを立てられる昨今、自由な表現が懐かしささえ感じられる。

作者のもうひとつの持ち味である「不条理さ」も良し。

吾妻 ひでお: 夜の帳の中で―吾妻ひでお作品集成

吾妻 ひでお: 夜の帳の中で―吾妻ひでお作品集成

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August 06, 2006

佐々木 倫子: 月館の殺人

沖縄に育ち鉄道嫌いの母親のせいで鉄道に乗らずに育った女子高校生が初めて乗った鉄道で殺人事件に巻き込まれるミステリー。綾辻行人・原作。

母親を亡くし、唯一の肉親である祖父がいると聞いた主人公は、北海道の企画ものの鉄道に乗る。
そこに同乗していたのは筋金入りの鉄道オタクたち。
世間知らずも加わり、見当違いの答えしかできない主人公とのコミュニケーションは熾烈を極める。
そんな中で起きた殺人事件に、推理は一進一退を繰り返す...

さすが、きちんとしたミステリー作家の原作だけに、本格的なミステリーに仕上がっている。
とはいえ、鉄道オタクを絡ませ、一筋縄でいかないキャラクターたちがドタバタを演じるのは、若干じれったさも感じる。
それに、最初に犯人だと感じたキャラクターが犯人だったし。

佐々木 倫子: 月館の殺人 上  IKKI COMICS

佐々木 倫子: 月館の殺人 上 IKKI COMICS


佐々木 倫子: 月館の殺人 上  IKKI COMICS

佐々木 倫子: 月館の殺人 上 IKKI COMICS

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August 05, 2006

松本 充代: Dutch Doll

危うい性を生きる若者たちの姿を描いた中短編集。

懐かしい作者の名前を見て思わず購入。
清原なつのの若いときのようなシンプルな絵柄で赤裸々な性を描いた作家としていくつか作品も持っていたはず。

この本に収録されているのは、SMやスカトロ、ドラッグまで描かれた作品たち。
サイコサスペンスのようなストーカーものから東京に出てきた若者の末路を描いた作品までドラマ性には富んでいる。

ただ、この作者の良さはこういう話を描くからだったか、うまく思い出せない。
あとがきによると、今世紀初めての単行本だそうだが、収録作品はいずれも前世紀に描かれたものだそう。
新作があるのか不明、というか調べるほどには興味がないだけ。

松本 充代: Dutch Doll

松本 充代: Dutch Doll

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