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November 08, 2006

川上 弘美: 光ってみえるもの、あれは

高校一年の少年、一人称の話。

主人公、江戸翠は何事にも「ふつう」と答えるような少年。
母親はフリーライターで(戸籍上の)父親はいない。
バイトもするし、ガールフレンドとセックスもするけれど、それに無我夢中にはならない。
親友が女装することになったり、(遺伝上の)父親とはたまに会ったり、ガールフレンドに振られたりするけれど、大した感慨もなく、けれどなんとなく想いも抱え、夏休みに入って親友と長崎の島に向かう。

少々個性的な家庭に生まれ育った微妙なニュアンスと、リアクションに薄い少年の感覚は丁寧に描かれている。
また、薄いリアクションの中にも湧き上がってくる性欲と、そのあしらい方も過剰にならずに的確に描かれている。
それは、作者が女性であるという印象が強いためかもしれないけれど。

惜しむらくは、ガールフレンドの容姿が余り描かれておらず、言動や態度から魅力的なのは分かるのだけれど、性欲につながる部分が欠落しているように感じられる。
そのため、主人公の湧き上がる性欲を表に出さない少年らしいプライドがあまり感じられないのが残念。

前半は緊張感のある展開で読ませるのだけれど、後半は離島中心のストーリーとなって、今ひとつ緩い感じ。
ラストもその流れの中でまとまってしまっているようで少々期待はずれ。

川上 弘美: 光ってみえるもの、あれは

川上 弘美: 光ってみえるもの、あれは

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