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November 19, 2006

東京ヴォードヴィルショー『エキストラ』

劇団トウキョウヴォードヴィルショー第61回公演。作・演出は三谷幸喜。

舞台はあるドラマのロケ先、エキストラの控え場所となっている廃寺の本堂。
天気のせいでなかなか進まない撮影、シーンの変更に合わせて着替えを強いられるエキストラたち、そうした調整がうまくできないエキストラ派遣事務所の新米マネージャー(はしのえみ)、現場が初めてというエキストラ(伊東四朗)、エキストラ出身の役者(佐藤B作)、エキストラを邪険に扱うAD<アシスタントディレクター>などがエキストラの控え場所にやってきて物語は進んでいく。

業界の慣習に振り回される人々に笑い、それを打ち壊そうとする人(角野卓造)と共に憤り、その情熱と無力感に涙し、ひとつの完遂にスッキリする、という三谷幸喜作品のツボはすべて備えている。
クライマックスの緊張感と脱力のタイミングも絶妙で、2時間を超える上演時間も短く感じられる。

役者陣は客演も含めて安定感があり、安心して観ていることができる。
特にベテラン陣をエキストラに持ってきて、ドラマスタッフやドラマの主役の役を若手に振っていることが功を奏しているように感じられた。

~2006.11.19 新宿 紀伊國屋サザンシアターにて~

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November 14, 2006

夢枕 獏: 新・魔獣狩り〈10〉空海編―サイコダイバー・シリーズ

空海の残した秘法、蓬莱山の黄金、そして鬼道の力を巡る冒険譚。第10巻。

もはや誰と誰がどのような関係で、今どこにいるのか、どのような状態にあるのか、前の巻を読み返さずに把握することは困難な状態になっている。
それが作者にも感じられたのか、この巻では登場人物が一カ所に集まるシーンが多く、継続的な課題(このまま登場させるには些か邪魔に感じられる登場人物など)がいくつか整理・解消されている。

また、この巻では新たに現代ばかりでなく、古代や中世の描写が多用され、現代につながるエピソードが挿入されている。

あとがきに書かれているように、ラストに向かって収斂していく様子がうかがえる。
一方、主要人物たちがあまり活躍していないのが気になる。特に美空。

夢枕 獏: 新・魔獣狩り〈10〉空海編―サイコダイバー・シリーズ

夢枕 獏: 新・魔獣狩り〈10〉空海編―サイコダイバー・シリーズ

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November 11, 2006

獣木野生: パーム (29)

80年代のアメリカ西海岸を舞台にした大河作品。

ジェームスの出生の秘密とマフィア内の抗争を題材にした『午前の光』編もこの巻で完結。
マフィアの抗争とは言っても、どことなく緊迫感がないのは気のせいか。

振り返ると、当初のオーガス家の退廃した雰囲気の方が、探偵ものとしては合っていたように思える。
この巻で明かされる謎も、エキセントリックな関係性の中では、もはや驚きには値しなくなっている。

その意味では、これに続くシリーズでの展開が期待される一方で心配でもある。

獣木野生: パーム (29)

獣木野生: パーム (29)

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November 10, 2006

FREEDOM previsited

カップヌードルのCMに端を発したFREEDOM projectがいよいよアニメーション作品として現れると期待された矢先にDVDが発売延期となったため代わりに発売となった「予告編」というか「前振り」というか、そんな作品。

内容は10分足らずの本編の一部、それにCMで放映された作品、それにメイキングとしてスタッフたちへのインタビューが収められている。

まぁ、本編を期待させるだけのクオリティの一部を垣間見ることはできる。
ただ、インタビューの中に大友克洋がいないことで初めてスタッフとして大友がどこまで関わっているのか不安に思ったのも確か。
また、ストーリーというか世界観も一通り説明されてしまっているので、本編で謎解きも含めて楽しみにしていた向きにはもう少しの我慢をお勧めする。

: FREEDOM previsited

FREEDOM previsited

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November 09, 2006

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 14

宇宙のテロリストを追ってきた捜査官バーディーが地球の少年と一心同体になって敵を追っていく話。

前巻までしばらくバーディーの生まれ育った環境を語るインターミッションだったので、久々の本編。
氷川ケミストリィが摘発され、獣人(ビースト)騒動も収まるかに思われたが、残党や謎の存在、ゴメスとの間に争いが生じる。
それらの関係が分からないまま首を突っ込んでいくバーディーだが、表だっての捜査ができない状況に追い込まれる。

アクションシーンは決して多くはないけれどサスペンス的な要素は存分に楽しめる巻。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 14 (14)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 14 (14)

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November 08, 2006

川上 弘美: 光ってみえるもの、あれは

高校一年の少年、一人称の話。

主人公、江戸翠は何事にも「ふつう」と答えるような少年。
母親はフリーライターで(戸籍上の)父親はいない。
バイトもするし、ガールフレンドとセックスもするけれど、それに無我夢中にはならない。
親友が女装することになったり、(遺伝上の)父親とはたまに会ったり、ガールフレンドに振られたりするけれど、大した感慨もなく、けれどなんとなく想いも抱え、夏休みに入って親友と長崎の島に向かう。

少々個性的な家庭に生まれ育った微妙なニュアンスと、リアクションに薄い少年の感覚は丁寧に描かれている。
また、薄いリアクションの中にも湧き上がってくる性欲と、そのあしらい方も過剰にならずに的確に描かれている。
それは、作者が女性であるという印象が強いためかもしれないけれど。

惜しむらくは、ガールフレンドの容姿が余り描かれておらず、言動や態度から魅力的なのは分かるのだけれど、性欲につながる部分が欠落しているように感じられる。
そのため、主人公の湧き上がる性欲を表に出さない少年らしいプライドがあまり感じられないのが残念。

前半は緊張感のある展開で読ませるのだけれど、後半は離島中心のストーリーとなって、今ひとつ緩い感じ。
ラストもその流れの中でまとまってしまっているようで少々期待はずれ。

川上 弘美: 光ってみえるもの、あれは

川上 弘美: 光ってみえるもの、あれは

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November 07, 2006

久世 番子: 暴れん坊本屋さん(3)

マンガ家兼書店員の作者によるコミックエッセイ、最終巻。

これまでは書店業界独特の商慣習によるネタが多かったけれど、この巻では客商売ならではの客対応(あしらい)ネタが多くなっている。
その一方で、作者ならではの視点で書店回りなど出版社ネタも含まれている。
さすがに取り次ぎネタは難しかったかなと思いつつ最終巻。

これ以上続けても業界ネタよりプライベートネタが多くなってしまいそうで、その前に終えるのは正解な気がする。

久世 番子: 暴れん坊本屋さん(3)

久世 番子: 暴れん坊本屋さん(3)

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November 06, 2006

桑田 乃梨子: 豪放ライラック (5)

不器用で甘えん坊だけれどやる気だけは人並み以上にあるために周りに迷惑かけるばかりの女子高生の話。

それぞれにキャラも立って、恋愛事情もお決まり感が強くなっている。
それでいてラストまでは進展はさせていけないのだから大変であろうと同情してしまったりする。

そんなわけで進展のない(でも、引きはある)まま次巻へ続く。

桑田 乃梨子: 豪放ライラック (5)

桑田 乃梨子: 豪放ライラック (5)

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