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January 30, 2007

大塚 英志: 黒鷺死体宅配便 6

大塚英志・原作、山崎峰水・画のホラーコミック。仏教系大学の個性派5人が身元不明の死体の依頼を受ける話。

これまでは1話完結のエピソードが多かったが、この巻は割と大きな物語の中に組み込まれていくストーリーものの様相を見せている。

後半は大塚英志お得意の柳田国男をモチーフにした外伝。
安定感のある面白さが楽しめる。

大塚 英志: 黒鷺死体宅配便 6 (6)

大塚 英志: 黒鷺死体宅配便 6 (6)

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January 29, 2007

西 炯子: 放課後の国

地方高校の3年生のクラスの中にできたクセのある面々を揃えた班の話。

数学フェチの片想い、自分の声が恥ずかしいと寡黙な星占い好きの天文マニア、エロ小説を書く堅物で通っている元生徒会長など、個性的なメンバーのエピソードを読み切り形式でまとめている。

筆者自らあとがきで「人間関係を構築することが苦手」と吐露しているとおり、それぞれ個性的なメンバーは一人でいることが多い。
それを馬鹿にしたり、可哀想とずかずかと土足で入り込んでくるような人間関係の作り方を彼らは好まない。
それを知っている筆者の視線は、面白おかしいエピソードの中でひたすら優しく感じられるのだった。

西 炯子: 放課後の国

西 炯子: 放課後の国

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January 28, 2007

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって Vol.7

公立高校の新設野球部の話。

夏の甲子園を目指す全国高等学校野球選手権埼玉大会に挑む西浦高校の面々。
強豪・桐青高校に善戦しながら回は終盤へ。

7回裏から8回裏までを描き、最終回・西浦の攻撃というところで次巻。
密度が濃いから良いけど、なかなか進まないなぁ。

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって Vol.7 (7)

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって Vol.7 (7)

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January 27, 2007

吾妻 ひでお: 逃亡日記

マンガ家・吾妻ひでおの生い立ちから失踪前後のエピソードをインタビュー形式でまとめた本。

書店の店頭で見たときには、ヒット作『失踪日記』のようなコミックエッセイの形式かと思ったが、コミック形式は冒頭と巻末のみで若干裏切られた気分。

それでも面白く読ませるのは、インタビューの仕方がうまいのか。ネタ自体が面白いのか。

いずれにせよ、『失踪日記』を読んでいないとほとんど意味が分からないと思われ、読んだ人にはちょっと気になったかゆいところに手が届いた感覚を味わえるだろう。

それでも、コッミクエッセイ部分が最も面白いのは致し方ないところだろう。

吾妻 ひでお: 逃亡日記

吾妻 ひでお: 逃亡日記

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January 23, 2007

平野 史: サッカー監督はつらいよ

架空のプロサッカー監督の仕事を通じてサッカークラブの置かれている状況などを描いている本。

架空のプロサッカー監督J氏が監督就任のオファーを受けるところから始まり、受諾、チーム作りを通してサッカークラブ監督の仕事内容について、気を遣う部分も含めて描かれている。
他チームの噂やJ氏が以前にコーチとして勤めていたチームでのエピソードも交え、Jリーグの問題点やトラブルの真相を語っていく。
まだまだ歴史も浅く、プロフェッショナルに徹し切れていないクラブ運営会社フロントと現場担当である監督との役割分担など、プロスポーツに興味がある人には面白く読めるだろう。

形式としてはJ氏を主人公とした小説にもできたように思えるくらい、題材は面白くドラマチック。
著者にそのようなテクニックがなかったのかもしれないが、その分、淡々とした文章にはJリーグの現状を知ってもらいたいという意図が感じられて、これはこれで良いと思われる。

後半はオフト以降の日本代表チーム監督について、メディアの裏側事情も含めて短くまとめられている。
オシムの就任以降の数試合まで収められており、メディアから見た歴代監督の姿は興味深い。

全体としては落ち着いた感じで、日本プロサッカー界の状況を伝えていて好感が持てる。
それが逆に、野球体質から抜け出せずW杯ばかりに盛り上がり監督の言動やスキャンダルばかりを取り上げる日本のメディア状況の貧しさを浮き彫りにしているように感じられた。

平野 史: サッカー監督はつらいよ

平野 史: サッカー監督はつらいよ

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January 22, 2007

夢枕 獏: 新装 餓狼伝〈the Bound Volume 2〉

世界最強を追い求める男達を描いた格闘技小説「餓狼伝」の合本第2弾。

「餓狼伝Ⅳ」「餓狼伝Ⅴ」「餓狼伝Ⅵ」「餓狼伝Ⅶ」を収録。

巻末には格闘技関連年表を収録。
「餓狼伝」がどのような時期に描かれ、現実の格闘技がそれをなぞるかのように発展していったことが分かる。
とはいえ、その頃の記憶がある人間にはまだしも、最近になって興味を持った人には少々不親切かもしれない。
最近の出来事にしても、曙の負けなど年表に入れるには些末と思われる内容が多く、バランス感覚は今ひとつ。

夢枕 獏: 新装 餓狼伝〈the Bound Volume 2〉

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January 21, 2007

禿禿祭(はげちびさい)

高橋克実と八嶋智人の二人による公演。二部構成。

第1部は岸田國士・作の「命を弄ぶ男ふたり」。
線路脇、周りに人家のない外灯の下で自殺を目論む男二人が会話を重ねる話。
どちらが死ぬに値する理由を持っているか、どちらが先に命を絶とうとするかと言った会話を通して、自ら命を絶とうとすることに理由を求めることの無意味さや滑稽さを表現している。
という話なのだと思ったが、所々に小ネタが散りばめられ、なかなかテーマが見えにくくなっているように感じた。
それも、この二人を目当てに来場している観客の期待を考えれば致し方のないところか。
大したことのない小ネタにも関わらずかなりの大笑いを誘っていて、少々邪魔に思えなくもなかった。

第2部は日替わりゲストを招いてのトーク。
歌謡ショーから始まり、この日のゲストは清水ミチコ。
声帯模写講座から、引き語りでユーミン、矢野顕子、美輪明宏のネタを披露。
ラストに再び歌と踊り。

1部と2部の落差はともかく、期待通りに楽しいステージでした。

~2007.1.20 世田谷パブリックシアターにて~

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January 20, 2007

金子 達仁: 敗因と

3人のスポーツライターによる2006ドイツW杯でのサッカー日本代表の状況をインタビューや他国の実況の様子で再現したノンフィクション。

2敗1分けという惨敗に終わった直後、監督の采配や選手間の不仲、特定の選手の名前を挙げての戦犯探しがスポーツ紙や週刊誌を中心に盛り上がったが、実際のところはどうだったのか、膨大と思われるインタビューによって再構成している。

とはいえ、真実の戦犯探しをしているのではない。
采配ミスと言われた監督ジーコについてはあくまで選手を信頼していたし、意見の衝突のあった中田英寿と宮本恒靖もチームとしての勝利を目指しての対立であった。
分裂していたチームもベテランの不在と各選手が置かれていた立場からすれば致し方ないと言った書かれ方となっている。
あくまで誰々のせいで敗れたのだと結論づけてはいない。

なんとなく、誰も悪くなかった、一生懸命やった、仕方のないことだったのだ、というテイストに溢れているように感じられる。
証言が実名の選手と「ある選手」とされていることの差異も勘ぐってしまいそうになる。

金子 達仁: 敗因と

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January 15, 2007

能田 達規: オーレ! 1 (1)

地方公務員が地元サッカーチームのスタッフとして運営に関わっていく話。

千葉県上総市の市役所に勤める中島は4年に1度ワールドカップで日本代表を応援する程度のサッカーファンであったが、地元プロ2部リーグのサッカーチーム・上総オーレの通訳として出向を命じられる。
それまで全く無関心であった地元チームの現実に失望しながらも、熱く関わっていく姿を描く。

同じ作者の「ORANGE」が同じプロ2部リーグを題材にしながらも、選手の側から描かれ、財政難も選手にとっての苦労話となっていたのに対し、「オーレ」では裏方であるスタッフの立場から描かれているのが特徴。

主人公の中島はワールドカップで日本代表は応援するものの、国内リーグには関心なく、その現状にも疎い。
こうした日本代表限定サッカーファンは決して少なくなく、地元浦和レッズの試合をずっと見続けている立場からすると、せっかく面白いものを観ようとしない人たちという印象を持ち続けてきた。
「オーレ」においても、中島は地元チームを応援するサポーターの姿に驚き、クラブに積極的に加わっていく姿が描かれている。
そのため、単純に日本代表限定サッカーファンを揶揄するだけかと思いきや、クラブのこれまでを知るスタッフに対して中島は叫ぶ。

「どうしてお前らはそんな感動を独占してんだよ!!」
「お前らだけで楽しんでんじゃねーよっ!!!」

ここで読者としては涙を禁じ得なかった。
日本代表限定サッカーファンだって、すべてを知った上で国内リーグに興味がないわけではない。
日本代表にあるような感動を求めているにも関わらず、それがどこにあるかを知らないだけなのかもしれない。
それに気付かせてくれる名セリフとして記しておきたい。

やる気のない地方公務員が出向先の民間企業で...というストーリー構成は、(原作も読んでいないし映画も観ていないけれど)『県庁の星』を思い起こさせる。
けれど、そんなことも越えた感動がサッカーという題材にはある。

おまけマンガも付いていて、お得感もあり。

能田 達規: オーレ! 1 (1)

能田 達規: オーレ! 1 (1)

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January 10, 2007

夢枕 獏: 新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉

世界最強を追い求める男達を描いた格闘技小説「餓狼伝」の合本第1弾。

「餓狼伝Ⅰ」「餓狼伝Ⅱ」「餓狼伝・秘篇 青狼の拳」「餓狼伝Ⅲ」を収録。

単なる合本と言うことで迷ったが、整理の意味も含めて購入。
正確なところは分からないけれど、加筆・修正も加えられているとのことで、確かに読みやすくなっていると感じられる部分がある。
それも総合格闘技がなかった時代に書かれた総合格闘技小説と考えれば、合点がいくだろう。
当時はグレイシーも柔術もK-1もPRIDEもなかった時代、そのひとつひとつの技を描写する手段すら確立されていなかったとするなら、その意義は非常に高く、また興味深い。

夢枕 獏: 新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉

夢枕 獏: 新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉

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January 09, 2007

西村 しのぶ: サード・ガール 3 (3)

1980年代中盤、神戸を舞台に背伸びしたい女子中学生と理系大学生とのつきあい模様を描いた作品。20年振りに完全版として復刊した第3巻。

涼と美也さんが社会人となり、夜梨子が高校生となって少し余裕のあるエピソードが多い巻。そして、まりをさんの存在感が大きくなってくる巻でもある。
「有栖川」のエピソードや一晩7万円のエピソードは割と鮮明に記憶に残っている。
それにしても新卒間もない新人のはずの涼には分不相応な気がしてならないのだが...

このあと、どんなエピソードがあったのか、あまり思い出せないだけに期待は続く。

西村 しのぶ: サード・ガール 3 (3)

西村 しのぶ: サード・ガール 3 (3)

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January 08, 2007

小山田 いく: すくらっぷ・ブック (4)

長野・小諸の中学校を舞台にした青春グラフィティの復刻版第4弾の最終巻。

受験、卒業と中学時代のイベントが目白押しの最終巻。
未来への漠然とした不安を、大人への第一歩を踏み出すことであったり、新しい人間関係だったり、これまでの人間関係を清算することであったりすることを的確に描写している。
その丹念な描写が時には恥ずかしくなるほど青臭いのだけれど、やはり卒業のシーンは涙してしまうのだった。

折角の復刻版、作者の制作裏話エッセイコミックも掲載され、それなりの価値はあるのだけれど、やはりカラーページは忠実に再現して欲しかった。
どうせ価格に関わらず欲しい人しか購入しないのだから。

小山田 いく: すくらっぷ・ブック (4)

小山田 いく: すくらっぷ・ブック (4)

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January 05, 2007

イノセンス (Blu-ray Disc)

人々が電脳化された近未来。少女型の愛玩用ロボットが暴走し、人間を殺傷するという事件を巡る話。

はっきり言って、サスペンスとしてはアクションシーンが少なく、謎解きもはっきりせずに観念的なセリフが多いため、問題なく楽しめる作品ではない。
それゆえ、DVDでは購入していなかった経緯がある。
今回、購入したのはPLAYSTATION3でBlu-ray Discの実力を早く感じたかったからだ。

結論から言えば、もうDVDには戻れないと思えた。
描かれている情報がきちんと再生されており、それは圧倒的ですらある。
本編はHD、映像特典はSDで収録されているのだが、それを比較しただけでも違いは明らか。
初めてDVDの映像を見たとき、VHSビデオの映像にはもう戻れないと感じた覚えがあるけれど、同じ感覚をBlu-ray Discにも感じた。

分かりやすい例で言えば、スタッフロールで読み取れない文字が一切なかった。
個人的にはそれだけでも十分な価値があると考えている。
今後、Blu-ray Discでの発売が決まっている作品はそちらを待つことになるだろう。

イノセンス (Blu-ray Disc)

イノセンス (Blu-ray Disc)

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January 04, 2007

唯野未歩子 :「猿の子ども」

いとこに想いを寄せる女子高校生と、いとことその恋人を描いた話。小説現代12月号収録。

郊外の中学から都心の高校に進んだ主人公は、垢抜けた同級生達や言い寄ってくる男の子達との折り合いを付けながら、地元で8歳年上のいとことその恋人のもとに足繁く通う。
いとこの部屋で鍋をつつきながら3人で会話した後、いとこの恋人は姿を消してしまう。

垢抜けているけれど性的未成熟な都心の同級生達と、大して娯楽もないので性経験は豊富な地元の同級生達との感覚のギャップが反発を生んだりする高校生活の描写と、いとこカップルとの肩の力が抜けたやりとりの描写は対比的に描かれているけれど、終盤までどちらがメインなのか判断が付かなかった。
双方を同じレベルに描くことで、主人公の人となりはより把握しやすくなるし、そうしたエピソードの積み重ねは大事だと思うけれど、どちらがメインなのかははっきりさせておいた方が読みやすいと思う。
どちらかをメインに据えてしまうことで、あたかも二重生活のような中で主人公がどちらをどのように感じていたのか、逆に感じていなかったのか、読み手には分かりやすかったように思えた。

雰囲気は良いけれど、上記のような理由で今ひとつ読後感に欠ける気がする。

小説現代 2006年 12月号

小説現代 2006年 12月号

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January 03, 2007

夢枕 獏: 新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編

世界最強を追い求める男達を描いた格闘技小説。

タイトルに「新」と付いてはいるものの、基本的にはこれまでの「餓狼伝」からの延長であり、登場人物にも変化はなく、さしてタイトルを変えるほどの意味合いは感じられない。

それでも作品の面白さは相変わらず。
前田光世の最期もなかなかのもの。
菊式の謎についてはちょっと反則気味にも思えるけれど、ストーリーは積極的に動いていて今後を期待させる。

夢枕 獏: 新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編

夢枕 獏: 新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編

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January 02, 2007

浦沢 直樹: PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)

有名なロボットやその関係者が次々と破壊される事件を巡る話。

お茶の水博士も狙われ、アトムは立ち向かい、ユーロポールのゲジヒトは自分の記憶に恐怖する。

なんとなく普通のサスペンスものの体裁となってきて、あまり初期のワクワク感がなくなってきた。
舞台設定に慣れてきたというのもあるかもしれないけれど。

それにしても、最終ページのコマ割りはいつも同じなのだが...

浦沢 直樹: PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)

浦沢 直樹: PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)

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January 01, 2007

安彦良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (14)

安彦ガンダムの第14弾。

コロニー落としから連邦軍が本気でジオンを叩きに来るが、ルウム戦役に於いてジオンは奇襲により勝利する。
勝利の中でザビ家にそれぞれの思惑が生まれるが、連邦との間につかの間の休戦交渉が進められる。
しかし、捕虜となった連邦将軍レビルの脱出により戦端は再び開かれる。

冒頭以外はシャア曰く政治ショーの描写が多いが、それを自覚して立ち回るシャアがますます魅力的になっている。

帯には「オリジナルストーリー、遂に完結!」とあるので、次巻からは本編に戻るのであろう。

安彦良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (14)

安彦良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (14)

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