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February 04, 2007

ゆれる

東京でカメラマンとして活躍する弟(オダギリジョー)と、実家で父親の跡を継ぐべくガソリンスタンドを切り盛りしている兄(香川照之)が母親の法事で久し振りに顔を合わせたことで巻き起こる出来事を描いた作品。西川美和脚本・監督作品。

同監督の長編デビュー作「蛇イチゴ」も葬式をひとつのきっかけにした兄妹のエピソードだった。
冒頭の法事の場での兄弟のやりとりや弟と父親(伊武雅刀)との確執を見たときには同様の家族ものだとばかり思っていた。
それは、兄の元で働いている幼馴染みの女性(真木よう子)が登場し、昔関係があったと思われる弟が再び関係を持つ展開となっても変わらなかった。
それだけに、翌日に3人でピクニックがてらに出かけた渓谷にかかる「ゆれる」吊り橋での出来事からの展開は良い意味でそれまでの予感を裏切ることとなった。

幼馴染みの女性は吊り橋から転落し、その場に兄が残される。
現場を見ていなかったとする弟は事故として取り繕うが、兄の自白により殺人事件として立件され法廷劇へと展開される。

兄の無罪に奔走する弟。
弁護士の思惑とは外れたが、兄も法廷で不可抗力であったと証言し、殺意を否定する。
後悔の念を見せることで、法廷は兄の無罪へと流れは向かっていく。
しかし、自分と幼馴染みとの関係を兄が気付いていたのではないか、との疑念を抱いた弟は証人として立った証言台で自らの証言を覆す。

吊り橋での出来事以降、兄弟ならではの心理的葛藤、シーンごとに覆る真実、と決して派手ではないけれど、目を離せない展開が繰り広げられる。
そこで描かれる家族だとか、それ以前に人として生きることであることとかのメッセージがまっすぐに伝わってくる。

あえて苦言を呈すのであれば、ラスト近くに吊り橋の出来事の真相と思わせる描写は不要だったと思う。
なぜなら、それが真相であった場合、弟の法廷での行動に理由付けが難しくなってしまうからだ。
意図としては異なるのかもしれないが、もう少し真相は分からないままであるかのように描いた方が良かったように思えた。

役者陣としては、主演の二人は言うに及ばず、脇でガソリンスタンドの店員役の新井浩文が目立った。
ラスト近くでオダギリジョーとの面と向かったやりとりは、これまでエキセントリックな役柄ばかりだったところから、より当たり前の役柄が増えてきそうな期待を抱かせるものだった。
あと、警官役のピエール瀧と、検察官役の木村祐一がいずれも予想以上に太っていることに驚きを禁じ得なかった。

久々に良質のドラマを見せてもらった感じ。
近く発売されるDVDも予約済みなのだった。

~2月3日・ギンレイホールにて~

ゆれる

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