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April 15, 2007

能田 達規: オーレ! 2

地方公務員が地元サッカーチームのスタッフとして運営に関わっていく話。

通訳として市役所から地元2部リーグ上総オーレの通訳として出向を命じられた中島は、ドイツから来た外国人選手レネの勝負に賭ける言葉を、監督の意向に反し選手に伝える。
結果的にそのことが勝利につながり、中島はチームの勝利の感動を味わう。

しかし、市からの追加支援は期待できないことが分かり、レアルマドリードを目指して外国人選手を獲得する中島の夢は机上の空論となる。
一方で、チームのアウェイ遠征に帯同することで、栄養士、ホペイロ、フィジコといったスタッフの不足、アウェイへの交通手段もままならない経費の少なさなど足下の問題に気付かされる。

そのくだりには、サッカー専用スタジアムの良さがクラブ社長の言葉として語られ、その建設費が中島の誇りとしているアクアラインとの対比として描かれている。
それはあたかも、机上の空論だったレアルマドリードと目の前のオーレを対比するようで、中島に足下に目を向けさせるきっかけとなっている。

市民後援会の結成、有望な若手のレンタル移籍問題、シーズン終了後の戦力外通告と、中島の目の前には次々とサッカークラブが抱える課題やそれに対する取り組みが現れる。
そうしている間も、チームはアマチュアリーグとの入れ替えも視野に入ってくる程の最下位争い。
五輪代表から外れた若手FWの極度の不振、それに呼応するように最下位転落、監督がストレスからの胃潰瘍で倒れるなど、トラブルは怒濤のように襲ってくる。

中島はスタッフとしての立場で何ができるのか、様々な取り組みを通じて地元チームを通しての地域を見つめ直していく。
しかし、それもチームの勝利あってこそ。果たして、中島の企画はチームの勝利につながるのか。

サッカーのプロリーグを見ていれば毎年やってくる当たり前の悲喜こもごもがテンポよく描かれている。
サッカー界の決めごとについては分かりやすい解説役も置き、初心者も置いていかない配慮も欠かさない。
感動のエピソードは回想シーンも交えるなど緩急の付け方も絶妙。
また、相手チームや1部リーグのチームは現実のモデルが分かるような小ネタも楽しい。

惜しむらくは出版社に程近い近所の書店にほとんど並んでいないことだ。

能田 達規: オーレ! 2 (2)

能田 達規: オーレ! 2 (2)

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Tracked on April 15, 2007 02:42 AM

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