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April 30, 2007

幸福な食卓

不安定な家庭に暮らす少女の中学3年生から高校1年生までのおよそ2年間を描いた青春もの。小松隆志監督作品。

主人公・佐和子(北乃きい)の家庭は、3年前の出来事がきっかけで兄(平岡祐太)は高校を首席卒業にも関わらず農業に従事し、母親(石田ゆり子)は家を出てパートをしながら一人暮らしをし、父親(羽場裕一)は仕事を辞め父親であることも辞めると宣言している。
それでいながら、殺伐とはしておらず微妙な距離感を保ちながら家族は明るく暮らしている。

佐和子が中学3年生になった新学期、クラスに大浦(勝地涼)が転校してくる。クラス委員として面倒を見る佐和子だったが、次第に大浦に惹かれてゆき、名門校・西高を目指しながらお互いの距離を不器用に近づけていく。

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April 18, 2007

山田 芳裕: デカスロン 2

陸上競技のひとつ十種競技に挑む選手の話。文庫化第2巻。

十種競技を始めて間もなく、初出場の日本選手権で驚くべき成績を上げていく風見万吉は、棒高跳び未経験ながら最終種目1,500mで無謀とも思われるスピードを見せる。

後半は世界選手権出場権を得るために、ヨーロッパの大会に出場するためドイツに向かい、その十種競技の人気の高さに驚くところまで。

一コマ一コマの独特なパースも最初は驚いたが、慣れてしまえばすんなり読むことができる。
十種競技という日本ではマイナーな競技を通じてのヨーロッパとの文化の違いがしばらく楽しめそう。

山田 芳裕: デカスロン 2 (2)

山田 芳裕: デカスロン 2 (2)

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April 17, 2007

菊地 秀行: 魔界都市ブルース 幻舞の章

『魔界都市<新宿>』を舞台にした美青年の人捜しを主人公にしたシリーズの短編集。

この本の最大の売りは本文とカバーイラストを(『DEATH NOTE』の)小畑健が手掛けていること。
が、しかし、各話の扉絵とその見返しのみで、ストーリーの中にイラストは見られない。
固定ファンを相手にしているがために、情景描写が著しく少なくなっている作者の作品をイメージによって補完するまでには至っていない。

誰かを捜しているような捜していないような、敵を倒しているようないないような、イラストが少ないことがひどく残念に感じられる作品ばかりが並ぶ。

菊地 秀行: 魔界都市ブルース 幻舞の章

菊地 秀行: 魔界都市ブルース 幻舞の章

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April 16, 2007

宮崎 哲弥: 事件の真相!

評論家・宮崎哲弥と、元『噂の真相』副編集長・川端幹人が週刊誌記事について語り合う雑誌企画をまとめた本。

寡聞にして知らなかったが、朝日新聞社の『論座』で連載していた企画を再構成したもの。
『噂の真相』に掲載していた「週刊誌記者匿名座談会」を想起させる内容となっている。

とはいえ、人数が二人だけでは過激なネタもさほど多くなく感じられてしまうのはリアルタイムで読んでいないからか?
2005年8月から2006年10月に発行された週刊誌の記事について話されているが、どうにか覚えていると言ったものも少なくない。
特に政治ネタは結果が分かってしまっているだけに、やはり物足りなく感じられてしまうのだった。

宮崎 哲弥: 事件の真相!

宮崎 哲弥: 事件の真相!

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April 15, 2007

能田 達規: オーレ! 2

地方公務員が地元サッカーチームのスタッフとして運営に関わっていく話。

通訳として市役所から地元2部リーグ上総オーレの通訳として出向を命じられた中島は、ドイツから来た外国人選手レネの勝負に賭ける言葉を、監督の意向に反し選手に伝える。
結果的にそのことが勝利につながり、中島はチームの勝利の感動を味わう。

しかし、市からの追加支援は期待できないことが分かり、レアルマドリードを目指して外国人選手を獲得する中島の夢は机上の空論となる。
一方で、チームのアウェイ遠征に帯同することで、栄養士、ホペイロ、フィジコといったスタッフの不足、アウェイへの交通手段もままならない経費の少なさなど足下の問題に気付かされる。

そのくだりには、サッカー専用スタジアムの良さがクラブ社長の言葉として語られ、その建設費が中島の誇りとしているアクアラインとの対比として描かれている。
それはあたかも、机上の空論だったレアルマドリードと目の前のオーレを対比するようで、中島に足下に目を向けさせるきっかけとなっている。

市民後援会の結成、有望な若手のレンタル移籍問題、シーズン終了後の戦力外通告と、中島の目の前には次々とサッカークラブが抱える課題やそれに対する取り組みが現れる。
そうしている間も、チームはアマチュアリーグとの入れ替えも視野に入ってくる程の最下位争い。
五輪代表から外れた若手FWの極度の不振、それに呼応するように最下位転落、監督がストレスからの胃潰瘍で倒れるなど、トラブルは怒濤のように襲ってくる。

中島はスタッフとしての立場で何ができるのか、様々な取り組みを通じて地元チームを通しての地域を見つめ直していく。
しかし、それもチームの勝利あってこそ。果たして、中島の企画はチームの勝利につながるのか。

サッカーのプロリーグを見ていれば毎年やってくる当たり前の悲喜こもごもがテンポよく描かれている。
サッカー界の決めごとについては分かりやすい解説役も置き、初心者も置いていかない配慮も欠かさない。
感動のエピソードは回想シーンも交えるなど緩急の付け方も絶妙。
また、相手チームや1部リーグのチームは現実のモデルが分かるような小ネタも楽しい。

惜しむらくは出版社に程近い近所の書店にほとんど並んでいないことだ。

能田 達規: オーレ! 2 (2)

能田 達規: オーレ! 2 (2)

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April 14, 2007

萩尾 望都: バルバラ異界

近未来、何年も眠り続ける少女と、夢の中に潜り込む特殊技能を持つ男、その家族たちが少女を中心につながっていく話。全4巻を一気読み。

久し振りのコミックによる星雲賞受賞とのことで読んでみる。

眠り続ける少女の過去、殺された両親、祖母の別れた夫、夢の中へ潜る男の別れた元妻、元妻の許にいる息子、元妻の敬愛する牧師、少女の見る夢に現れる島、島に生きる人々、火星で見つかった生物の痕跡、少女の夢に現れる火星との争い...

それらが絡み合ってストーリーはスピーディーに展開していく。
SFだけでなく、医学や精神世界、サスペンスの要素も盛り込まれ、読む者を飽きさせない。

惜しむらくは画面にスピード感がさほど感じられないこと、冒頭は暗示的な描写が多く、小難しい印象を与えることくらいか。

萩尾 望都: バルバラ異界 (1)

萩尾 望都: バルバラ異界 (1)

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April 13, 2007

西村 しのぶ: サード・ガール 6

1980年代中盤、神戸を舞台に背伸びしたい女子中学生と理系大学生とのつきあい模様を描いた作品。20年振りに完全版として復刊した第6巻。

とはいえ、この巻では高校卒業を目の前にした夜梨子とBFの大沢くんの話がメイン。
頭が良くて遠距離恋愛になってしまいそうな現実と、それでも大丈夫と信じる至極真っ当な恋愛模様を描いている。
そこには涼と美也さんの出る幕はほとんどなく...

後半では短大生になった夜梨子と、本当に遠距離恋愛を開始した大沢くんの関係が描かれ、次巻に続く。
意外にまともな恋愛コミックだったのだなと思える巻。

西村 しのぶ: サード・ガール 6 (6)

西村 しのぶ: サード・ガール 6 (6)

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April 12, 2007

アンフェア the special 「コード・ブレーキング ~暗号解読」

2006年に放送されたサスペンス連続ドラマのスペシャルのDVD化。初見。

スペシャル版は連続ドラマの最終回から9ヶ月後という設定で始まる。
前回の事件はまだ終わっていなかったという振りの中、警察OBたちの相次ぐ死亡事故が連続殺人事件ではないかと考えた雪平(篠原涼子)が単独で捜査を始める。
OBたちがつながっている公安部の暗躍、前回の事件で犯人が開設していたWebサイトの復活、雪平の父親の死などが絡み合ってひとつに結びついていく。

公安部という警察組織の描き方が絶妙で、新たな犯人をカモフラージュする役目を十分に担っている。
一方で、タイトルにもなっている暗号解読はやや無理矢理だったし、新たな犯人も前回同様にもっとも犯人らしくない雪平の近くにいる人物と、中途で予想がついてしまったのは今ひとつ。

いずれにせよ、メディアミックスにより劇場版公開につなげるという意味では十分に楽しめ、引きも良く終わっている。
映画館に観に行く暇があるかなぁ。

: アンフェア the special 「コード・ブレーキング ~暗号解読」

アンフェア the special 「コード・ブレーキング ~暗号解読」

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April 02, 2007

柳澤 健: 1976年のアントニオ猪木

アントニオ猪木の1976年に戦った4試合に焦点を当て、日本の格闘技界に与えた影響について述べた本。

1976年にアントニオ猪木が戦った4試合とは、
2月にミュンヘンオリンピック柔道無差別級および重量級金メダル、ウィリエム・ルスカ戦、
6月にボクシングヘビー級チャンピオン、モハメッド・アリ戦、
10月に韓国人プロレスラー、パク・ソンナン戦、
12月にパキスタンプロレスラー、アクラム・ペールワン戦を指す。

これらは異種格闘技戦であり、海外からの挑戦を受ける形となっており、アントニオ猪木がプロレスこそが世界最強であるとして、その後の総合格闘技のブームの中でも今なおカリスマとして存在し得る拠り所となっている。
それらの試合を、伝説ではなく、実際に何があったのか、どのような経緯でその試合が実現できたのか、その時点での日本プロレス界の状況、相手選手の経済的な面からも含めた背景を含めて丹念に調べられている。

また、本書ではプロレスを興行であり、決して真剣勝負の場でないことを前提としている。
身も蓋もないと言ってしまえばそれまでの事実は、「だからプロレスが弱い」とイコールでないことを、また浮き彫りにしている。
逆に強かったとしても、プロレスとして、すなわち興行として観客を楽しませ対価を得ることが許される上手さは、やはりまた別のものである。

それらを踏まえることによって、ルスカがなぜプロレスのリングに上がろうとしたか、アリはプロレスをどう見ていたか、猪木がなぜ韓国マットに上がらなければならなかった理由が見えてくる。
また、今や総合格闘技界において「猪木-アリ状態」ともてはやされ、再評価を受けている世紀の凡戦は、なぜあのような体勢に持ち込まざるを得なかったのか、が見えてくる。

それらの論拠には極力フェイクを排除しようというポリシーが感じられ、これまで定説とされていた伝説や言い訳の類を否定するくだりもあり、それは猪木の言葉のみを信じてきたものにとっては、受け入れがたいことかもしれない。
さらに、これらの試合を実現するための大きな要素として避けては通れない経済的な状況がある。それについて書かれた記述には猪木の実業家としての面、もっと言えば人間性に関わる部分については酷評とも言える内容になってはいる。

それらを猪木本人やファンの一部は受け入れられず、本書自体の評価もしないかもしれない。
しかし、本書は、決して猪木に対する悪意だけで固められたものではなく、評価を下げるような事実の積み重ねがあってもなお、1976年に行った4試合の意味合いは大きく、現在の総合格闘技ブームにつながっていることを感じさせてくれる。
その意味において、ドキュメンタリーとして非常に興味深い内容であり、その積み重ねの努力は並大抵のものではなかったであろうと推察されるものとなっている。

柳澤 健: 1976年のアントニオ猪木

柳澤 健: 1976年のアントニオ猪木

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April 01, 2007

奥瀬 サキ: 夜刀の神つかい 11

現代に甦った吸血鬼の話。

新章に突入したものの、半分は昔話のようなもの。
なかなか話は進まず...

奥瀬 サキ: 夜刀の神つかい 11 (11)

奥瀬 サキ: 夜刀の神つかい 11 (11)

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