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June 11, 2007

島田 雅彦: カオスの娘―シャーマン探偵ナルコ

夢を見る能力に長け、ナルコレプシーの少年が祖母から霊能力を受け継ぎ、シャーマンとして生きていこうとする話。

15歳の少年ナルヒコ(父がアキヒコというのは著者流の皇室ギャグか)は、急に眠りに落ちるナルコレプシーに罹っていることから"ナルコ"と呼ばれる。
幼い頃から祖母に夢を見る能力を伸ばされ、祖母の死後、霊の声を聞くようになる。
さらに祖母の故郷である北海道へ渡り、最後のシャーマンからその役割を受け継ぐ。

並行して、誘拐事件に巻きこまれ、犯人に拉致・監禁され記憶を失った少女の話が展開される。
少女は犯人に長年陵辱を受けた後、犯人を殺害し、記憶を失った街に放たれる。
次々と受ける欲望と陵辱の中で、世の中に対するテロリズムと交わっていく。

著者の作品を読み続けている立場からすると、相変わらず落ち着いた文体でこうしたエンタテインメントが描けることに軽い驚きを覚えた。
文章に安定感があり、とても読みやすく、観念的なシャーマニズムに関する部分も、惨たらしい陵辱シーンも本質をうまく伝えており、過剰に扇情的な描写にはなっていない。

全体の印象としては『多重人格探偵サイコ』のノベライズ版に近い。「シャーマン探偵ナルコ」という身も蓋もないサブタイトル(シリーズ名?)も含めて。

著者があとがきで「読者に求められれば、」とあるが、是非第2弾以降も期待したい。

島田 雅彦: カオスの娘―シャーマン探偵ナルコ

島田 雅彦: カオスの娘―シャーマン探偵ナルコ

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