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July 02, 2007

唯野 未歩子: 正直な娘

15歳の少女と5人の女友達を中心に日々の出来事を描いた作品。

主人公は都内の小中高一貫教育の学校に学び、自分を周りに合わせる術を知っている。
女友達とのおしゃべりの中でも波風を立てないことを第一に考える。

そんな主人公が周りからもピッタリだと言われる恋人と出会う。
恋人との仲を深めてゆきながらも、友達との別れなどを一年間通して描いている。

とても読みやすい文体で、良くできているとは思うものの、やはり誰に向かって書かれた作品なのかと思わざるを得ないのだった。

唯野 未歩子: 正直な娘

唯野 未歩子: 正直な娘

5人の女友達とつるんでいる描写はかなり赤裸々だ。
酒、タバコありの合コン、高級ホテルスイート貸し切り、ファッション、メイクなどなど。

それでも、5人の女友達がなかなか見分けがつかない。
最初はメモを用意しておかなければならないかと思うくらいだ。
終盤に向かって何とかそれぞれの違いくらいは分かるようになっていくが、それすらもエピソードに依るところが大きい。

もしかすると、若い女の子たちが読者であれば、このくらいのキャラクターの読み分けは苦にならないのかもしれない。
逆に登場人物である女子校生たちにそうしたキャラクターの違いがないことが年配の読者に対する主題なのかもしれない。
その意図が読み切れない。

また、恋人の取り合い、セックス、妊娠、堕胎、精神病、リストカット、芸能活動、留学、結婚、援助交際、退学といったエピソードは5人の中に起きるにしては些か無理があるような印象を受ける。

やはり、10代の女の子たちの読者にとって、こうした「ドラマティックな」出来事はごく身近にありふれているものなのかもしれない。
こうしたエピソードを通して、初めて10代の女の子たちは作品に共感を覚えてくれるのかもしれない。
それでもなお、これらのエピソードをすべて並べなければならなかった必然性はあるのだろうか。

刺激的なエピソードを積み重ねることは否定しない。その中でないと表現できないものもあるだろう。
ただ、この作品においては、主人公と恋人のやり取りに共感を覚える部分が少なくなかっただけに、それらを「ドラマティックな」出来事なしに丹念に描いていくこともできたのではないかと考える。

少なくとも相手の男の子はもっと姿形が思い浮かべられるくらいの印象があれば良かった。
仮に映像化するのであれば、どんな俳優でも違和感はないのだろうけれど。

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