夢路 行: あの山越えて 11
実家近くで農業をしたいという夫に付き合い田舎暮らしを始めた女性教師の話の第11弾。
もう主人公本人の話よりも周りの人たちのエピソードが中心。
この巻では、親子関係が強く感じられるエピソードがうまく語られていく。
しんみりするばかりでなく、穏やかでけれどしっかりとした農村部の姿が描かれている。
実家近くで農業をしたいという夫に付き合い田舎暮らしを始めた女性教師の話の第11弾。
もう主人公本人の話よりも周りの人たちのエピソードが中心。
この巻では、親子関係が強く感じられるエピソードがうまく語られていく。
しんみりするばかりでなく、穏やかでけれどしっかりとした農村部の姿が描かれている。
恋愛をテーマにした中編を集めた作品集。
ワケありの二枚目ラーメン店見習いと、母親の美貌を疎ましく思っている新任女教師の出会いを描いた「海の向こうに」、高校時代にアマチュア無線で知り合った女性が忘れられずにいる男を描いた「電波の男よ」、ミステリー好きの女性と無気力に生きている男の出会いを描いた「海の満ちる音」の3編を収録。
いずれも周囲に受け入れられず、もしくは過剰に期待されているために周囲とコミュニケーションを取れない人々が、それでも無二の相手を見つけ出し、当初は戸惑いながらも関係を深めていく。
その途中の戸惑いや周囲との関係に悩む様の描写に優れ、多少無理がある設定のストーリーにもついつい引き込まれていく。
また、身近な話題を集めたあとがきで分かる著者に視点が秀逸。
国内プロサッカーリーグの元スター選手が監督となって弱小クラブに戻ってくる話。
前巻からの流れで、プレシーズンマッチの試合途中から話は始まる。
先制したものの追いつかれたところで意気消沈するチームに監督は後半の指示を与える。
コミュニケーションを取りにくい印象を与えながらも、指示は的確でそれぞれに説明ができ、さらにその指示に反応する選手たちを観察している監督に、スタッフ達は自然と引き込まれていく。
シーズン直前のセレモニーも盛り上がりを見せ、開幕戦を迎えるが、まさかの惨敗を喫する。
果たして巻き返しはあるのか、期待と不安を残して次巻。
キャラクターの作り方とプロサッカーリーグのスケジュールに沿ったエピソードの入れ方は秀逸。
次巻への引きの強さも良し。
裁判傍聴を生業とする著者による傍聴記。日刊スポーツのサイトで連載されていたものをまとめたもの。
サイトの連載はずっと読んでいたので、ほとんど覚えている内容。
違うのは被告人が匿名になっていることくらい。
まとめて読み返して改めて気付かされるのは、著者があとがきで述べているように、事件当時の報道と裁判での冒頭陳述に違いがあること。
冒頭陳述も検察の主張であって、真実とは限らないのだけれど、事件当初の警察発表を元にした(と思われる)報道との違いがあるということは見逃せないところ。
報道のあり方は度々問題になるが、こうした事件報道と裁判の冒頭陳述を並べるだけでも良いのではないか。
そんなWebサイトがあれば影響力あるような気がするが。
北欧バイキングを描いた作品。
舞台はデンマーク・ヴァイキング艦隊が侵攻していたイングランド。
クヌート王子の護衛役に就いたアシェラッドだが、雪に逃亡を阻まれ、村の生き残りによりトルケルの追走を許す。
その中でアシェラッド陣営に生まれる不信と裏切り。
トルケルに追いつかれたところで孤立するアシェラッド。
描写は残虐だけれど、それを踏まえてなお面白い。
主人公のトルフィンの影が薄いのは気になるが、終盤見せ場を感じさせて次巻。
17歳の少女が母親の服装をしてライブハウスに潜り込む様子を描いた短編。小説現代2007年10月号収録。
インディーズロックのアーティストJOYを巡る女たちを異なる作家が毎月綴っていくという特別企画の第3弾として書かれたもの。
芸能事務所を経営するシングルマザーの母親の元で所属タレントをしている菊子は、エキストラとして参加していた撮影所で知り合ったスナオくんと付き合い始め、彼が興味を持っていた80年代の文化・風俗に触れていく。
その時期を謳歌していた母親のことを想い、父親を意識していく中で、その頃に活動していたアーティストJOYのライブが開催されると聞き、高円寺のライブハウスに潜り込む。
彼が興味を持っている80年代の文化・風俗を知るにつれ、今では違和感どころか笑い話にしか感じられない現在の17才の感覚を細かく描き出している。
対象はファッションだったり、雑誌だったり、音楽だったり、セックスの位置付けも含めた男女の恋愛事情だったりする。
80年代を身近に覚えている年代からすれば、それをリアルに感じられない17才の感覚はとても信じられないというのが正直なところで、それは作者のフィクションかもしれないけれど、それが一番印象深く、また読みにくさ、感情移入のしにくさにつながっている。
少女向けオカルトコミック作家として活躍している楠桂の初期作品を文庫化。
掲載作品はすべてリアルタイムで読んでいたのでただひたすら懐かしい。
20年以上前の作品たちはペンタッチといった技術面での拙さはもちろんあるけれど、方向性を模索しているような様々な作品はバラエティに富んでいる。
SFっぽいものからファンタジー、ポエム調の作品まで、どれも完成度としても疑問符を付けたいものばかりだけれど、同じ十代の女性が楽しんで、もしかしたら苦しんで作品を生み出そうとしている感情が伝わってきたからこそ、それらを面白く読んでいたように思う。
その意味でも当時の「ふぁんろーど」という雑誌は面白かったと今さらながら思うのだった。
陸上競技のひとつ十種競技に挑む選手の話。文庫化第8巻。
世界トップの実力を目の当たりにした主人公・風見万吉は、かつてのライバル沢村をコーチとして世界選手権への準備を始める。
その準備の一環として十種目それぞれの日本記録保持者の元を訪れ、勝負を挑みながらトップレベルの技術を習得していく。
全体としてはインターミッションに当たるが、それぞれの日本記録保持者の個性が飽きせず読ませる。
連載時にはちょっと中弛みな印象もあったけれど、一気に読むとそうでもない。
けれど、最後の走り高跳びは今ひとつかもしれない。
魔界都市<新宿>を舞台にした著者一連のシリーズに登場してきた人形娘を主人公にした短編集。
高田馬場の魔道師トンブ・ヌーレンブルグの元で暮らす人形娘はマンサーチャーシリーズで登場して以降、多くの作品に登場してきた。
そうした存在を主人公にしたためキャラクターは完成しており、既存のファンには違和感なく読める。
キャラクターとしては理性的な存在のため破天荒さはないが、その分わかりやすいストーリーも悪くない。
新宿を舞台にサイボーグ化された妖怪「御座衆」とその新宿支配を阻もうとする鴉という存在の話。
前巻から流れで一気にストーリーは進む。鵺は御座衆を束ねる廻向に絡め取られ、新宿という地の粛正が開始される。
池袋、中野、六本木を想起させる高層ビルが御座衆によって占拠され、新宿を中心に結界が作られる様は圧巻。
その中で人間に戻った主人公・乙羽は逃げる少女を助けながら襲いかかる御座衆に立ち向かっていくが、生身の体ではいかんともし難く、遂に倒れてしまう。
その時、サイボーグ化を前提とした廻向のやり方に与しない妖怪、そして土地の意志が新たなゆりねを生み出す。
残酷な描写も多く、冒頭から息もつかせぬスペクタクルシーンの連続には圧倒される。
そしてラストの引きは、次の最終巻に大いなる希望を抱かせてくれる。
マンガ家・よしながふみが同業者を始めとしたマンガ好きとのマンガについての対談を集めた本。
その魅力的かつ豪華な対談相手は、やまだないと、福田里香、三浦しをん、こだか和麻、羽海野チカ、志村貴子、萩尾望都。
話す内容は自然とマンガについて。子供の頃に読んだ作品から自分たちに関わる作品まで。
その中でも興味深いのは、BLというジャンルについて大きくスペースを割き、現状が如何に理解されていないか、理解されないことでどう認識されているのか、それを打破するために何をすればいいのか、ということ。
そのための方法論や言葉を重ねて効果的なアピール方法について議論を重ねていく。
そこにはフェミニズムの捉え方、その言葉の使い方も含まれる。
個人的にはよしながふみの作品も読み、このジャンルにも理解ある方だと考えていたが、まだまだ奥深いものだと、そして女性たちがそこに何を求めて読んでいるのか、初めて知ったことも少なくなかった。
ひたすら慧眼と感じた本。
これを参考にBLもいくつか読んでみたいと思わずにいられない。
大きな体躯を持った少年が淫魔邪教と戦う羽目になる話。判型を変えての再発売だが以前のものを持っていなかったので購入。
187cm、132kgの体躯をもった18歳の少年・出雲あやめは、『智恵子抄』を片手にいつか女性と結ばれる日のことを夢見ている。
大学で憧れた女性が怪しげな宗教に参加していることを知り、対決姿勢を強めていく。
文学好きの面では相対する形で中原中也や宮沢賢治の一節も登場し、邪教の方では獣姦シーンも登場するなど、読みどころは十分。
その一方で、アクションシーンでは主人公が特定の格闘技を扱うわけでもなく、体躯を生かしただけである点、そもそもその体躯がどのように出来上がったというところの描写がないところは物足りない。
また、対する邪教も主人公の周りをうろちょろするばかりで、どれだけ大きなものか、社会的に影響力を持っているかの描写がなく薄っぺらく見えてしまう。
もっとも、この点はストーリーのラストで言い訳めいた結論を付けているので良しとできる。
いずれにせよ、面白いキャラクターなので是非続編もしくは別の作品に登場させて欲しいもの。
人口生命体"狗"と"念呪者"の戦いを描いた作品。夢枕獏原作、野口賢作画によるコミック。
2巻ではいきなり本題に入って、”狗”の親玉級が登場し、全面攻撃を仕掛けてくる。
その目的や企みも明かされ、ネタは多く提示されるが消化不良の面も。
次巻以降で整理されることが期待される。
警察の不正を暴こうとする女刑事の話。TVドラマから2007年春に映画化された作品のDVD版。
映画での事件は警察病院にテロリストが立てこもったというもの。その警察病院には主人公である雪平夏見(篠原涼子)自身が狙われた自動車爆破に巻きこまれたひとり娘が入院していた。
テロリストの狙いは、正体は、と捜査本部が混乱する中、雪平は娘の身を案じ単身病院へ乗り込んでいく。
フェイクを重ねて謎解きが人気だったドラマの続編だけに、テロリストの企みを阻止するだけでなく、終盤にかけて本当の狙いや裏で糸を引く人物が次第に明らかになっていく。
とはいえ、約2時間にまとめてられてしまうと、良くできたハリウッド映画のような印象も受ける。
特に動機が娘のためというところや、そのために無謀な行動に出るところ、それでいて活躍してしまうところなどなど。
できすぎた話という印象が強いが、もう一度見直してみると、伏線のように前半で登場人物がかけていた携帯電話の相手が誰なのかによって、アリなのかもしれないと思えたりもする。
それが意図されたものかどうかは分からないが、少しだけ見直した。
役者陣では生き残っている登場人物は当然として、新キャラとしては椎名桔平、成宮寛貴、大杉漣が主要キャラとして登場。いずれも安定感のある演技で安心して見ていられる。
DVDは2枚組。2枚目の特典映像には未公開シーンと予告編、メイキング。このうちメイキングはテレビの宣伝番組のようなもので今ひとつ。未公開シーンの方が見やすくて面白い。
格闘技好きの作者が毎日新聞に月2回連載で書き綴った格闘技に関するエッセイ。
2004年から2007年初頭までの格闘技事情と意外な格闘技の歴史について愛情持って綴られている。
とはいえ、大晦日のTV中継には苦言を呈しているし、PRIDEの問題については特に触れていない。
選手個人とは関係ないところでの話だからだろうけれど、良かった、だけでない、厳しさも言葉には欲しかったりする。
得てして貶しばかりのネットにあって、本当の格闘技に対する批評、批判というものが文字の形に残される必要があると考えるからだ。
まぁ、とりあえず格闘技好きにはオススメ。
20世紀少年から続く大作がようやく完結。
最後は何となくいい話のように終わって、ひっぱりにひっぱった謎も明かしたけれど、ひっぱりすぎて意外性があるのかないのかも分からなかった。
もう一度読み返さないとならないのか...
夏休みの最後の一日を繰り返す少女の話。大塚英志・原案、久保田浩康・脚本、ともぞカヲル・作画。
帯に「"時かけ"った」とあるように主人公の内気な少女は同じ一日を繰り返しているが、過去の記憶を取り戻す内に、様々な日に移っていくようになり、事件の真相に近付いていく。
絵はきれいだけれどアニメっぽくて、主人公もいらつく感じ。
でも、次巻に続く。
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