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November 27, 2007

小川 一水: 時砂の王

時空を越えて謎の侵略者ETと戦う人類を描いたSF作品。

謎の存在から侵略を受けた人類は太陽系の果てに追いやられてしまう。
ようやく反撃の糸口を見出した人類だったが、謎の存在ETは時間を過去に遡り、過去の人類へ攻撃を仕掛けようと時を越えた。
人類は知性体を作り出し、ETを殲滅し、人類を救うべく過去へ向かわせる。

主要な舞台を邪馬台国に設定し、卑弥呼の前に未来から知性体が現れるところから物語が始まる。
ETの存在、それに抗う知性体の存在により歪められる歴史は、偽史もののようでも、仮想戦記物としても読める。

ETの側にも時を越える際に兵器などの物量を持ち込ませず、その時代で物資を調達しなければならない設定を持ち込んだ点が、戦いを拮抗したものとしている。
また、時間を遡り歴史を書き換えることによるタイムパラドックスも時間枝という考え方で人類が滅亡する枝と判断された時点でもっと根本に近い枝の分岐に移るという戦術もSF的な禁じ手を逆手に取るようで面白い。

主要な舞台を設定しながら、章ごとに他の時代を飛び回るストーリー展開もスリルがあり、ラストに至るまで面白く読める。
ただ、難を言えば最後の数行は少々ロマンチシズムをはき違えているような印象も受ける。

小川 一水: 時砂の王 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-7)

小川 一水: 時砂の王 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-7)

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November 26, 2007

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 16 オデッサ編・後

安彦良和が描く1stガンダムの第16弾。

「オデッサ編・後」と題されたこの巻で描かれるのはヨーロッパ戦線での戦い。
人間関係の描写は少なく、アムロのニュータイプとしての発現と戦記物の印象が強い。

特にマ・クベの謀略とレビルの乗艦情報の操作はなかなか見応えがある。
もちろん、その中で命を落としていく者も描かれているが、あくまで兵隊の一員としてである点が、ミハルとは違う印象を与える。

帯にもTVアニメ版とは異なるというラストは印象的。
セリフだけは記憶に残っており、買ったまま開けてもいないDVD-BOXをようやく観たくなった。

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 16 オデッサ編・後 (16) (角川コミックス・エース 80-19)

安彦 良和: 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 16 オデッサ編・後 (16) (角川コミックス・エース 80-19)

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November 24, 2007

よしなが ふみ: きのう何食べた? 1

男性二人のゲイカップルの話。

弁護士・筧と美容師・矢吹の二人は2LDKで同居しながら食費は月2万5千円を目指し、自炊でウチご飯。
そんな二人の食事風景をレシピと一緒に織り交ぜながら、ゲイカップルの悲喜こもごもの生活エピソードを描いている。

ゲイであることの周囲との関係、仕事場でのカミングアウト、そして家族との関係。
その機微が興味深くもあり、しかし重苦しくなく、面白く描かれている。
とはいえ、ちらっと覗く深刻さが引き締めている。

モーニングという男性雑誌での月一連載という異色の形式のため次巻が待ち遠しい。
レシピも家庭料理中心なので参考にはなりそう。作らないけど。

よしなが ふみ: きのう何食べた? 1 (1) (モーニングKC)

よしなが ふみ: きのう何食べた? 1 (1) (モーニングKC)

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November 23, 2007

安田 剛士: Over Drive 14

自転車ロードレースに賭ける高校生たちの話。

1校4名のリレー形式での模擬レースも第三走者に。
主人公の先輩でありキャプテンはオールラウンダーと思いきや、ダウンヒルで超人的な走りを見せる。

それ以外のライバルたちも取り上げられるが、事前の情報から期待されたほどの活躍は描かれず、今ひとつ盛り上がりに欠ける気もする。
ちょっとライバルが多すぎてレース本番でじっくり描くには足りないのかも。

安田 剛士: Over Drive 14 (14) (少年マガジンコミックス)

安田 剛士: Over Drive 14 (14) (少年マガジンコミックス)

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November 22, 2007

菊地 秀行: バンパイアハンターD 1

菊地秀行の超未来を描いたファンタジーノベルのコミック化。

人類が核戦争によって滅び、その後に台頭してきた「貴族」もまた衰退していった時代の人間と「貴族」の戦いを描いた作品。

原作の読者が抱いているイメージといえば、表紙と挿絵を担当している天野喜孝の絵柄の印象が強いだろう。
この作品は、そのイメージを残しつつ、うまくコミックとして成り立たせている。

若干、アクションシーンで粗いところがあったり、敵キャラクターがあまりアピールする間もなく倒されてしまったりで、盛り上がりに欠けるところも否めない。
一巻でノベルズの一巻をまとめようとしているのが無理なのかもしれない。

とはいえ、以下続々と刊行されていくらしいので期待していきたい。

菊地 秀行: バンパイアハンターD 1 (MFコミックス)

菊地 秀行: バンパイアハンターD 1 (MFコミックス)

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November 21, 2007

田中 メカ: お迎えです。 第2巻

死んでもこの世に未練を残している霊を、あの世へ導く仕事を手伝う少年の話。文庫化第2弾。

あの世の会社「GSG(極楽送迎サービス)」の仕事が前巻で十分に徹底されたところで、主人公・堤円は、相変わらずバイトとしてこき使われる。

設定が設定だけに、伝えられなかった想いや言葉が溢れていて、それだけで涙を誘うが、そんなジメジメしてしまいそうなエピソードの合間に挟まれているギャグが絶妙。
単行本で読んでいたはずなのに爆笑してしまった。

阿熊さんのキャラクターも育ってきて、なかなか雰囲気も良くなってきているところ。

描き下ろしの特別編も掲載されお得感は高い。

田中 メカ: お迎えです。 第2巻 (2) (白泉社文庫 た 7-2)

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November 20, 2007

山田 芳裕: デカスロン 9

陸上競技のひとつ十種競技に挑む選手の話。文庫化第9巻。

いよいよ世界選手権に挑む主人公・風見万吉。
世界記録を持つ絶対王者ダン・オブライエン、ライバル嵐、トレーニングによって投擲種目を鍛えてきたクリスらと共に競技に挑んでいく。

そこへ現れたのが伏兵、ナフード。一撃一殺で周りの記録を追い越していく。
諦めにも似た雰囲気の中、万吉の常識破りのパワーが炸裂する。

ということでこの巻では3種目目まで。
やはり競技内の話が一番面白い。

山田 芳裕: デカスロン 9 (9) (小学館文庫 やB 19)

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November 19, 2007

曽田 正人: capeta(カペタ) 15

4輪レーサーを目指す少年の話。

フォーミュラデビュー戦のカペタは源に続く2位でレース終盤へ。
事故の影響か、周回遅れのパスに戸惑っている源をカペタは強引にパスする。

カペタが前に出たことで猛烈な追い上げを見せる源。
そして最終周の最終シケインでカペタは唯一のミスを犯す。

この巻にて第二部が終了。
ヨーロッパレース界に旅立つ源は、自分のいなくなる日本レース界にケリを付けたつもりが、カペタに後を任せた形となった。
この二人のやり取りが絶妙。

ちなみにモナミの出番はなし。
ここに女っ気はいらないな、という巻。

曽田 正人: capeta(カペタ) 15 (15) (講談社コミックスデラックス)

曽田 正人: capeta(カペタ) 15 (15) (講談社コミックスデラックス)

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November 12, 2007

内藤 泰弘: トライガンマキシマム 13

地球から遠く離れた星の上で生き抜く人類の話。

地球から救援が来たものの、それを迎撃するナイブズ。さらにそれに対抗する地球側プラント融合体クロニカ。ナイブズを倒そうとするヴァッシュに立ちはだかるレガート。軍の持つ核兵器を使わせないようにと向かうリヴィオと、それに対するエレンディラ。

この3つの戦いが同時並行で繰り広げられる。そのいずれもが激しく、圧倒的な迫力でいつ終わるともしれず続いていく。
そんな中でも少しずつ人類存亡への試みが進められていく。

そんなストーリーというか、話の流れが読めず、11巻から読み返してしまった。

と、この巻でも終わりは見えなかったが、あとがきに依れば次巻で最終巻。
多分、1年あまり待つことになるのだろうが、その日を楽しみにするしかない。

内藤 泰弘: トライガンマキシマム 13 (13) (ヤングキングコミックス)

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November 09, 2007

能田 達規: オーレ! 5

地方公務員が地元プロサッカーチーム上総オーレのスタッフとして運営に関わっていく話。最終巻。

最終巻は主人公・中島のエピソードのみで試合模様は一切なし。
チームのために、というより地域のために、と地方公務員の発想で考えていた中島もサッカーチームが地域のためになる存在になると感じ始め、どうすればより良くなっていくのかを模索する。

その中で、助っ人・レネに呼ばれて行ったドイツで見るサッカーを始めとするスポーツに関わる行政を含めた理想的とも思える環境、そして上総オーレ創設の経緯も知り、ますますチームへの想いを強くしていく。

最終話は、そして何年後・・・、というお決まりのパターン。雑誌連載時にはあまりに予想通りで笑ってしまうほどだった。

単行本化に当たって、描き下ろしが追加されているが、最終話を補完するエピローグに当たるもの。
ある意味でのサッカークラブの理想型を描かれているが、登場する人物たちのようにあまりに理想型過ぎて実感がない印象を持つのは果たして良かったのか。
どこか未来につながる道筋というものを登場人物たちにも見せて欲しかった。

エピソードの中では、主人公・中島が決意を固めたときに、アクアラインの完成に半生を捧げた父親と会話するシーンは泣かせる。

サッカー好きはもちろん、そうでない人にも読んでもらいたい全5巻。

能田 達規: オーレ! 5 (5) (BUNCH COMICS)

能田 達規: オーレ! 5 (5) (BUNCH COMICS)

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November 08, 2007

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 17

宇宙のテロリストを追ってきた捜査官バーディーが地球の少年と一心同体になって敵を追っていく話。

前巻の後半から第三部に突入し、温泉宿でアルタ人が地球に来訪した謎に挑む。
古い言い伝え、しきたりを頑なに守る親戚衆、固く閉ざされた旧館、地下に潜むミイラ、探索に来た教授、教授についてスクープを狙うテレビ局、と素材は充実。

ある意味、お決まりのように教授とテレビ局の独断専行によってミイラは蘇り、事態は混乱へと向かっていく。

その一方で、主人公たちの一行は気ままな温泉旅行を満喫している対比が絶妙。
思わず、事態を裏側から見ている気になってハラハラしてしまう。

素材はありきたりでも、これだけ面白く見せられるという好例。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 17 (17) (ヤングサンデーコミックス)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディー 17 (17) (ヤングサンデーコミックス)

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November 07, 2007

小山田いく: ウッド・ノート 1巻

高校のバード・ウォッチング部を描いた作品。1980年代半ばに発表された作品の復刻版。

雑誌連載も単行本も買って読んでいたけれど、懐かしさの余り購入。
「すくらっぷブック」「ぶるうピーター」に続く連載第3弾として期待して読んでいた覚えがある。

「すくらっぷブック」に夢中になった読者としては、「ぶるうピーター」は大人っぽすぎる印象があって、拒否感さえ覚えたが、「ウッド・ノート」がバード・ウォッチング部が舞台と言うことで少しだけ身近に感じられた気がする。

それでも、オートバイやら自動車を駆使する部活動には憧れと共に多少なりとも非現実的な内容に引いたところもあったが、それでも好きで読んでいたことを懐かしく思い出した。

小山田いく: ウッド・ノート 1巻 (小山田いく選集 2期)

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November 06, 2007

茄子 スーツケースの渡り鳥

ヨーロッパの自転車ロードレースチームを描いたアニメーション作品。初見。

前作「茄子 アンダルシアの夏」が気に入ったので、早速購入。
舞台は日本で開催されるジャパンカップとなっていて、宇都宮郊外でのレースの模様がリアルに描かれている。

大雨のレースの中でのチーム戦略や登坂、スプリント競争など、ロードレースの見どころはいかんなく詰め込まれている。
その一方で、それを初心者向けに説明するシーンはないので、まったく自転車レースを知らないと難しい点も多いかもしれない。

ストーリーには、有名選手の自殺というエピソードが添えられてはいるものの、そこに押しつけがましい含蓄やテーマといったものは見られない。
逆に意味不明なライバル選手の行動などは描かれるが、それが何を意味しているのかは最後まで分からない。
その意味で消化不良の部分はあるものの、全体としてレースの醍醐味は十分に満喫できる。

絵柄は前作よりも「ルパン三世」っぽくなっていて、大丈夫だろうかといらない心配をしてしまうほど。
レースのリアリティとは違和感なく融合されていて楽しく見ることができる。

声優陣では主人公のペペ役の大泉洋が意外な小器用さを見せている。ただ、チームメイトの声が山寺宏一なので、どうしてもそちらの方が主人公らしくなってしまうのは致し方のないところか。

: 茄子 スーツケースの渡り鳥

茄子 スーツケースの渡り鳥

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November 05, 2007

神崎 将臣: 重機甲兵ゼノン 2

体をサイボーグにされた少年が巨大軍事組織に立ち向かっていく話。新作と旧作同時刊行の第2弾。

旧作の方はこれで完結。
なるほど、かなり中途半端な終わり方をしていて、これでは続編も書きたくなるものだろう。
書きたくとも、その場を与えられなかったということか。

圧倒的に続編である新作の方が画力もアップしているが、設定ももう一段階増やしたかのように謎が重ねられている印象。
主人公が機械になった体を「機械、機械」とうるさく悩むのがうざったいが、最近はそうした改造人間の王道も少ないので、これはこれで良しとしないと読みづらいだろう。

引きも強いので、続編には期待したい。

神崎 将臣: 重機甲兵ゼノン 2 (2) (リュウコミックス)

神崎 将臣: 重機甲兵ゼノン 2 (2) (リュウコミックス)

神崎 将臣: XENON-199X・R 2 (2) (リュウコミックス)

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November 01, 2007

鴉-KARAS-第六話 2枚組コレクターズエディション

新宿を舞台にサイボーグ化された妖怪「御座衆」とその新宿支配を阻もうとする鴉という存在の話。最終巻。

前巻のラストで復活した乙羽による鴉は、廻向による鴉との対決に挑む。
他の街から来た女子校生による鴉の支援もあり、乙羽は廻向に捕らえられた鵺を救出し、廻向のエネルギー源を絶つ。

戦いの場面は確かにスピード感があり、目をひくものの、第一話の冒頭を観ている以上、それを越える衝撃がないのは致し方のないところか。
また、戦いを終えた後の風景を描いた背景の出来も疑問。手抜きなのか味わい深さを出しているのか分からないレベルではあるものの、それまでのクオリティからすると違和感は否めない。

シリーズ全体としては、一定のクオリティを維持しストーリーも意外に分かりやすく収斂しており、評価はできる。

: 鴉-KARAS-第六話 2枚組コレクターズエディション

鴉-KARAS-第六話 2枚組コレクターズエディション

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