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December 10, 2007

川西 蘭: セカンドウィンド 1

自転車ロードレースに挑む少年の話。二部構成。

主人公・溝口洋は中学三年生、自分の住む村の山道を自転車で走るのが好きだったが、思い立って町のロードレースに出場する。
そこではロードレーサーに乗った経験豊かな同年代の選手が多く参加していたが、シティバイクで最高位を得た洋は、町の中心企業である南雲デンキの自転車部のジュニアクラブに誘われる。
そこで練習生として練習を重ねながら、周りのメンバーやメンバー入りを目指す練習生たちの姿を見ながら、自分の自転車に対する想いを見つめ直していくのが第1部。

第2部では夏休みを前に自転車を降りた洋が、再び自転車を乗るようになり、田村岳という新しい相棒を得て、ヒルクライムを重ねながら、再びレースに出場しようとするまでを描いている。

作者のファンとしては待ちに待ったほぼ十年振りの新作は、真っ当な青春スポーツ小説だった。
自転車競技というマイナーなスポーツを丹念に描き、その厳しさや熱さといったものを作者の持ち味で描き出していく。

正直、自転車競技に興味のない向きには難しい描写もあるかもしれない。
個人的にはコミックで「シャカリキ!」を読んでロードレーサーを買って乗ったり、最近では同じく「オーバードライブ」という作品を読むことによって自転車競技に対する基礎知識を得ていたことが助けになったとも思える。

それらコミック作品と比べると、主人公が何かに秀でた天才でなく、周りから心配されるほどのダメキャラでないところが、真っ当な青春小説として評価したいところだ。
こうした小説を読む機会のある普通の少年が共感を得られるような当たり前の感情とちょっとだけ秀でた才能を主人公は持っている。

競技の描写も細やかで、登場人物も友人、幼馴染み、ライバル、後輩と混乱しない程度に充実している。
二部構成ながら、タイトルに1と付くように、二部の最後は続きの期待させる引きとなっている。

このままコミカライズや映像化も予感させるような出来に仕上がっているが、あまり中途半端な出来にはしてもらいたくない。
そんな気にさせるような作品。

川西 蘭: セカンドウィンド 1 (1) (ピュアフル文庫 か 2-2)

川西 蘭: セカンドウィンド 1 (1) (ピュアフル文庫 か 2-2)

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