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December 18, 2007

近藤 史恵: サクリファイス

日本国内で自転車ロードレースチームで戦う若手選手の話。

川西蘭の「セカンドウインド」からの流れで読んでみた。

主人公は2年目の若手選手。高校まで陸上競技で好記録を出していたが、個人競技ならではのプレッシャーが嫌になり、エースとアシストという役割分担がある自転車競技に転身する。

この実は団体競技である自転車ロードレースの役割分担に焦点を当てて、決してエースを望まない主人公の性格をあぶり出していくところはうまい。
さらに、ツール・ド・ジャポンという大会を通して、スプリントと山岳コースという異なる競技と言っても良い自転車レースの特徴とチーム内の選手の性格付けとリンクさせ、チーム内の人間関係を描いていく。

こうした手法は確かにうまいが、すでにコミックでは「シャカリキ!」や「オーバードライブ」で実現されているため、そうした作品を読んだ者には決して目新しさは感じないし、その迫力には欠ける面も否めない。

ツール・ド・ジャポンで好成績を収めたチームは主人公も含む若手を交えてヨーロッパ遠征に挑む。
若手の海外移籍という話も出てくる中、主人公の前に元恋人が取材者として現れ、心かき乱す情報を与える。

この辺の本番前のアスリートに対する無神経なやり取りはちょっと現実感を欠く。

そして、レース中に惨劇は起きる。

その哀しみに立ち向かうアスリートたちを描いていくのかと思いきや、最終章は思いがけない展開を見せる。なんと、主人公が惨劇に隠された謎解きを始めるのだ。

あまりに少ない物的証拠と、関係者の証言から導き出した無理矢理とも言える主人公の推理は、けれど、バシバシ的中し、またいくつもの哀しみをあぶり出していく。

正直、この展開は不要だと感じた。
最後の結論も、あまりに登場人物たちの想いを純粋に美化しすぎている嫌いがあって、何とも後味が悪い。
それは、主人公によって語られる、登場人物たちのその後のエピローグにも表れている。

所詮、目先を変えた推理ものというところだろうか。
スポーツものとして読むとあまり良い気はしない。

近藤 史恵: サクリファイス

近藤 史恵: サクリファイス

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