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January 31, 2008

清水 玲子: 秘密(トップ・シークレット) 4

殺人事件の被害者の脳をスキャンすることにより被害者の生前の目撃情報から捜査を行う近未来の警察組織の活躍を描いた作品。

この巻では、首を切り裂く連続殺人事件と、その1週間前に起きた通勤電車内での刺殺事件を描いている。
連続殺人事件の被害者たちは事件の起きた通勤電車に乗り合わせていたと判明、犯人はどうやって乗客たちを探し当てているのか、刺殺事件との関連はあるのか、犯人の目的は。

浮かび上がってくる細菌テロと絡んで緊迫した展開と意外な犯行状況が明らかになる。
そして、犯行の背景にある哀しい現実と真摯な想い...
スリルと謎解き、恋愛感情も絡めて涙を誘うエピソードも盛りだくさんな割に違和感なくストーリーとしてまとめられている。
上質なミステリー小説のような読後感が味わえる。

帯によればTVアニメ化決定だそうだが、死体はどこまで描けるのだろうか。
アイドルタレントを使った間抜けなTVドラマ化よりはマシではあろうけれど。

清水 玲子: 秘密(トップ・シークレット) 4 (4) (ジェッツコミックス)

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January 30, 2008

奥瀬 サキ: 低俗霊DAYDREAM 10

SM女王様であり都庁嘱託の口寄屋でもある女性の話。

前々巻から引き続き集団自殺計画のエピソードが前半。すでに現場も分かり、急行する警察。それを阻止するために、人為的に起こされる事故の数々。
そして計画は実行されてしまう。

巻の後半はエピローグにも似た新しいエピソードが収められている。
これまでの伏線を一挙に解決するまでには至らないけれど、登場人物も分かりやすく、比較的短くまとめられているので好感が持てる。

しかしながら、これで最終巻。
機会があれば振り返って一気読みしたいかもしれない。

奥瀬 サキ: 低俗霊DAYDREAM 10 (10) (角川コミックス・エース 70-10)

奥瀬 サキ: 低俗霊DAYDREAM 10 (10) (角川コミックス・エース 70-10)

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January 29, 2008

大塚 英志: 黒鷺死体宅配便 2

大塚英志・原作、山崎峰水・画のホラーコミックの文庫版の第2弾。

仏教系大学の個性派5人が身元不明の死体の依頼を受ける話。
基本的には読み切りシリーズの作品ではあるが、この巻では死刑囚の遺体を巡るストーリーものとなって収められている。

死刑制度と犯罪被害者の意向など、ホラーとはいえギャグの多い作品の中では考えさせられる重いテーマを扱っている。
その旨と作品の立場を明らかにした原作者のあとがきが文庫版としての特典か。

本編がまだ続いているにも関わらず、文庫化が続く不思議な状態になっている。

大塚 英志: 黒鷺死体宅配便 2 (2) (角川ホラー文庫 120-2)

大塚 英志: 黒鷺死体宅配便 2 (2) (角川ホラー文庫 120-2)

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January 28, 2008

高屋 良樹: 強殖装甲ガイバー 25

悪の組織クロノスと戦う少年の話。第25弾。

東京は新宿、クラウド・ゲートでの戦いで巨人殖装した晶は最終戦闘形態となったカブラールに苦戦するも、自らも巨神殖装として赤く巨大化したエクシード形態となる。
カブラールは殲滅形態となって、新宿もろともガイバーを葬り去ろうとする。

とりあえず新宿を舞台にした戦いは終結。
この一晩の話に何巻使ったことやら。

とはいえ、エクシード形態のガイバーはかなり反則な印象は否めない。カラーページでないと赤い体もよく分からないし。

高屋 良樹: 強殖装甲ガイバー 25 (25) (角川コミックス・エース 37-25)

高屋 良樹: 強殖装甲ガイバー 25 (25) (角川コミックス・エース 37-25)

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January 27, 2008

山田 芳裕: 度胸星 3

人類初の火星着陸を果たした直後に遭遇した謎の存在と、火星での謎の事故を受けてクルーを救出に向かおうとする地球上での動きを描いた作品の復刻版。

火星では唯一生き残った乗組員は謎の存在に命を助けられ、何とか地球にメッセージを送ることに成功する。
あとは救出を待つだけと思いきや、謎の存在は住居モジュールを破壊する。

一方、地球ではクルー選抜試験が繰り返され、日本では最終試験として極寒のシベリアでのサバイバルを強いられる。

ようやく連絡は取れたものの、二つのストーリーはまだ交わらずに続いていくにも関わらず、次で最終巻。
これはちゃんとケリが付いていたんだっけな?

山田 芳裕: 度胸星 3 (3) (KCデラックス)

山田 芳裕: 度胸星 3 (3) (KCデラックス)

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January 26, 2008

サポティスタ: サッカー馬鹿につける薬

サッカー情報サイトの管理人によるサッカーに関するコラム集。

雑誌「TVブロス」「ヤングチャンピオン」に2002年10月から2007年10月までに掲載されたものをまとめたもの。

そのため、ジーコジャパンからオシムジャパンまでの日本代表、Jリーグ、フットサルまでサッカー界周辺の話題を忌憚のない意見でまとめている。
一般雑誌に掲載されたため、スポーツ雑誌のようにサッカー協会の検閲がなかった、というのは著者の言葉だが、コラムの対象は選手や監督などピッチの中よりは、サッカー協会やスポーツマスコミにも厳しく向けられている。

強化なのか興行なのか、それを取り上げるマスコミとサポーターとの乖離など、話題が最近なものだけあって、記憶も定かで面白く読める。
またマスコミが大きく取り上げなかったサポーターのトラブルなども、きちんと冷静な視点で取り上げている。

Jリーグ開幕時がバブルだったことは、多くの人の共通認識だろうが、2002年W杯はサッカー界のバブルであり、その崩壊が2006年だった。
その間、サポーターは興行優先の日本代表から地元のJリーグに興味の対象は移っており、バブルの崩壊にもめげずに集客は伸びており、浦和レッズというひとつの成功例を生み出した。
けれど、多くのマスメディアはその流れについてこれず、サッカー専門紙の発行やネットメディアがサポーターのしっかりとした支持を受けている。

こうした一連の経緯がサポーター目線で追っていける本。

サポティスタ: サッカー馬鹿につける薬

サポティスタ: サッカー馬鹿につける薬

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January 25, 2008

綱本 将也: GIANT KILLING 4

国内プロサッカーリーグの元スター選手が監督となって弱小クラブに戻ってくる話。

前巻からの流れで、リーグ開幕戦で惨敗したチームはその後の試合も敗戦を繰り返す。

次第にチーム内の空気も悪くなってくるところで、監督はサッカーテニスでのゲーム大会を企画、その結果でスタメンを決める。
そうした監督のやり方に反発するDF陣は移籍まで口にするようになるが、GKの口から自分たちのポジショニングの甘さを気付かされる。

その一方、サポーターも勝利に見放されたチームに反発し、バスを取り囲む。
サポーターとの対話も受けて立とうとする監督に、押しとどめるスタッフ。
若いサポーターたちに反発する古きよき時代を知るサポーター。

チームを取り巻く環境を決して選手だけでなく、現実のプロサッカーチームに即した形で描かれており、好感を持てる。

扉の裏には作品の中に登場するプロリーグ1部のチームが日本地図の中に網羅されている。
現実のJクラブチーム名をもじったものがほとんどだが、浦和がレッドスターなのは他の作品でも覚えがあるが、定番になりつつあるようで面白い。

綱本 将也: GIANT KILLING 4 (4) (モーニングKC)

綱本 将也: GIANT KILLING 4 (4) (モーニングKC)

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January 24, 2008

FREEDOM 5

月面都市に生きる少年たちを描いたアニメーション作品。

カップヌードルのCMに端を発したFREEDOM projectの本編として制作されたもの。

この巻では、ようやく探し当てた少女に出会い、月から来たことを理解してもらうまで。
TV CMではずっと先の展開が始まっているが、そこにつながっていくとは思えない段階で終わっている。

TV CMとの乖離を認めるかのように、映像特典にCMが収められている。

その他の映像特典では、アメリカで行われたアニメエキスポに出展、脚本と監督が参加した模様。
リアルなアメリカでの反応などが興味深い。

: FREEDOM 5

FREEDOM 5

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January 23, 2008

安彦 麻理絵: 臍下の快楽

女性心理を赤裸々に描いた4ページ短編を集めた作品の文庫化。

様々な人間関係模様を女性視点で4ページという短い中で描き出している作品。

恋愛感情と性欲、セックスと恋など、女性がどう考えているのか、どう感じているのか、を知ることができる。
もちろん、これだけがすべてとは思えないが、少なくとも男性の勝手な幻想を打ち砕くだけの力は持っているだろう。

15年前の作品だが、その頃の自分も打ち砕かれたかなぁ、と思い出されるのであった。

安彦 麻理絵: 臍下の快楽

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January 22, 2008

高河 ゆん: アーシアン 5 完結版―別巻秘密の花園 (5)

遠く離れた星に住む天使たちが地球人のプラスポイントとマイナスポイントを付けていく話。完結版の文庫化。

5巻は別巻とされているように、本編のサイドストーリーが読み切り形式で描かれている。
作品としては後期のものが多いため、絵柄は安定しており、安心して読むことができる。

全部ではないが、制作日記もまとめて収録されている。

高河 ゆん: アーシアン 5 完結版―別巻秘密の花園 (5) (SCB K 1-5)

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January 21, 2008

たがみ よしひさ: PEPPER

開拓時代のアメリカを舞台にした西部劇ガンアクションの文庫化。

記憶をなくした男"PEPPER"は、賞金稼ぎをしながら自分の記憶を取り戻そうとしている。そこへ現れた謎の男"GOLD"にもたらされた15年前の事件とギャング一味の情報を元にに旅を始める。

次々とギャング一味を追いつめる構成、ガンアクションなどは、『トライガン』に影響を与えたと想像してみるのも面白い。

この作品は豪華本として書き下ろされたという、コミックとしては珍しい出版形態であったことも忘れてはならない。
その辺の経緯があとがきマンガで書かれている。

また、素人目にはスクリーントーンがまったく使われていないようにも見える。
そうした技術的な手法としても押さえておきたい作品。

たがみ よしひさ: PEPPER

たがみ よしひさ: PEPPER

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January 20, 2008

松葉 博: 混沌の城(1)

夢枕獏のSFアクションのコミカライズ。

大陸が一夜にして形を変えるほどの地殻変動が起きた異変から143年後の混沌の世界を描く。

螺旋、蟲といった夢枕獏作品ではお馴染みの設定も健在。混沌とした時代という何でもありの設定の中で、剣劇あり、バイオレンスありで痛快な出来になっている。

絵も見やすくて、好印象。

松葉 博: 混沌の城(1) (BLADE COMICS)

松葉 博: 混沌の城(1) (BLADE COMICS)

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January 19, 2008

安田 剛士: Over Drive 15

自転車ロードレースに賭ける高校生たちの話。

この巻ではリレー形式で行われているレースの第3走者から第4走者へのたすきリレーが描かれる。
心象風景ばかりでレースシーンは少なく、まさにそれだけか、という印象は否めない。

巻も後ろには読み切り作品が掲載されていて、作者のファンには嬉しいかもしれないが上げ底感も少なくない。

安田 剛士: Over Drive 15 (15) (少年マガジンコミックス)

安田 剛士: Over Drive 15 (15) (少年マガジンコミックス)

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January 18, 2008

山田 芳裕: デカスロン 11

陸上競技のひとつ十種競技に挑む選手の話。文庫化第11巻。

世界選手権を舞台に戦い続ける主人公・風見万吉。世界記録を持つ絶対王者ダン・オブライエン、ライバル嵐、ナフードと役者も揃い、競技を盛り上げていく。

この巻では5種目から7種目目まで。
1日目最後の5種目目で嵐は燃え尽き、倒れる。

一度は7位まで落ちた万吉だが、怒濤の追い上げを見せ始める。
ここからが醍醐味という感じの巻。

山田 芳裕: デカスロン 11 (11) (小学館文庫 やB 21)

山田 芳裕: デカスロン 11 (11) (小学館文庫 やB 21)

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January 15, 2008

郷田 マモラ: モリのアサガオ ―新人刑務官と或る死刑囚の物語

拘置所の死刑囚房に勤める新人刑務官の話。全7巻を一気読み。

親のコネで入った新人刑務官の目を通して、凶悪犯罪を犯して死刑判決を受けた死刑囚たちの姿とそのやり取りを描いた作品。

平成19年度文化庁メディア芸術祭大賞受賞作品とのことで、決して上手いとは言えない絵柄で非常にデリケートな話題を扱っている。

当然のことながら、死刑囚にも様々あって、改心の余地のないものから真摯に罪を償うものまであり、また冤罪の可能性も否定できない。
その意味では死刑というテーマを扱った時点で、お涙頂戴にも感動ものにも社会派にも振ることができるわけで、勝ちは約束されたようなものであるとも言える。

絵柄の読みづらさは最後まで慣れなかったけれど、中途ではサスペンスの要素も盛り込みつつ、難しいテーマに最後まで向き合った姿勢は評価できる。

郷田 マモラ: モリのアサガオ ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (アクションコミックス) [コミックセット]

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January 14, 2008

よしなが ふみ: 月とサンダル

男性教師を好きになる男子高校生の話。全二巻を一気読み。

主人公は男性教師を好きになるが、教師には板前の彼がいて、その気持ちを振り向けるようとする。
著者紹介を見ると、よしながふみのデビュー作となるらしい。

表題作は短編だが、同じキャラクターにより短編が続いており、主人公と同級生の女子、その兄との恋愛模様なども描かれている。
学園ものの体裁を取っていながらも、ゲイであることへの後ろめたさや偏見、一方で男同士のセックスについて独特の視点で描かれており、清々しさすら感じる。

2巻は登場人物たちのその後を描いた同人試作品が収められている。
性描写は1巻より直接的なので注意が必要。

よしなが ふみ: 月とサンダル (花音コミックス)

よしなが ふみ: 月とサンダル (花音コミックス)

よしなが ふみ: 月とサンダル 2 (2) (花音コミックス)

よしなが ふみ: 月とサンダル 2 (2) (花音コミックス)

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January 13, 2008

田中 メカ: お迎えです。 第3巻

死んでもこの世に未練を残している霊を、あの世へ導く仕事を手伝う少年の話。文庫化最終巻。

最終巻では霊を導く話はほとんど出て来ず、主人公・堤円と前巻までにキャラクターが育ってきた阿熊さんの恋愛に関するエピソードが並ぶ。

そうしたエピソードの中でコミカルにあの世のお仕事を描いてきた設定が生きてくる。
伝えられなかった想い、今はもうそこにいない存在、そうした誰しもが出会う哀しみがあり得ない設定ながらも伝わってくる。

巻末には描き下ろしの後日談も収められていてお得感は強い。

田中 メカ: お迎えです。 第3巻 (3) (白泉社文庫 た 7-3)

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January 12, 2008

よしなが ふみ: 彼は花園で夢を見る

男爵家に使えた楽師の目線から語られる悲恋の物語。

架空の西の国を舞台に、東の国から来た楽師は立ち寄った男爵家で男爵に気に入られ屋敷に住み着く。
そこで偶然にも出会ってしまう父と娘、男爵の悲恋などが語られる。

楽師の中東風の装いとフランス貴族を思わせる男爵の立ち振る舞いは雰囲気の良い絵柄と相まってドラマの哀しみがよく伝わってくる。

残念ながらBLの描写は思わせぶり程度にしか出てこない。

よしなが ふみ: 彼は花園で夢を見る

よしなが ふみ: 彼は花園で夢を見る

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January 11, 2008

よしなが ふみ: 1限めはやる気の民法

大学の法学部を舞台にした男性カップルの話。復刻版を一気読み。

金持ちの子女が通う大学の法学部に通う主人公・田宮は、よりによって一番単位を取るのが楽と言われるゼミを選び、まったく学ぶ気のない付属高校上がりの有名人の子女と机を並べることとなる。
その内のひとり、政治家の息子という藤堂とは最初のコンパで声をかけられたことをきっかけに、身の丈にあった友人関係を築く。

ノンケだけれど、女性に冷たいという自覚のある田宮が、ゲイであることを隠さない藤堂との付き合いを通して、徐々に心と体を通わせていく様を、3年生の最初のゼミコンパから卒業までのエピソードを絡めて描いている。

男性同士の友人がゲイカップルになるというだけではなく、学内の様々な人間関係にまつわるトラブルや事件も描かれており、周りの人々が当然ノンケであるだけに優れた学園ドラマとなっている。

ただし、男性同士のセックス描写は直接的なので、初めての人は読む前に覚悟が必要だろう。

全2巻だが本編は1巻にすべて収められていて、2巻は二人のその後プラスアルファを描いたものとなっており、肩の力を抜いた感じが少々趣を異にする。

また、法学部を舞台としている点は最近の作品「きのう何食べた?」の主人公が弁護士であるところにつながっているような印象も受ける。

よしなが ふみ: 1限めはやる気の民法 1 (1) (ビーボーイコミックス)
よしなが ふみ: 1限めはやる気の民法 2 (2) (ビーボーイコミックス)

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January 10, 2008

夢枕 獏: 瑠璃の方船 1

夢枕獏の原作を海埜ゆうこの画によりコミカライズした作品。原作含めて初見。

時代は1970年代。小説家志望の主人公は、学生運動とは距離を置きながら、奔放に生きる女友達や、その紹介を受けた同年代の真剣師と関わりを持っていく。

有り体に言えば、自伝風の青春ものであり、女友達に寄せる想いや小説を書くことの意義や情熱を探しながら主人公は成長していく。

レディースコミックのような画風は、多分に原作では重くずっしりとした印象を受けるであろう雰囲気を軽く、ポップな印象に変えている。
その軽さがあるために、真摯な感情も際だつとも言える。

ただ、1970年代を描く上で重要なファッションや小物類については、その雰囲気を伝えているとは言い難い。
読む限りでは現代の最先端ではないだろうな、という程度であって、懐かしさや古臭さは感じられない。
近頃、「アンラッキー・ヤングメン」など、この時代を描いた秀作が登場しているだけに、その部分が気になってしまうのだ。

夢枕 獏: 瑠璃の方船 1 (1) (ジャンプコミックスデラックス)

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January 09, 2008

ウェンディー・ノースカット: ダーウィン・アワード 死ぬかと思ったインターナショナル

間抜けな行為によって命を落としたり落としかけたりした人たちのエピソードを集めた本。

スタンフォード大学のWebサイトの中に設けられた人気コーナーを独立させたものの書籍化となる。
しばらく前から人気Webサイトの書籍化が相次いでいるが、あまり読んでいない。
それは、多分にWebサイトで読むときの臨場感が面白いのであって、あとからうまく編集されたものでは、そのリアルタイム感が削がれているように思えるからだ。

ただ、海外サイトに関しては話は別だ。
言語の大きな壁もあるし、その国で有名なTV番組やTV出演者に関する笑いは受け止めようがない。
そうした笑いのツボまできちんと解説が入っているような書籍化は意義があると考える。

というわけで、この本にもいくつか脱力系のエピソードが収められている。
多くが人の死にまつわるものなワケだけれど、不謹慎にも笑えるところが絶妙。
翻訳の仕方も雰囲気を損なわず、上手にまとめられている。

また、エピソードの真偽のほどもフォローされている丁寧な作りはアメリカのWebサイトという感じがする。
ただ唯一、受賞者に対する評において、間抜けの遺伝子を後生に引き継がなかった、という言い回しが多く出てくるが、遺伝子と進化について誤解を生みそうな表現であるとは感じた。
もっとも、そうした誤解を踏まえたパロディとしての表現なのだろうけれど。

ちなみに、帯には2007年末に公開された映画「ダーウィン・アワード」の原作本となってはいるが、映画の方はこれらのエピソードをベースにしたドラマ仕立てになっているはず(映画も未見)なので、本書には映画の主人公は登場しない。

さらに「死ぬかと思ったインターナショナル」というサブタイトルにしても、「死ぬかと思った」の著者自らがあとがきに寄せて、本当に死んでいるのだから「死ぬかと思った」ではないし、と指摘しているので注意が必要だ。

ウェンディー・ノースカット: ダーウィン・アワード 死ぬかと思ったインターナショナル

ウェンディー・ノースカット: ダーウィン・アワード 死ぬかと思ったインターナショナル

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January 08, 2008

京極 夏彦: 魍魎の匣 1

京極夏彦の原作を志水アキの画によってコミカライズされた作品。原作も含めて初見。

戦後間もない日本・東京を舞台にした、バラバラ連続殺人事件、それを追う雑誌編集者と売れない作家、女子学生の列車飛び込み事件を担当する刑事などで織りなすミステリーサスペンスもの。

絵は見やすく、多分に原作に忠実な展開は、通常のコミックよりは分かりづらいが、雰囲気は良く出ている。

ただ、分厚い新書版で知られている原作の、どの辺までが描かれているのか分からず、何巻まで続くようなペースなのかが心配。

京極 夏彦: 魍魎の匣 1 (1) (怪COMIC)

京極 夏彦: 魍魎の匣 1 (1) (怪COMIC)

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January 07, 2008

津田 雅美: eensy-weensyモンスター 2

平凡ながら目立つ幼馴染みに囲まれた女子高校生の主人公が王子と呼ばれている顔もよく勉強もスポーツもできるけれど気にくわない男子に出会ってしまう話。

この巻では、お互いが相手を考える気持ちを恋だと認識し、それを確かめ合っていく過程が描かれている。

基本的にはその過程における自分の気持ちに対するもどかしさや相手の気持ちを考えるあまりのやるせなさが恋の障害のメインであり、事件のようなトラブルや妨害は登場しない。

この巻で完結となっているけれど、主人公の仲間やその兄たちの楽しそうな設定が殆ど生かされておらず、少々残念。

ひと月を1話として1年分となっている構成だが、キャラクターたちを活躍させるにはもっと細かく長い連載である必要があったのかもしれない。

津田 雅美: eensy-weensyモンスター 2

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January 06, 2008

高河 ゆん: アーシアン 完結版

遠く離れた星に住む天使たちが地球人のプラスポイントとマイナスポイントを付けていく話。完結版の文庫化、1~4巻を一気読み。

いまやBLの古典のようにも言われるけれど、連載から読んでいて、そんな感じはせず、どちらかといえばSF色が強かった印象。

いずれにせよ、読み返してみると絵の拙さが設定の良さを殺しているのは否めず、もっと何とかなっただろうというシーンも数知れず。

とはいえ、BLにおけるカップルの構図として相並ぶものではなく、対立する構図(敵味方だとか)が前提になること、それを越えるところにある愛の形は確かに描かれており、そのための天使という設定も無理はあるけどありかな、とは思う。

とりあえず、別巻が今月出て、BLを体系立てて語るには多分に外せない作品なのだろう。

高河 ゆん: アーシアン 4 完結版 (4) (SCB K 1-4)

高河 ゆん: アーシアン 4 完結版 (4) (SCB K 1-4)

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January 05, 2008

佐藤 秀峰: 新ブラックジャックによろしく 3

若い研修医の悩みと活躍を描いた作品の移籍に伴う新シリーズ第三弾。

新シリーズから主人公の研修先は泌尿器科。
けれど、話は研修先ではなく、先輩看護婦である赤城の病から臓器移植へ。

ひたすら自分の臓器を移植したいと考える主人公に対し、赤城が固辞する理由が解き明かされていく。

旧シリーズでは、研修医である主人公の目を通して、医療の抱える問題を描いていたはずだった。
医学界だけでなく、一般社会の病気に対する偏見、マスコミの取り上げ方にまで、問題意識の矛先は向けられていた。

しかし、新シリーズのこの巻において、そうした問題意識は見えてこない。
ひたすら主人公と先輩看護婦のやり取りの中だけで病は素材とされている。
言ってみれば、病気が三角関係のネタになっているだけのようにも見えるのだ。

その中にあって、主人公の態度は煮え切らないばかりか、迷惑にも思える。
主人公が仕事している様子も描かれないし、この作品の行く末が心配になる一方なのだった。

佐藤 秀峰: 新ブラックジャックによろしく 3 (3) (ビッグコミックススペシャル)

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January 04, 2008

細野 不二彦: キャット・ウォーカー―Pet Detective Story

ペット探し専門の探偵の活躍を描いた作品の文庫化。初見。

不祥事で退職した元刑事は、人間の裏側ばかりを見てきたために人嫌いとなりペット専門の探偵となった。
依頼を追っていく過程で巻きこまれる通常の犯罪も鮮やかに解決していく。

設定だけ見れば、ありがちとも言えなくもないし、冴えないけれど優秀な探偵が意図しない犯罪も解決していくのも容易に想像できるくらいのパターンものではある。

ただ、それでも飽きさせないストーリー展開は見事。

1巻で完結のようだが、刑事時代の不祥事も描かれていないし、深掘りすればまだまだ続けられるシリーズではないだろうか。

細野 不二彦: キャット・ウォーカー―Pet Detective Story (ニチブンコミック文庫 (HF-01))

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January 03, 2008

なるしま ゆり: 鉄壱智 (4)

地域の神々と都との争いを描いた作品。

前巻まではひとつの地域を描いていたが、この巻からは鉄壱智という少年を中心とした冒険旅物語となっている。

行く先々で少しずつ分かってくる世界の構図が読者にも同じ感覚で与えられていく。
それでようやく面白さが伝わってくるような気がする...

この巻に登場するネズミさんたちがかわいい。

なるしま ゆり: 鉄壱智 (4) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

なるしま ゆり: 鉄壱智 (4) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

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January 02, 2008

渡海: 大帝の剣 1

夢枕獏のアクション時代劇小説をコミカライズした作品。

圧倒的な画力と原作のイメージを損なわない丹念な描写は、ただ感心するばかり。

記憶の中にある原作の描写から大きく外れたり、割愛されている部分がない。

それだけに、一巻を通して描かれているのは冒頭のほんの少しであって、これが原作の小説に追いつくには何十巻かかるのだろうか、と思わずにはいられない。

あとがきを読むと、遅筆なようだが、クオリティから納得できるとはいえ、何十年かかっても終わらないのでないかと心配になる。

渡海: 大帝の剣 1 (BEAM COMIX)

渡海: 大帝の剣 1 (BEAM COMIX)

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January 01, 2008

福本 伸行: 生存―LifE

かわぐちかいじの画によるヒューマンサスペンスもの。

ガンで余命わずかと知らされた男は、先に亡くした妻と行方不明の娘のこともあり、絶望するが、そこへ娘の遺体が発見されたとの知らせを受ける。

娘は殺害されたものと分かるが、行方不明から日が経っており、時効目前の事件と警察は真剣に捜査をしない。
そこで男は残された命を事件の捜査に賭けようと決意、職も辞する。

娘の遺品、妻の言葉を思い出しながら、娘が行方不明になった日の足取りを追っていく。
そして集めた証拠を前に、時効間近と高をくくっていた警察も徐々に協力を始める。

そして、遂に犯人を追いつめるが、時効の壁が立ちはだかる。
物証は揃ったが、やはり自白は必要として、男は犯人に対峙する。
はたして時効までに自白が引き出せるのか、かわぐちかいじの絵で緊迫のやり取りが描かれる。

大変良くできていて、映像化も期待されるくらいの作品ではあるが、少々疑問の余地が亡いとは言えない。(以下、ネタバレ)

福本 伸行: 生存―LifE (講談社漫画文庫 か 3-26)

福本 伸行: 生存―LifE (講談社漫画文庫 か 3-26)

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