安彦 良和: アレクサンドロス 完全版―世界帝国への夢
マケドニアの王の子に生まれ、地中海沿岸からペルシヤ、インド近くまで戦いを進めたアレクサンドロスの生涯を描いた作品。
一般にはアレキサンダー大王という名前で知られたアレクサンドロスの戦いの歩みはさほど知られていないような印象がある。
その東方遠征の軌跡も地図を交えて分かりやすく描かれており、その偉業のほどがうかがい知れる。
また、安彦良和作品に共通した、ただの英雄像ではなく人間味のある人物像の描写はこの作品でも秀逸。
側近のひとりであるリュシマコスの回顧の形で描かれた、アレクサンドロス像は人間として魅力的でありながらも、その欲望や野望と言った人間としての弱さも垣間見せている。
一冊にまとめるには濃すぎる内容ではありながら、物足りなさや違和感もなく、アレクサンドロスの功績を把握するには効率の良い本。
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