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November 08, 2008

夢枕 獏: 東天の獅子 第1巻 天の巻・嘉納流柔術

明治初期、嘉納治五郎が講道館柔道を興していく様を描いた作品。

明治維新を経て、武士という階級がなくなり、西洋文化が急速に入ってきたことにより、身に付けるべきは学問であり、算術であって、武術は不要なものとして急速に廃れつつあった。
そうした状況の中、幼い頃から学問を身に付け、西洋文化にも造詣が深く、東京大学に学び、学習院大学で教鞭を執っていた嘉納治五郎は、講道館を興し、廃れゆく柔術を体系化してゆく。

それまで武術は師範の教えを体でもって学び、技の達人は達人として弟子に実践を通して伝えるしか術はなかった。
それは武士階級を成立させているシステムでもあったが、嘉納治五郎は、なぜ人は倒れるのか、倒すためにはどうしたらよいのか、そのためにどういった動きを相手に与えるのか、といった技を言語化することで広く誰にでも学べる武術として講道館柔道を構築していった。
そうした嘉納治五郎の働きを淡々と、しかしドラマチックに描いていく。

決してノンフィクションのドキュメンタリーではないが、実在の人物とその実績をベースに構成された物語にはリアルな迫力が伝わってくる。

物語は嘉納治五郎がメインではなく、前田光世の物語に移っていくと予感させる。
冒頭には木村政彦とエリオ・グレイシーの戦いを描き、出来て間もない講道館へ乗り込む武田惣角など、興味を惹くシーンで一気に物語の世界に引き込まれる。

もしコミック化するなら、安彦良和かな、と以前に武田惣角や嘉納治五郎を描いていたことを思い出しながら思った。

夢枕 獏: 東天の獅子 第1巻 天の巻・嘉納流柔術 (1)

夢枕 獏: 東天の獅子 第1巻 天の巻・嘉納流柔術 (1)

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