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January 30, 2009

川西 蘭: セカンドウィンド〈2〉

高校の自転車部でロードレースに挑む少年の話。

前巻から待ちに待った2巻は主人公・溝口洋が南雲高校2年になったところから始まる。
寮のルームメイトが英国留学に旅立ったことの影響か、前巻のラストで描かれた中学三年生の時のレースが精神的な影響を与えているのか、主人公はスランプに陥る。

負傷や故障ではなく、気分が乗らないという形での主人公のスランプが青春小説で描かれたことは珍しいのではないか。
そのぎりぎりの線で戦っているアスリートの姿が独特の筆致で描かれる。

軽妙なセリフ回しは少々シニカルで、読んでいて感染しそうになったりする。
新キャラクターも続々登場し、いずれも少々突っ込みどころが多いけれど、不思議と非現実感は少ない。
これは作品全体に言えることで、架空の企業城下町と全寮制の学校、それぞれに自転車競技に理解のある環境は現実にはあり得なさそうだけれど、それが成立しているところが魅力のひとつでもある。
そのため、携帯電話の不在もあまり気にならない。
もっとも、そのことはラスト近くでエピソードのポイントにはなるのだけれど。

この巻は全国大会までの様子が描かれている。
続きは期待したいところだが、さらなる成長をこの主人公のキャラクターで続けるのは難しい気もして、このまま完結でも良いかと思った。
もっとも他の短編のように視点を他のキャラクターに移したスピンオフ作品は可能だろうし、期待したいところ。

川西 蘭: セカンドウィンド〈2〉 (ピュアフル文庫)

川西 蘭: セカンドウィンド〈2〉 (ピュアフル文庫)

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