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September 30, 2009

大塚 英志: 三つ目の夢二 1

大正時代の日本・東京を舞台にイラストレーター竹久夢二を主人公としたファンタジー。大塚英志原作、ひらりん画。

恋人・彦乃を失った夢二は作品を描くことができず、死んだ人間の魂を撮影することに没頭していた。
浅草十二階に飾るはずの美人画も収められず、そんな折に立ち寄った写真館で「魂を抜かれた」少女と出会う。

あとはヨモツヒラサカの逸話などを絡め、関東大震災が起きなかった東京を舞台とした大正時代を描いている。

雑誌連載中は何が何だか分からなかったが、こうしてまとまってみると意外に面白く読める。
登場人物たちが連載中のページ数では見分けられないためかもしれない。

菊富士ホテルと夢二とお葉というモチーフは原作者自らあとがきで語っているとおり、使い古されてはいるけれど、ちゃんと大塚英志らしいものになっている。
これなら続きも期待できる。

大塚 英志: 三つ目の夢二 1 (リュウコミックス) (リュウコミックススペシャル)

大塚 英志: 三つ目の夢二 1 (リュウコミックス) (リュウコミックススペシャル)

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September 29, 2009

夢枕獏: 闇狩り師 崑崙の王

身長2メートル、体重145キロの巨体を生かし、仙道を操り悪霊退治をする男、九十九乱蔵の活躍を描いた作品の合本しての復刻版。

この巻もひとつのストーリーを扱った2冊をまとめた長編。長編とは言っても、この著者の最近の作品を知っている人間からすれば短い方。
何にせよ、一冊できちんと完結した話を読めるのは気持ちよい。

地方都市の名家である久我沼家の主人が犬神憑きになったという件の依頼を受けた九十九だが、久我沼家が厄介ごとの解決に頼っている贄師・紅丸が登場したことで、九十九は依頼を解かれる。
しかし、久我沼家と、犬神の呪いをかけた黒伏という存在のダム建設を背景にした因縁に興味を抱き、その戦いに巻き込まれていく。

織田信長の元に献上されたという黒人のエピソードなども織り交ぜ、伝奇ものとしての魅力は十分。
ストーリー展開も分かりやすく、ラストも小気味よい。

なお、黒伏の側につく武道家としてキマイラシリーズの登場人物である龍王院弘が登場。
主人公の九十九乱蔵もキマイラの九十九三蔵の兄となっているし、作品の端々に同じ物語世界の中でもう一つのストーリーが展開しているような記述はあったが、ここまでクロスオーバーするとは驚き。
もっとも、龍王院弘についての描写もきちんとされているので、ある程度その雰囲気は伝えていると思うが、まったくキマイラを読んでいない人にはどこまで伝わっているのか疑問が残る。

この本のページを繰るまでまったく事前情報を得ていなかったので、つくづくキマイラを先に読んでおいてよかったと思った。
まだ読んでいない人はキマイラを先に読んでおくことを強く勧める。

夢枕獏: 闇狩り師 崑崙の王《新装版》 (トクマ・ノベルズ)

夢枕獏: 闇狩り師 崑崙の王《新装版》 (トクマ・ノベルズ)

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September 28, 2009

菊地 秀行: ドクター・メフィスト 若き魔道士

著者のモチーフである《魔界都市・新宿》を舞台にしたドクター・メフィストを主人公としたシリーズの最新作。

メフィストの師であるファウストが閉じ込めていた第三牢獄囚の魔道士が脱走し、新宿へ。それを追ってきた兄弟子たちと討伐に当たる。
さらに新米の魔道士見習いである弟弟子も加わり、脱走した魔道士との戦いが繰り広げられる。

このところの著者の作品にしてはシンプルなストーリー構成で分かりやすく、読みやすい。
ただ、ラストで事件をほぼ解決するのが、それまで登場していなかった他のシリーズの主人公を暗示させる謎の男という点は、そちらも読んでいる読者には問題ないが、初心者には反則と言えるだろう。
さすがにあとがきで反省の弁は述べられていたが。

菊地 秀行: ドクター・メフィスト 若き魔道士 (ノン・ノベル)

菊地 秀行: ドクター・メフィスト 若き魔道士 (ノン・ノベル)

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September 27, 2009

東のエデン 第2巻

謎の携帯電話を持った青年と女子大生の活躍を描いた2009年放映のアニメーション作品。Blu-ray化第2弾。

この巻には、携帯電話を使って行われている100億円を使ったゲームのルールが判明する3話と4話が収録されている。
大きな謎のひとつが明らかになり、主人公がこのゲームにどう挑んでいくのか、記憶のなくす前にどう挑んでいたのか、がこの後の話の焦点となる。

映像特典は、押井守と神山健治の対談。押井守の「最近のアニメと違い…」というところが最近のアニメに対する見方として面白い。聞き取りにくいけれど。

: 東のエデン 第2巻 (初回限定生産版) [Blu-ray]

東のエデン 第2巻 (初回限定生産版) [Blu-ray]

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September 18, 2009

唯野 未歩子: 僕らが旅にでる理由

歯学部に学ぶ女子学生が家出をして40歳の男性と旅に出て、旅先で言葉を一文字ずつ探していく話。

旅先で甘いものを食べすぎて太りすぎてしまったり、男性の母親のような立場を自覚して老婆になってしまったり、旅先での疑似家族の中で9歳の少女になってしまったりするのだが、それに合わせて文体も変化していくため、決して読みやすくはない。
変化した文体が擬音語、擬態語が多く、地の文との切り替わりもなかなか把握しづらい。

いわゆる40歳男性と20歳女性の自分探しの旅の話と言えると思うのだが、旅先で大してイベントが起こらない前半はともかく、後半に新たな30歳女性を加えたことで若干陳腐になった印象。
複数のボーイフレンドの存在や堕胎経験など、主人公のプロフィールを肉付けするには使い古されたエピソードが目立ち、しかもそれによって補強されるイメージが意図したものなのか分かりにくい。

文体の変化に文章力だけは確かなものが見えるけれど、それ以上の評価はしにくいのは、小沢健二の同名曲(ちなみに作品中には何の関連性も見られない)を思い出してしまったタイトルからの期待が大きかったせいだろうか。

唯野 未歩子: 僕らが旅にでる理由

唯野 未歩子: 僕らが旅にでる理由

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September 17, 2009

中小路 徹: 40歳からうまくなるサッカー

主に40歳以上を対象としたシニアサッカーの現状をレポートしたルポルタージュ。

タイトルにも40歳とあるけれど、本の中で取り上げられているのは50歳以上が対象となる全国シニア大会に出場したチームやクラブが中心となっている。

あくまで勝負にこだわるか、それとも楽しく体を動かすか、というアマチュアスポーツでは必ずぶつかるチーム方針の悩みを通り抜けてきた各チームの歴史は興味深い。

また、全国大会レベルにない楽しむ方のチームもいくつか紹介され、子供に触発され40歳を過ぎてからサッカーを始めた初心者が多いチームも取り上げている。
学生時代の選手経験がなく技術的には劣っていても、運動量とスピードでカバーできるという件には、自分自身の感覚も含めて首肯できるところが多かった。

さらに、激しく厳しいばかりと言う印象のサッカーだけれど、運用次第で歳を重ねてからも楽しむことのできるスポーツであることを教えてくれる。
その方向性として女性が楽しむチームについても紹介している。

一方で、シニアサッカーの現状を把握し切れていないサッカー協会にも触れ、とかく競技として勝負偏重になりやすい協会主導の活動に対し、各自治体レベルの草の根での活動が数多くあることにを指摘し、ここにサッカー協会ができることは何かの指摘もしている。

今年からシニアサッカーに参加し、慣れ始めたところで大きな怪我を負ってしまった自分としては、改めて末永く楽しめるよう十分に傷を癒したいと思う一方で、早く体を動かしたいという気持ちも強くなってしまった。

中小路 徹: 40歳からうまくなるサッカー (FOOTBALL NIPPON BOOKS)

中小路 徹: 40歳からうまくなるサッカー (FOOTBALL NIPPON BOOKS)

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September 16, 2009

夢枕獏: 闇狩り師 蒼獣鬼《新装版》

身長2メートル、体重145キロの巨体を生かし、仙道を操り悪霊退治をする男、九十九乱蔵の活躍を描いた作品の合本しての復刻版。

短編集の前巻とは異なり、この巻はひとつのストーリーを扱った2冊をまとめた長編。
長編とは言っても、この著者の最近の作品を知っている人間からすれば短い方。
何しろ、一冊できちんと完結した話を読めるのは気持ちよい。

単に弟を助けてもらいたいという姉の依頼を受けただけの九十九だったが、その姉弟と縁のある伝説と化した神霊能力者と、陰陽道の天才とが呪いを掛け合うという争いの中に巻き込まれる。

スケールも大きく、残虐性も高く、パワフルさにも溢れ、ラスト近くまで展開の驚きがあり、ラストの収め方の整合性といい申し分のないストーリーとなっている。

これだけのものを一冊に収めるくらいのことはできるのだな、と改めて思ってみたりする。

夢枕獏: 闇狩り師 蒼獣鬼《新装版》 (トクマ・ノベルズ)

夢枕獏: 闇狩り師 蒼獣鬼《新装版》 (トクマ・ノベルズ)

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September 15, 2009

草場 道輝: LOST MAN 5

記憶を失ったもののサッカーだけはできる男とそのマネージメントを勤める男のコンビが世界中を回る話。ブラジル編の最終巻。

再開発に取り残された地区の弱小チームと、再開発によって栄えている金満チームという構図の中で、主人公は当初弱小チームで信頼を得ながら金満チームに引き抜きの形で移籍する。そして因縁の2チームがダービーの形で対決する。

ただのダービーマッチと言うだけでなく、弱小チームの存続と再開発の進行を賭けた一戦は、一進一退の様相を見せながら、その裏で計画が進行。
試合の終了と共に、裏で進行していた計画が発動。
弱小チームの存続と再開発計画の頓挫が明らかになる。

予想された展開ではあるが、サッカーの試合を絡ませている分、面白いしスリルもある。
マネージャーの坂崎の謎めいた過去をチラッと見せるだけなのもよし。

次巻からイングランド編。

草場 道輝: LOST MAN 5 (ビッグコミックス)

草場 道輝: LOST MAN 5 (ビッグコミックス)

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September 05, 2009

曽田 正人: MOON 4

天才バレエダンサーを描いた作品。同じ作者の「昴」の続編となる新作。

ニューヨークのアメリカンバレエシアター(ABT)所属の若手ダンサーとして中国雑伎団出身という異色の経歴をもつシュー・ミンミンが登場。
ベルリンのすばるもパートナーのニコから世間知らずを格好いいことと勘違いしていると指摘され、様々な情報に触れ始める。
そうなって知るシュー・ミンミンの存在。また当然のようにシュー・ミンミンも宮本すばるも意識していた。

そのタイミングで開かれるヴァルナ国際バレエコンクール。すでに知名度を誇るパートナーと組む東洋人として比較され注目される二人はそこで相まみえる。
いよいよ開幕というところですばるとニコとの間に亀裂が見え始め、次巻。

曽田 正人: MOON 4 (ビッグコミックス)

曽田 正人: MOON 4 (ビッグコミックス)

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September 04, 2009

外薗 昌也: 明日泥棒 4

東京上空に現れた謎の球体から出てきた超人的な能力を持つ元カノと暮らす羽目になった冴えないサラリーマンの話。外薗 昌也原作、別天荒人作画の最終巻。

超人的な能力を持つ存在を残すか、自分の記憶をなくすか迫られた主人公は自分の記憶をなくす。
一見、平穏な日常が戻ってくるが、元カノも含めて歪みを修整しようと動き出す。

理屈として合っているのかどうなのかすらよく分からないけれど、とりあえずラストは予想されたとおりの大団円。
ツンデレも行き過ぎると社会の罪悪という逸話なのかしら、という印象しか残らなかったりする。

外薗 昌也: 明日泥棒 4 (ヤングジャンプコミックス)

外薗 昌也: 明日泥棒 4 (ヤングジャンプコミックス)

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September 03, 2009

二宮 ひかる: シュガーはお年頃 3

娼婦になりたいと考える女子高生と図書室で出会った少女の話。最終巻。

前巻のラストで図書館で出会った少女の方が失踪して、 残された少女は失踪した少女の幼馴染みの少年と共に行方を思い悩む。

それなりの出来事はあるけれど、基本的に思い悩んだままでラスト。

味わい深いと言えば言えるのかもしれないけれど、なんだかな感が強い。

二宮 ひかる: シュガーはお年頃 3 (ヤングキングコミックス)

二宮 ひかる: シュガーはお年頃 3 (ヤングキングコミックス)

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September 02, 2009

曽田 正人: capeta(カペタ) 20

4輪レーサーを目指す少年の話。

タイヤメーカーのテストに呼ばれたカペタは、新しいタイヤが自分たちの利点を生かせると読み、同じルーキーの金田と共に今シーズンでの新タイヤ切り替えを目論み、テストで好成績を狙う。

迎えたF3の第5・6戦は、目論み通り新タイヤに切り替わるが、ライバルとなった金田は予選でポールポジションを奪い、カペタはその差を広げられてしまう。
そこへ源のユーロF3出場のニュースが入り、気合いを入れ直すカペタは、第5戦のスタート直後、3台を抜き去り、3位に浮上して次巻。

今回も女っ気と源との対決はなし

曽田 正人: capeta(カペタ) 20 (講談社コミックスデラックス)

曽田 正人: capeta(カペタ) 20 (講談社コミックスデラックス)

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September 01, 2009

樋口彰彦: ルー=ガルー ―忌避すべき狼

パンデミックにより人口が激減し、生物と人間との接触がほとんどなくなった世界を舞台にした京極夏彦の小説を樋口彰彦がコミカライズした作品。全5巻を一気読み。

原作は読んでいないけれど、雑誌掲載時には読んでいて、面白そうだけれどよく分からないと言った印象だったが、すべてを一度に読むとストーリーもすっきりしていて分かりやすい。

すべてを管理された未来都市で連続殺人事件が起こり、中でも厳重に管理されている学校に通う女子学生が謎に挑んでいく。
学校の教師、警察組織に巨大企業も絡み、サスペンスの要素も十分。

クライマックスのアクションシーンの中にもしっかり謎解きを忘れないのも物語がしっかりしている印象。

京極 夏彦: ルー=ガルー 5―忌避すべき狼 (リュウコミックス)

京極 夏彦: ルー=ガルー 5―忌避すべき狼 (リュウコミックス)

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