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May 02, 2010

村上春樹: 1Q84 BOOK 3

1984年の東京を舞台に30歳前後の男女二人が別々に遭遇した事件の話の続編。

幼い日の一瞬の交歓を心の拠り所として意識しながらも決して交わることのなかった天吾と青豆の二人の人生が重なり、月の二つ浮かぶ不思議な世界からの脱出を試みるまでが描かれる。

続編が決まったと聞き、もう青豆が登場しない続編なども想像したが、そうした奇をてらった展開は一切なく、その意味では至極まっとうな続編となっている。

前巻に続き、各章には天吾、青豆という名前でそれぞれの視点で物語が進んでいく形式だが、ここに前巻まで端役でしかなかった牛河の章が追加され、3つの視点で進む形になった。
牛河は依頼を受け青豆を探しており、その一環として天吾に目を付けることで、これまで語られていなかった二人の過去や家族構成なども明らかにする狂言回しの役割を担っている。

その意味でも、前巻までに読者が抱いた二人の主人公に関する謎や疑問に対して著者なりの回答を提供するサービス精神に富んだものとなっている。

個人的には、村上春樹の作品はそれほど謎や疑問が分かりやすく解決することはなく、それをあれこれ想像させるところに魅力があるのだと思っているので、前巻までで完結とされても一向に違和感はなかった。
逆にこの巻を読み、様々な謎や期待が解決していく様にカタルシスを感じることは否定はしないが、あまりに主人公二人だけのストーリーになってしまっており、その他の登場人物たちの軽んじられ方など期待はずれな部分もあり、蛇足な印象も残る。

また、中盤に人の死について丹念に描かれるシーンがあるが、ここでは読みながら、人の死とは何か、死んだらどうなるのか、そう考えている意識はどこへ行くのか、思春期の頃から時折訪れるそうした恐れに似た思いにとらわれてなかなか読み進めることができなかった。

村上春樹: 1Q84 BOOK 3

村上春樹: 1Q84 BOOK 3

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