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July 25, 2010

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ

西暦2800年を過ぎた時代に人類が移住した惑星上の狭い植民地内の争いを描いたSF作品。

ハーブCと呼ばれる惑星に人類を運んできた亜光速船シェパード号は惑星上に墜落。
大きな被害と混乱の中、人類は臨時総督府の元で開拓を始めて200年余りの世界を描いている。

ハーブCには化石燃料と金属資源がなかったという設定で前近代的な生活を強いられる人々は、墜落したシェパード号から得られる電力に少なからず依存しており、決して広くはない陸地にいくつかの町を作っていたが、シェパード号を管理している臨時総督を領主と呼んで不満も感じていた。

港町に暮らす医師が、街で流行った感染病の解決に奔走し、ウィルスを運んできたと思われる未知の知的生命体と出会うところからストーリーは始まる。

市民が限られた資源と知識をフルに活用して、ロストテクノロジーを独占する独裁者と戦うという構図はSFオペラとしては王道だろうか。
そこに、体内で酸素を生成できるよう人体を遺伝子改造した一族や臨時総督のもとで兵として使われている昆虫をイメージさせる原住民、娼館を運営させられているアンドロイドたちなどの魅力的なアイテムが散りばめられ、世界観を彩っている。

未知の知的生命体とはどこから来たのか、何者なのか、町に送る電力を制限する臨時総督の目的とは何なのか、この狭い植民地のある陸地の外には何があるのか、そうした謎を交えながら、支配を強める臨時総督に対して港町を中心に民衆が立ち上がっていく。

カバーには全10巻の超巨大ストーリーの開幕編とあるので、この世界観がずっと続くのかと思いきや、ただただ驚くだけのラストが待っていた。
嫌な予感がして買ってからずっと読んでいなかったが、次の巻が出てから読み始めて良かった。

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

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