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July 28, 2010

川西 蘭: ブッダ

僧侶でもある著者によるブッダの生涯を逸話を重ねる形式で描いた作品。

小説家がブッダの生涯を描いているということで、もっと文学的な描写が多いかと思ったが、意外に淡々とした印象の文体でエピソードが語られている。

また、構成も悟りを得て仏陀となるまでを延々と長くするかと思いきや、最初の章であっさり悟りを開いてしまうのは、いささか拍子抜けな感もある。分量的には悟りを開いてからのエピソードが多く、聖書のような印象も受ける。

また、日本初のイラストレーターと呼ばれているらしい長尾みのる氏の挿絵が得も言われぬ雰囲気を醸し出している。

川西 蘭: ブッダ

川西 蘭: ブッダ

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July 27, 2010

小川 一水: 天冥の標 2 救世群

全10巻と予告されているSF大作シリーズの第2弾。

第1弾とは打って変わって舞台は21世紀の近未来、というよりほぼ現代。
パラオで発生した謎の疫病から、新種のウイルスの発見、感染対策、パンデミック、罹患者への差別、医療従事者と患者との感情の触れ合い、とパンデミックモノの王道とも言える要素が詰め込まれている。

疫病の症状は、第1弾の冒頭で登場した疫病と同じで、シリーズのつながりを感じさせるが、それ以外には断章として登場した謎の存在が第1弾でも見た名前を持つ経緯を描いている部分くらいか。

SF的要素も前述の断章の謎の存在と、新種のウイルスを人間界に持ち込んだ動物を探し当てるが、地球上のものと思えなかったという件くらいか。

恋愛シーンも多く、患者への迫害や群衆のパニックなども含め、登場人物たちの人間臭い部分が多く描かれていることから、上記のSF的要素を取り除けば、映像化も予感されるストーリーに仕上がっている。
まぁ、これだけ抜き出しても意味はないのだろうが。

小川 一水: 天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

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July 25, 2010

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ

西暦2800年を過ぎた時代に人類が移住した惑星上の狭い植民地内の争いを描いたSF作品。

ハーブCと呼ばれる惑星に人類を運んできた亜光速船シェパード号は惑星上に墜落。
大きな被害と混乱の中、人類は臨時総督府の元で開拓を始めて200年余りの世界を描いている。

ハーブCには化石燃料と金属資源がなかったという設定で前近代的な生活を強いられる人々は、墜落したシェパード号から得られる電力に少なからず依存しており、決して広くはない陸地にいくつかの町を作っていたが、シェパード号を管理している臨時総督を領主と呼んで不満も感じていた。

港町に暮らす医師が、街で流行った感染病の解決に奔走し、ウィルスを運んできたと思われる未知の知的生命体と出会うところからストーリーは始まる。

市民が限られた資源と知識をフルに活用して、ロストテクノロジーを独占する独裁者と戦うという構図はSFオペラとしては王道だろうか。
そこに、体内で酸素を生成できるよう人体を遺伝子改造した一族や臨時総督のもとで兵として使われている昆虫をイメージさせる原住民、娼館を運営させられているアンドロイドたちなどの魅力的なアイテムが散りばめられ、世界観を彩っている。

未知の知的生命体とはどこから来たのか、何者なのか、町に送る電力を制限する臨時総督の目的とは何なのか、この狭い植民地のある陸地の外には何があるのか、そうした謎を交えながら、支配を強める臨時総督に対して港町を中心に民衆が立ち上がっていく。

カバーには全10巻の超巨大ストーリーの開幕編とあるので、この世界観がずっと続くのかと思いきや、ただただ驚くだけのラストが待っていた。
嫌な予感がして買ってからずっと読んでいなかったが、次の巻が出てから読み始めて良かった。

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

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July 24, 2010

西 炯子: かわいそうなお姫様

寓話的な雰囲気の短編3作品が収録されている作品集。

いずれも初期の作品ということで、絵柄的には古臭さも感じられるが、内容には今の作者の雰囲気が強く感じられる。

あまり倒錯的な描写はないけれど、寓話的なところに挿入されるセリフ回しは面白い。

西 炯子: かわいそうなお姫様 (ピュアフルコミックス)

西 炯子: かわいそうなお姫様 (ピュアフルコミックス)

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July 23, 2010

神崎 将臣: 聖者は夜やってくる 2巻

悪霊を退治する男と霊を見ることのできる女刑事の話。

コンビ間の関係は進展しないが、次々と怪事件で女刑事の貞操が狙われるというお約束な展開が続く。

さらに男と過去に因縁を持つ仲間や謎のサブキャラクターも次々と登場し、ついにラスボスが姿を見せる。

女刑事のドジっ子ぶりがエスカレートしていてウザッたい印象。

神崎 将臣: 聖者は夜やってくる 2巻 (ヤングキングコミックス)

神崎 将臣: 聖者は夜やってくる 2巻 (ヤングキングコミックス)

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July 22, 2010

戸田誠二: woman

女性を主人公にした短編集。

現代社会の中で仕事や恋愛や家族関係に思い悩んでいる女性たちを、時にはファンタジーっぽい要素も織り交ぜながら独特の優しい視線で描いている。

数ページの味わい深いショートショートもあるが、前後の話と境目が分かりにくいのが難点。

戸田誠二: woman (Next comics)

戸田誠二: woman (Next comics)

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July 21, 2010

村上 よしゆき: 新約「巨人の星」花形(19)

野球マンガ「巨人の星」を現代風にリメイクした作品。

夏の甲子園・神奈川地区準決勝の模様をメインに描かれている。

前巻からの流れで、因縁もある最強の相手という印象だったが、意外にも引きずることなく、この巻だけで決着が付いている。

あっさりというか、拍子抜けという気がしないでもない。
この19巻で本家の「巨人の星」に巻数で並んだそうだが、それに恐縮した結果だろうか。

村上 よしゆき: 新約「巨人の星」花形(19) (講談社コミックス)

村上 よしゆき: 新約「巨人の星」花形(19) (講談社コミックス)

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July 11, 2010

川西 蘭: セカンドウィンド 3

自転車ロードレースに挑む少年の話。二部構成。

主人公・溝口洋は高校二年生夏の大会を終えて名門・南雲学院高校自転車部のキャプテンを任される。

第一部は、洋がキャプテンを任されながら自由時間に肩を怪我してしまい復帰を図る一方で、部には新しく理論派のコーチが赴任しハードなトレーニングを課される。
新しいコーチは結果を求められており、予定になかった春の大会への出場を決めるが、あまりに厳しいトレーニングに疲労のたまった部員は新しいコーチに反発するようになる。

最後に春の大会のレースシーンも出てくるが、部をまとめるキャプテンとしての役割と選手でもある立場との狭間に悩む姿が中心に描かれている。

第二部は、春の大会で結果を出せなかったことで理論派のコーチは去り、元の体制に戻して迎えた新年度、未経験の新入生の扱いにこだわる洋は周りとの意志の疎通に悩む。

こちらは夏の大会も含めたレースシーンも多く、これまで何度か登場していた「フォルツァ」の声の謎も登場する。

二部通しての恋愛要素はこれまでより多く、気恥ずかしい展開もあるがなんとか顔を覆わずに読めるレベル。

最後は高校卒業前まで描かれて思い残すところはない感じだが、この後のエピソードを読みたくもある。

惜しむらくは巻頭の人物紹介ページの主要キャラクターのイメージ画はちょっといただけない。

川西 蘭: セカンドウィンド 3

川西 蘭: セカンドウィンド 3

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July 10, 2010

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディーEVOLUTION 5

宇宙のテロリストを追ってきた捜査官バーディーが地球の少年と一心同体になって敵を追っていく話。

この巻では、とりあえず目の前にあるストーリーがゆっくりと描かれると思いきや、終盤にはこれまで何巻かにわたって描かれていたサブストーリーが急速に一点に集まってきて、ついに真の敵と邂逅して次巻。

まだ解決には程遠いけれど、ストーリーの運び方はさすが。
バーディーの活躍は皆無だが、それが良いのかも。

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディーEVOLUTION 5 (ビッグコミックス)

ゆうき まさみ: 鉄腕バーディーEVOLUTION 5 (ビッグコミックス)

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July 09, 2010

島田 雅彦: 悪貨

マネーロンダリングから端を発した日本経済を大混乱に陥らせた大型経済事件を描いたサスペンスもの。

サスペンスとは言っても、犯人当てではなく、登場する人物たちに進行している事件が絡んでいく構成。

経済事件を扱う捜査二課の女性捜査員の潜入捜査を軸にして、謎の富豪や市民団体等の描写は細やかでドラマにするなら見応えはあるだろう。

中国情勢や市民団体の成り立ちなどはよく描けているが、そもそもの陰謀を実現する件に無理があるような気がする。

まぁ、面白くは読めるがラストは救いようがない感じ。

島田 雅彦: 悪貨 (100周年書き下ろし)

島田 雅彦: 悪貨 (100周年書き下ろし)

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July 08, 2010

菊地 秀行: 幕末屍軍団

幕末に動く死人「ぞんびい」がいたらという架空もの。

江戸には一橋慶喜、勝海舟、京都には新選組の面々と坂本龍馬を登場させ、好き勝手に動かしている感じ。

史実も織りまぜてはいるものの、基本的には荒唐無稽の域を出ていない。

あと、沖田総司に焦点を当てすぎているきらいもあるし、江戸のエピソードが途中から出てこなくなっている点も不満なところ。

菊地 秀行: 幕末屍軍団 (講談社ノベルス)

菊地 秀行: 幕末屍軍団 (講談社ノベルス)

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July 07, 2010

菊地 秀行: 牙一族の狩人 魔界都市〈新宿〉

筆者のモチーフである魔界都市〈新宿〉を舞台にした十六夜京也を主役とした話。

念法を操る少年剣士・十六夜京也の魔界都市〈新宿〉といえば、筆者のデビュー作であり、その流れをくむ第4作に当たるらしい。
魔界都市〈新宿〉ものはいくつもあるので、あまり久しぶりという感じはしない。

この話では、区外の予備校生となっている十六夜京也が、旧友が想いを寄せていた同級生が区内の謎の一族に嫁入りしたことで、彼女を救い出したい旧友が協力を依頼するところから始まる。

あとはお決まりのコースで、嫌がっていた京也も魔界都市に赴くこととなり、謎の一族の実力に敗れそうになるが、修行を通してパワーアップして敵に戦いを挑む。

今回の場合は、パワーアップの源泉が今ひとつ説得力に欠け、最初は圧倒的に強そうだった相手が最後にあっさりとやられる感じがどうにもすっきりしない印象。

菊地 秀行: 牙一族の狩人 魔界都市〈新宿〉 (朝日ノベルズ)

菊地 秀行: 牙一族の狩人 魔界都市〈新宿〉 (朝日ノベルズ)

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July 06, 2010

樹 なつみ: ヴァムピール(5)

事故で1分間心臓が止まったことで見えないものが見えるようになった少年の話。

だったはずだが、もはやヴァムピールやらなんやらの戦いやら争いがよく分からない感じで描かれている。

これをフツーに読み進められるのなら、たぶん面白いのだろうな、と。

樹 なつみ: ヴァムピール(5) (アフタヌーンKC)

樹 なつみ: ヴァムピール(5) (アフタヌーンKC)

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July 05, 2010

幸村 誠: ヴィンランド・サガ(9)

北欧バイキングを描いた作品。

前巻で大きく展開しデンマークで奴隷として働いているトルフィンの姿を中心に描かれる。
すっかり生きる意欲をなくしているものの、呼び込まれるトラブルについ本性が現れてしまう。

一方、イングランドの様子も少しは描かれ、すっかり王の自覚を持ったクヌートが登場。

新展開はまだ脇役のキャラが立っていない印象。

幸村 誠: ヴィンランド・サガ(9) (アフタヌーンKC)

幸村 誠: ヴィンランド・サガ(9) (アフタヌーンKC)

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July 04, 2010

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって(15)

公立高校の新設野球部の話。

西浦高校の一年生野球部の面々は夏の甲子園を目指す全国高等学校野球選手権埼玉大会の5回戦で敗れた。その後の様子を当日から丹念に描いている。

2週間後にも迫っている次の大会に向けて、チームの目標を統一する件、敗れた試合で怪我したキャッチャーのリハビリスケジュールや焦りなどは、これまでの野球マンガではあまり描かれなかった部分だろう。

試合の模様こそないが、それなりに面白く読める。

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって(15) (アフタヌーンKC)

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって(15) (アフタヌーンKC)

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July 03, 2010

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって(14)

公立高校の新設野球部の話。

西浦高校の一年生野球部の面々は夏の甲子園を目指す全国高等学校野球選手権埼玉大会を勝ち進み、5回戦は3点差を付けられ9回の攻防。

しかし9回の表にさらに追加点を許す。少年マンガならここから奇跡が起こるはずと思って読み進めていくと、意外にもあっさり敗れてしまう。

リアルといえばリアルだが、何か色々と先々に向けた伏線を張っていたように思えるのだが、それらはどうなってしまうのだろう、というところで次巻。

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって(14) (アフタヌーンKC)

ひぐち アサ: おおきく振りかぶって(14) (アフタヌーンKC)

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July 02, 2010

小山 宙哉: 宇宙兄弟(10)

宇宙飛行士を目指す兄弟の話。

この巻は兄・六太がいよいよアメリカでの訓練に入る様子が描かれている。

個性的な教官のスパルタ具合やサバイバル訓練はお決まりな印象。

その中で脇役に焦点を当てたエピソードはよく出来ている。

小山 宙哉: 宇宙兄弟(10) (モーニングKC)

小山 宙哉: 宇宙兄弟(10) (モーニングKC)

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