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July 02, 2011

小川 一水: 天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち

全10巻と予告されているSF大作シリーズの第4弾。

これまでの3話では大きく時代を変えていたが、この巻は第3弾で描かれたすぐあと、西暦でいうところの2300年の過ぎの太陽系を舞台に、《恋人たち》と呼ばれる生体アンドロイドによる小惑星帯の中に作られた巨大な娼館《ハニカム》での争いが描かれる。

第1弾に登場していた《恋人たち》だが、その成り立ちが《ハニカム》に連れてこられた第2弾と第3弾に登場した「救世群」の青年、キリアンの目を通して描かれている。

宇宙空間での性処理を目的に作られた《ハニカム》のスタッフである《恋人たち》は「性愛の奉仕」を存在意義としており、ゲストである人間たちの多様な欲求に真摯に応える。
キリアンは彼らの活動を通して、人間の多様な欲求を目の当たりにし、自分の性衝動について向き合っていく。

宇宙空間と性という一見奇妙な組み合わせに見えるが、いくらSF世界とはいえ、宇宙空間に人類を生活させる以上、その世界観を追求すれば避けて通るわけにはいかず、さほど違和感はない。
むしろ現実世界においても宇宙空間での性処理は学問としてどこかで研究されているのだろうなと思わせてくれる。

一歩間違えるとポルノに成り下がってしまう題材だが、《ハニカム》を性愛の乱れとして撲滅を目指す勢力も描くことでハードSFとして成立させている。

性について長々と描かれた上でのラストのオチもしっかりな感じ。

次作がどの時代を描くのか興味深い。

小川 一水: 天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)

小川 一水: 天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)

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