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August 18, 2011

ポール・ブラウン: UFWC――サッカー非公式世界王者の歴史

19世紀のサッカー国際試合から世界一のタイトルが賭けられていたと想定して非公式世界王者と称してその歴史を振り返る本。

FIFAワールドカップの優勝国を公式な世界王者とするのに対し、本書では1872年の世界最初の国際試合から世界一の座が賭けられていたと想定し、その勝者を非公式世界王者と称し、国際Aマッチの結果を追いながら、ボクシングのタイトルマッチのように試合ごとの勝敗でタイトルが移動する様を追いながら、サッカーの歴史をまとめている。

タイトル保持国が敗れればタイトルは移動、というある意味わかりやすいルールの非公式世界王者は、それゆえにワールドカップよりも多くの国がタイトルホルダーになっており、その歴史もワールドカップよりも古くサッカーの歴史そのものとなっている。

イングランドから発祥したサッカーというスポーツが、スコットランド、ウェールズ、アイルランドとイギリスの各国に広まっていく様子から始まり、ルールが整備されながらヨーロッパ各国に広まっていき、FIFAが組織されワールドカップが開催されるもイギリス各国は参加せず、二度の世界大戦を経て選手が大きく入れ替わり、よりグローバル化していく様子がよく分かる。

冒頭のイギリス各国間の試合の様子は現在とはルールも選手の服装も大きく異なるが、選手たちの所属クラブ名は今でもプレミアリーグなどで見るものばかりで本当の意味での歴史の差を感じる。
また、世界大戦を減ることで多くのスター選手が戦死し、戦後の試合に登場しないくだりは戦争の容赦ない悲惨さを感じることができる。

総じて、第二次世界大戦後ワールドカップにイギリス各国が参加するようになり、ペレなどのスター選手が出てくるようになると、一度は聞いたことあるエピソードが多くなる。
それでもワールドカップとは関係なく非公式世界王者のタイトルは思いもかけないところで思いもかけない国に移っており、それらのエピソードは大変興味深く、また面白く読める。

たとえば、アンゴラ、イスラエル、オランダ領アンティル、韓国といった国も非公式世界王者のタイトルホルダーになったと聞けば誰しも興味をもつのではないか。

また、サッカーの歴史にさほど詳しくなくとも、章ごとに宇都宮徹壱による解説が挿入されており、その背景やその時代の日本および日本サッカーの状況を知ることができる。

そしてなにより、2011年8月現在の非公式世界王者は日本であることが最も興味深い。

すべての国際Aマッチがタイトルマッチというのは日本人には分かりやすい気もするし、日本が非公式世界王者である間に、このタイトルが局所的に盛り上がるような気がしてならない。

ポール・ブラウン: UFWC――サッカー非公式世界王者の歴史

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