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June 19, 2012

小川 一水: トネイロ会の非殺人事件

SF的な要素を盛り込んだミステリー短編をまとめたもの。

「星風よ、淀みに吹け」
宇宙飛行士のための閉鎖環境長期滞在実験施設内でメンバーが殺される。
限られた空間、限られた人員という密室ものを閉鎖空間施設という新しい要素で描いている。
謎解きと動機は今ひとつ。

「くばり神の紀」
会ったこともない資産家である実父の遺産相続を申し受けた女性の話。
遺産を相続するかしないかの話に、亡くなる直前の実父の不可思議な行いに関する謎が絡んでいく。
SF的要素は入り込んでくるが、そもそも謎というほどの謎でもないし終わり方も今ひとつ。

「トネイロ会の非殺人事件」
謎の男に脅迫されている人々が10人集まって男を殺そうとする話。
ペンションを舞台に謎の男を呼び出し、10人が少しずつ死に関与する方法を取るが、関与していないメンバーがいる跡が見つかり、非殺人者を探し始める。
SF的な要素は3編の中では少なく、脅迫がネット経由で行われるくらい。
それでも非殺人者を探すという構成が面白い。
オチはまあ読めてはいたけれど。

小川 一水: トネイロ会の非殺人事件

小川 一水: トネイロ会の非殺人事件

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June 18, 2012

夢枕獏: 天海の秘宝

江戸時代の江戸を舞台に、次々と起きる不思議な事件と隠された宝を巡る話。上下巻を一気読み。

上巻では新免武蔵を名乗る辻斬り、人の言葉を話す黒犬など不可思議な出来事と盗賊団など不穏な空気が流れる江戸の町で奉行、免許皆伝の剣士、からくり屋敷と呼ばれる家に住む発明家がひとつひとつトラブルに対処していくさまが描かれる。
ちょっと現実離れした部分があっても気にはならない程度で剣劇もふんだんに盛り込まれた時代物といった様相。

下巻では一気にSFの要素がてんこ盛り。現実離れした部分が次々とSF的な描写となり絡んでいた糸がほぐれていくかのような様は見事でカタルシスを覚えるほど。

あとがきで作者は映像化、コミック化を希望しているが、映像化してしまってはネタバレ的な意味で難しい点があると思うのだが、分かってて言っているんだろうか。

夢枕獏: 天海の秘宝 上 (朝日ノベルズ)

夢枕獏: 天海の秘宝 上 (朝日ノベルズ)

夢枕獏: 天海の秘宝 下 (朝日ノベルズ)

夢枕獏: 天海の秘宝 下 (朝日ノベルズ)

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June 17, 2012

川西 蘭: スパート!

自転車と出会って、自転車競技にのめり込んでいく少女の話。単行本「あねチャリ」の文庫本化。

そんなに以前の話でもないのに、意外に忘れている要素が多いことに驚く。その分、新鮮に読めるわけだが。

シンプルで分かりやすい、けれど決してつまらないわけではないストーリー展開と平易で読みやすい文体は何度読んでも飽きさせない。
そしてなぜか自分もこうした文章を書きたいという意欲を抱かせてくれる。実現はしないのだけれど。

それにしても、文庫化に当たってタイトルを変更するのは仕方ないとしても、カバーの絵柄はちょっと単行本から印象が変わりすぎな感じがしないでもない。

川西 蘭: スパート! (小学館文庫)

川西 蘭: スパート! (小学館文庫)

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June 16, 2012

曽田 正人: capeta(27)

4輪レーサーを目指す少年の話。

前半はユーロF3のイングランド大会で戦う源奈臣の初優勝の模様が描かれる。
その源と電話でマカオグランプリでの再会を約束したカペタは全日本F3最終ラウンドの第1戦で集中力を欠き、金田にランキングトップの座を渡してしまう。
翌日の最終戦、年間チャンピオンの座を争ってカペタと金田は好スタートを見せる。

集中力を欠くカペタの様子が良い感じ。

曽田 正人: capeta(27) (KCデラックス)

曽田 正人: capeta(27) (KCデラックス)

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June 15, 2012

刻夜 セイゴ: 低俗霊MONOPHOBIA (6)

ひとつの肉体に生まれた双子の兄妹が悪霊を退治していく話。奥瀬サキ原作。最終巻。

前巻に引き続き、前半は落ち武者の大猿退治のエピソード。
後半は憑き物落としのエピソードで完結。

特に何かが解決したとか関係が変わったということもなく、ただ終わるという終わり方は良い感じ。

刻夜 セイゴ: 低俗霊MONOPHOBIA (6) (角川コミックス・エース 273-6)

刻夜 セイゴ: 低俗霊MONOPHOBIA (6) (角川コミックス・エース 273-6)

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June 07, 2012

劇団☆新感線2012春興行 いのうえ歌舞伎「シレンとラギ」

戦いを刀で行う時代設定を背景に争う2つの国の間で翻弄される人々を描いた活劇もの。中島かずき・作、いのうえひでのり・演出。

王の代替わりにより政争渦巻く北の国に仕える武士・キョウゴク(古田新太)の部下である暗殺者・シレン(永作博美)は、20年前に仕留めたはずの南の国を統べる教団のゴダイ大師(高橋克実)が復活したと聞き、キョウゴクの息子・ラギ(藤原竜也)と共に南の国への潜入を命じられる。

休憩前の前半では、2つの国の状況、それぞれの登場人物の思惑が描かれ、そして政治的な罠や裏切りにより敵味方が入り乱れる中、隠されていた事実が明かされる。

休憩後の後半は、明かされた事実により新たな人間関係の中で暴走が始まり、2つの国の崩壊していくさまが描かれる。

設定も難しくなく、ストーリーも分かりやすいが、救いのあるラストシーンにカタルシスは乏しい。
めまぐるしく変わっていく舞台装置は素晴らしいが、回想シーンなどもなんの説明もなく挿入されるため、慣れないとどこのシーンなのか分かりづらいかもしれない。その意味では良くも悪くもテレビドラマっぽい構成。
また、マイクを使った音声は聞き取りづらいこともあり、特にオープニングでは舞台袖での会話にしばらく気付けなかった。

休憩挟んで3時間ちょっとの長丁場だが、退屈さを感じさせることは殆ど無く、スピード感のある展開はさすが。

~2012.6.5 青山劇場にて~

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